酔生夢死
好いものだ
甘いお菓子を食べて
眠るっていうのは
これほど至福なことはない
心地好い
ソファに腰かけて
素足を投げ出すっていうのは
これほど気持ちのいいことはない
一時的な快楽は
長続きしないけれども
慾は尽きることない
美味しいものを食べ
可愛い服を着て
劣りたくないから
ほんの少し見栄を張る
眠るのが好きだから
網戸を閉めて
風に仰ぐカーテンの
揺れに合わせ目を閉じる
酒に酔い潰れたかのような人生
私はこのまま酔生夢死で
終わってしまうのではないか
そんなことが頭をよぎる
叶わぬ夢を持って
気付けば十七年間生きてきた
昔は背伸びしても見えなかった
大人の世界というものが
今ではよく見えてくる
継接ぎだらけの高いビル
ネクタイ乱れた社会人
夜になると 不純な男女が練り歩く
千鳥足の酔っぱらいが地面に寝そべる
夢を育んだ者が 夢を叶えられるわけではない
実力と虚偽の街
大人の世界
思えば失敗ばかりしてきた
そんな自分を庇ってくれる者なんて
誰もいない
私は大人の世界で
生きていかなければならないのだ
生きていくしか無いのに
怠け者の私は
ぐうたらテレビを見ようとする
人生の苦労を尋ねるインタビュー
私と同じような 悩みの人がいる
これまでの人生が
型に嵌まったものと分かってくる
人は誰しも特別でない
そんなことが
頭に浮かんで
一層辛くなった
なら酔生夢死 酔生夢死でいい
酔ったように生きて 夢のように死にたい
生きている意味が見いだせないのだから
虚しいのも 虚しくないのだ




