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夕焼け
銀色の鉄橋の上で
両手を広げても包めないくらい
大きな夕焼けがあった
夕陽が雲に隠れていく頃
私は 一人になりたいと感じる
そして この空を見ているのが
私だけで良いと感じる
窓の一角の電線が
夕陽に当たって
白い糸に変わる頃
嫌なことも此処では
まだ空に溶け込んでいる
西の一番星に過ぎず
壮大な一日の終わりを
私だけが味わっていたい
キャンバスの上に
暖色と紫とを滲ませたような
あの空を独占していたい
私の虹彩に映るものは
人のいない繁華街でいい
そこに土の匂いがしてきて
幼いころの
おままごとをしていたころの私に
還っていく
両手を広げても包めないくらいの
大きな大きな夕焼け




