第3話 先輩キャラでも甘えたがりでごめんなさい
m(_ _)m遅れました。
これは夢か幻か……
俺は告白をされてしまった。
嫌われてると思っていた、あの茜先輩に。
「先輩……?え?……え?」
俺は正直この状況にまだ追いつけていない。
それどころか、中々なパニック状態に陥っていた。
俺は顔を下に向けて頭の中を整理した。
(落ち着けー、落ち着くんだオレー、
とりあえずなぜこうなったー、てか、これ本気なのかー?
この前やられたドッキリとかだったら容赦せん!
この城之内、容赦せん!)
混乱する頭の中はいつもの俺よりももっとやばい状態になっていた。
俺は整理しきらぬまま少し先輩の方を見たのだが……
「……そ、そうよ……好き……好き?……好き!?」
先輩もなかなか混乱していた。
聞こえる言葉を解析すれば、どうやら先輩は今この場で告白をする気ではなかったみたいだ。
「……告白する気だったけど……だったけど!
……なんで……今……言っちゃうの?……私……」
あーはい、あったみたいです。
なんか勝手な事言ってすんません。
どうやら、タイミングを間違ったみたいだ。
何はともあれ、これは少なくともドッキリでは無く、本気の告白だという事が分かった。
そうなると気になる。
なぜ、先輩は俺の事が好きなのか、気になります!
「先輩……1つお聞きしてもよろしいですか?」
この質問をした時、先輩は不敵な笑みを浮かべこう言い始めた。
「……城之内君……君の次のセリフは『なんで俺……だったんですか?』よ!」
「なんで俺……だったんですか?……はっ!」
俺はこの時、先輩のパロディに対してまんまとそのままのセリフを口にしてしまった。
俺の心が読まれている、そんな感じだ。
(俺ってそんなにわかりやすいのか?)
「で、先輩、もう一度聞きますが……
なんで俺だったんですか?なんで正人じゃないんですか?」
「……君……いつもそうやって正人君を心配しているね……」
俺はこの時つい正人の事を引き合いに出してしまった。
でも、それが俺の1番気になるところだ、もう後に引けない。
「それが何か?」
「私、知ってるの。……君が正人君をいつも支えてた事
私と正人君を付き合わせようと頑張っていた事を……」
「……!」
「……体育祭の時も、文化祭の時も、正人君の家で勉強会をした時も、全て、君が仕組んでた……でしょ?」
俺はこの時とても驚いた。
割とバレないように裏でこの2人を応援していた。
応援どころか、協力もイベントも起こした。
正人のハーレムの子達とケンカが起きないようにもした。
でも、その全てがこの先輩にバレていた。
正人も気づいてないのに!
正直ちょっとショックだ。
「でも先輩、その話と俺の質問に何の関係があるんすか?」
そう、俺はこの時、この話を先輩がした意味が理解できなかった。なぜ自分の事が好きなのか……この話は繋がりが見えない。
「……この話との繋がり……それはこの話の全てよ」
「全て……ですか?」
余計に分からない。この話の全て、俺の事が好きな理由……
全然分からん。さっぱりだ。
「……君を好きな理由……それは……」
「それは?」
「……支えて欲しい……のよ……」
「……え?」
「私も正人君みたいに君に支えて欲しいのよ!
……私だって人に甘えたいの!君に甘えたいの!」
その瞬間、俺の中で先輩のイメージが崩れた。
あの、冷徹で人とあまり関わらない先輩が、今俺の前で「支えて欲しい」「甘えたい」と強く言うのだ。
いつもの先輩とも違い、正人といる時の先輩とも違う。
さきほども十分キャラ崩壊をしていたが、これは予想していなかった。驚きを隠せない事実。
そんな中、先輩はこう続けた。
「……私は昔からある程度の事を何でも出来たの……
でも、その反面人見知りで仲良くする人もいなかった。
そうして、私へのイメージは【冷徹で完璧】になってしまった……」
「そうなんすか……」
どうやら先輩はずっとキャラを隠して、息苦しい生活をしていたみたいだ。少し、かわいそうだとこの時思った。
「だけど!私だって褒めて欲しいし、優しくされたいの!
もっと甘えたいのよ!」
そう発言する先輩は、駄々をこねた子供の様で……
ぶっちゃけめんどくさい。
まったく、どうやったらクールなキャラをここまで通してこれるのか……不思議に感じる。
「……で、そろそろ答え……聞いてもいいかしら?」
先輩は思い出したかのようにいつものキャラに戻った。
だがその質問は重く俺にのしかかる。
確かに、先輩は美しい。そして今初めて知ったそのキャラもまたギャップ萌えを生みだした。
そしていい人だ。前から思っていたが本当は心の暖かい人だ。
それでも……
「先輩……ごめんなさい……
今、俺は誰とも付き合う気はないです……」
俺はこの告白を断った。
さすがに俺の親友がふられた直後だ。
俺は正人がどれだけ茜先輩の事が好きだったのかを知っている。
だからこそこの告白は断る事しか俺にはできない。
それに、ふった相手と俺が付き合ったら大変な事になるのは当然だ。
だが、この事は言わない事にした。
それは先輩が告白した事を後悔してほしくなかったからだ。
「……そう……よね……ごめんなさい……
いきなりこんな事言って……」
「そんな……事……」
この言葉を聞いた時、俺は同じ事が前にもあった気がした。
だからなのか分からない、ただこの人をこのまま帰してはいけないと強く思った。
「確かに、付き合う事はできないっす。
でも……」
(俺は少し卑怯だな……)
この時俺は次に言う言葉を思いそう感じた。
「でも……友達になりませんか?」
「……え?いい……の?」
「はい!友達……になりましょう」
俺はこの決断を間違ったものだと思っていない。
というよりも、そう思いたくないのだ。
それは先輩の素を出せる人間をつくってあげたい……
という言い訳なのかもしれない。
ただ、俺が城ヶ崎茜という1人の女性に興味を持ってしまったのは、紛れもない事実である。
「……じゃあ、これから……よろしくね……」
そう言う先輩の顔は恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに、顔を茜色に染めていた。
「はい……よろしくお願いします!」
こうして、俺と先輩の奇妙な関係が始まろうとしていた。
それは新たな物語の始まりであり、
俺の苦労の日々の始まり、
つまり、俺の親友キャラ人生が終わった話である。
意外と忙しいy2です。
この度はだいぶ待たせてしまいました。
本当すいません。
ここからは少しずつペースをあげていきたいと思いますので応援よろしくお願いします。
次回
親友キャラでもロリコンでごめんなさい