153/170
詩のコミュニケーション
言いたいことが伝わらない
考えることはそれぞれ違い
言葉は一人歩きを始めてしまう
言葉は
詩人の元を離れ
色を変え
形の違う器に入る
器は記憶の坩堝
生き方や思想が
渦を巻いている
それに言葉が合わさり
共感を生む
出来ただろうか
自分の思いを伝えること
私は今まで
空っぽの詩を
書いてきたのではあるまいか
誰かの胸に刺さるものを
誰かの背中を押すものを
書こうとしているのに
空振りばかり
ドストレートな言葉は
思っていたより深く
刺さってしまう
表現に酔いしれると
独りよがりな
詩になる
言いたいことが
歪な形になり
届いてしまう
一つの行間の違いで
意味は変化する
物の具象は
幅広く
詩は無限の可能性を秘めている
並べただけの言葉は
単なる羅列でしかない
詩のコミュニケーションは
伝えることから始まる




