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雑多  作者: 莉猫。
~雑多の章~
47/170

霧のある山中を

ひたすら歩く



目的地は

方位磁石が示す方向



共に歩いていた人は

次々と別の道へ歩いていく



スタートは同じだったのに



倒木や河に大嵐

道は険しくなっていく



雨宿りする場所もなく

闇雲に獣道を歩いた



一人の青年と出会った



青年は私に雨宿りの場所を教え

楽しい話を沢山してくれた



それだけが至福の時間で

二人で森を散策した



とても楽しかったのに



青年の姿はもうない

山はまだ続いている



いままで通り登っても

曾ての幸福は得られなかった



何処かで道を間違えたか



背が高くなるごとに

呻くように聳える木たち



ここになど着くはずがない

周りを見回してみても何も無い



まだまだ道は続く

私が行きたかった所は何処だろう



呻くように聳える木

ずっと歩いているはずなのに



ここまで来たならば

登るべきはずなのに



霧は少しずつ濃くなり

私は暫しそれに耽る



自由人がふらふらと

歩いていたこともあった



下山する人間も

座り込んでいる人間も見た



ああいう人にはなりたくない

意地でも登りたい



青年がニコッと笑っている気がした




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