8/170
錆びた金網の向こうに
錆びた金網の向こうに
世界は広がっている
心は凪ぐ 雲一つなき晴天
校舎の屋上に立っている
両手を上げて 片足出して
白いワンピースは風に吹かれている
貴方は今も私と同じ
空を見ているのだろうか
風に吹かれているのか
太陽だけがここにある
目蓋を閉じればここにある
赤の中の白い残像
可視光線上にあるは
ぼやけた視界と人々の姿
今はもうない校庭の賑やかさ
大切なものを無くしてしまった
大切なものを置いてきてしまった
金網に足を掛けた
錆びた金網の向こうに
世界は広がっている
心は凪ぐ 雲一つ亡き晴天。