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耳鳴り
何処からか二つ
耳鳴りがする
一呼吸置くたび
染みる歯と
顎の痛み
私の体はいつから
こうなってしまったのだろう
轟々と燃える炎の中
ウーンウーンと 鈍い音
途切れ途切れの か細い高音
炎の中を進んでいるよ
されど炎は燃えてない
蓄積されたストレスで
喉をかきむしった
人間でなくなりたい
こんな思いをするのなら
橙色の小さな照明が
右に左にと揺れる
時々鋭い光となって
私の目の中に入ってくる
生きていることを
呪いのように思う
何故生かされているのか
理想とは違う仄暗い現実
雫が頬を伝っていることに
気が付かないまま
眠れぬ夜は明けていく
耳の痛みは増すばかり




