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空気嚥下症
真っ黒な水の中
光を求めて彷徨って
水面に顔を出し
息を取り込むように
余計に肺に入れた空気は
喉から溢れ離れてしまう
大きく息を吸うほど
呼吸が乱れてきつくなる
ついでに足も着かなくなって
足をバタバタさせると
瓦礫だらけの海に
たった一人 沈没していく
人が怖いのだ
何を考えているのか
分からないから
私の乱れた呼吸が
周りの耳に入っている
そんな当然なことを思うたび
私は死にたくなった
皆の視線が私に
注がれている
お腹辺りが膨張して
呼吸は荒くなっていく
抑えれば抑えるほど
頭に血が回らなくなって
逃げ出したくて
辺りを見回す
教師の言葉に
笑う同級生の声が
海上で谺した
同級生の姿はまったくない
授業中の教室
私は一人溺れている...




