第4話 親友キャラでもロリコンでごめんなさい
(゜Д゜≡゜Д゜)!
夕闇に染まる河川敷。
俺は先輩との話を終え、帰宅途中だった。
あの後、先輩と俺は少し話をしていた。
校門を出るまでの道のり、俺と先輩はお互いの階へ行きながら結構な時間喋っていた。
この時の会話の一部始終を見ていただこう。
「それにしても先輩……」
「……ねぇ、その先輩ってもうやめてくれない?
私達もう友達……よね?」
「え……なら何て呼べばいいです?」
「……茜……」
「へ?今なんて?」
「茜って呼んで!」
と、先輩はなかなかヘビーな事を言って来た。
これがどれだけヘビーかはこの読者の中にも分かる人はいるだろう。
女子を下の名前で呼ぶ。
これは King of DOUTEI の俺にはすごく、すごい事なのである。
もう一度言おう。すごくすごい事、だ。
「せっ先輩……そういうのはちょっと……」
俺はなんとかごまかそうと考えた。
そうでなくては俺の精神がもたない気がするからだ。
「……なんで?私達、友達……よね?」
「それは……そうですけど……ね?」
「なら、いいでしょ!呼んで!……茜って!」
この状況を予想していなかった俺は、軽いパニックを起こしていた。
それは、不安に羞恥心が絡まった精神的カオスなのだろう。
(まずい!非常にまずい!
俺がこの呼び方を認めたらその時点で俺の負け。
何か妥協案をたてなくては……)
「あの~さすがに名前で呼ぶのはちょっとキツいので~
城ヶ崎さんじゃダメっすか?」
「……ヤダ……」
「じゃあ、英語で茜色のマダーとか……」
「……ヤダ……」
先輩はそう言いながら頬を膨らませた。
多分、先輩の性格上これ以上この会話を続けても無駄なのだろう。
本当……無駄無駄でしかない。
正直ボキャ貧の俺にはもう他の呼び方が思いつかない。
こうなったら……
諦めよう。
「あー!分かりました!呼びますよ!」
「……そうそれでいい」
呼ぶとは言ったが、心の準備は全然できてない。
今俺の頭の中はパニックを通り越し、真っ白だ。
対する先輩は俺の諦めを理解し、嬉しそうな顔をしていた。
やっと心の準備が完了した。俺は大きく息を吸った。
そして……
「……あ、茜……さん……」
俺は勇気を出し、名前を呼んだ。
「……うん……これからそう呼んで、圭……くん……」
先ぱ……茜さんはそう言うと自分も恥ずかしくなったのか、そっぽを向いてしまった。
春、まだ寒い風もふく中で、優しく吹いたその風は俺たちを包んでいた……気がする。
そして思う。
テンプレ……だな…………と。
そんなできごとを乗り越え、やっと茜さんと別れ、今河川敷を通っていた。
この時俺の頭の中は『家に帰りたい』でいっぱいだった。
俺の家は学校から歩いて15分~20分程度で着く所にある。
橋を渡り、河川敷を通り、少しすればもう我が家だ。
もちろん俺がこの学校を選んだ理由は家から近からに他ならない。
何より俺は少しでも早く家に帰りたいのだ。
そんな事を考えていると家に着いていた。
さぁ、とうとう癒し時間がやってくる。
「ただいま~」
「おっかえり~おにぃ~♡」
戸を開けてそう言うと、妹の小春は俺に飛びついてきた。
「コラ!急に抱きつくな!小春!」
と言いつつ、ニヤつく俺。
ここまでくればお察しだろうが俺はシスコンだ。
俺が早く家に帰りたいのも、俺がこの家から近い学校を選んだのも、全部小春が『おにぃ早く帰ってきてー!』と言っていたからなのである。
だが最近はそれだけではない。
「お、おかえり!」
「おかえりなさい……圭さん」
「お、何だ2人とも来てたのか~」
この2人は小春の友達の 柴崎真冬ちゃんと双子の妹の 千秋ちゃんだ。最近はよくうちに遊びに来る。
「にしてもどうしてこんな時間まで家にいるんだ?」
現在時刻は6時半を回っていた。小学生が遊んでいるには少し遅い時間帯だった。
「ちょっ……ちょっと今日は長くいただけよ!
別にあんたを待ってた訳じゃないんだから!」
「真冬ちゃん……ツンデレだな……」
「誰がツンデレだー!」
「お姉ちゃんはツンデレ……です
でも……私は素直に待ってたですよ?」
「2人ともおにぃに近づきすぎ~小春も混ぜろー!」
あぁ、この3人はどうしてこんなにかわいいのだろうか……
俺はその辺にいる鈍感系の主人公ではない。
どちらかと言えば恋愛に敏感なタイプだ。
だからこそ、自分がこの3人にそこそこ好意をもたれている事も理解できている。
しかぁし!それが俺を苦しめていた!
(くそっ……そんなかわいい顔で近づくな……萌えてまうわ!)
最近はこの3人のせいで好みのタイプが巨乳から貧乳に変わってしまうほど俺の脳は侵されていた。
「まぁまぁ、3人とも落ち着けって……」
そう言いながらもニヤつく俺(2回目)。
皆さんそろそろお気づきだろうが、俺はロリコンだ。
俺が先ぱ……茜さんをふったもう1つの理由。
それは俺がロリコンである事だ。
そんな中事件は起きた。
抱きついてきた小春がいきなりこんな事を言い始めた。
「そういえばおにぃ~」
「何だ小春?」
「さっきからおにぃの制服、女の人の香りがするんだけど
ど・う・い・う・こ・と?」
さぁ癒しだけの時間は終わってしまった。
どうやら、俺の1日は一筋縄では終わってくれないらしい。
またまた申し訳ございません。
前回言った事が実行できないy2です。
これから10日ほど更新ができないかもしれませんが、y2は嫌いでも、この作品の事は嫌いにならないでください!
次回
城之内死す(笑)