表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑多  作者: 莉猫。
~多彩の章~
123/170

酔生夢死

 






 好いものだ

 甘いお菓子を食べて

 眠るっていうのは

 これほど至福なことはない



 心地好い

 ソファに腰かけて

 素足を投げ出すっていうのは

 これほど気持ちのいいことはない



 一時的な快楽は

 長続きしないけれども

 慾は尽きることない



 美味しいものを食べ

 可愛い服を着て

 劣りたくないから

 ほんの少し見栄を張る



 眠るのが好きだから

 網戸を閉めて

 風に仰ぐカーテンの

 揺れに合わせ目を閉じる



 酒に酔い潰れたかのような人生

 私はこのまま酔生夢死で

 終わってしまうのではないか

 そんなことが頭をよぎる



 叶わぬ夢を持って

 気付けば十七年間生きてきた

 昔は背伸びしても見えなかった

 大人の世界というものが

 今ではよく見えてくる



 継接ぎだらけの高いビル

 ネクタイ乱れた社会人

 夜になると 不純な男女が練り歩く

 千鳥足の酔っぱらいが地面に寝そべる



 夢を育んだ者が 夢を叶えられるわけではない



 実力と虚偽の街

 大人の世界


 思えば失敗ばかりしてきた

 そんな自分を庇ってくれる者なんて

 誰もいない



 私は大人の世界で

 生きていかなければならないのだ




 生きていくしか無いのに

 怠け者の私は

 ぐうたらテレビを見ようとする


 人生の苦労を尋ねるインタビュー

 私と同じような 悩みの人がいる

 これまでの人生が

 型に嵌まったものと分かってくる



 人は誰しも特別でない



 そんなことが

 頭に浮かんで

 一層辛くなった




 なら酔生夢死 酔生夢死でいい


 酔ったように生きて 夢のように死にたい

 生きている意味が見いだせないのだから

 虚しいのも 虚しくないのだ








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ