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バドミントン
ラケットを振る
分からずに振る
シャトルがネットに
吸い付いて
体育館の床に落ちた
下手くそだ
何回も練習しているのに
打つ方向すら儘ならない
零れ落ちるシャトルに
狙いを定め
打ち返すことも出来ない
私 下手だよ大丈夫
前もって言ったその言葉に
あなたは笑って返してくれた
このままではこれが
私の実力として
届いてしまう
違う 違うのに
サーブを失敗すると
優しく教えてくれる
がっかりさせたくないから
打ちにくくなる
変な方向に飛ばした時
あっと言う声しか出なかった
私じゃない 私じゃないのに
練習すれば
それなりの
実力がついていくのに
あなたの笑顔が
崩れてしまうのが怖くて
十本のうち四本だけ
成功するようになった
これではゲームも儘ならない
あなたと向き合って
同じ時を過ごす唯一の時間なのに
私とあなたの道は違う
こうして面と向かって
話す機会もほぼない
こんな短い幸せの中で
いつも藻掻いている
あなたともっと一緒にいたい
どれだけ時があったとしても
物足りない
そうだ 明後日に向けて
バドミントン
練習しておこうかな




