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神様/田舎景色
神様
二人が出会って恋をした
それだけで電報人たち大賑い
号外手にとり神様は
やったやったと大笑い
縁結びの神様が
お酒を一口飲んだので
神様達は私の方を指差した
暗かった視界は鮮やかに
再び空と巡り会えたというのに
愛する貴方はずっと遠く
私の知らない所で
死んでしまったというのに
神様はてんやわんや
それで良い
それで良い
テキトーに相手を見つけてテキトーに戻ってこい
酔っぱらいが月に転んだ
田舎景色
走り去っていく田の景色に
既視感を感じた
ジャガイモ畑の赤い土
遠くに見える白蒸気
踏み切りがはたはた鳴いて
二両編成の電車が走る
ここに暮らしてみたい
鈴虫の心地よい歌声に身を寄せて
寝返りを打ってみたい
直感の赴くままに
そこら中 探検してみたい
走って走って 何かが見えそうな時
だん と高架下が遮断した
川の色
猫じゃらしを振り回す子ども
あの頃にはもう 戻れない




