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雑多  作者: 莉猫。
~多彩の章~
124/170

還元


心にぽっかり穴が開いたまま

不馴れな都会の街を

目移りして歩いている


泣きじゃくっている者が

陽の当たらない場所にいる

こんなに暑い季節なのに

ボロボロの長袖を着ていた



どんなに泣いても

世間は知らんぷり

私の気持ちなんて

汲み取ってくれない



例え命の灯火が一つ消えても

この街は何一つ変わらない

嘲笑われている人を見たって

人は怖がって何もしない



潰す人が一人できれば

皆で潰しにかかるだろう

盲点を突けば潰される人は

勝手に壊れていくだろう



喉元から朽ちて

物影に倒れ込んで

俯いた目は虚ろ

ただひたすらに呪われたような

息を吐きそして腐敗していく



激しい拍動に疲れ

一気に裂けた心臓は

吐瀉のように塊を撒き散らす



廃れて生きているのか

死んでいるのかも

分からなくなったそれは

鼻を曲げたくなるような異臭を放った



頭を垂れて 蛆が湧く

蜈蚣や蚯蚓が集って

母から貰った皮膚は

食い荒らされていった



やがてその者がいた場所には

複数の花が骨に巻き付き

静かに 静かに

息づいた






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