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第2話 親友キャラでも告白されてごめんなさい

\( 'ω')/


日も落ちかけた放課後。


俺は茜先輩に連れられ屋上へとやって来た。


まだ4月の後半なだけあって、時々、少し寒いくらいの風が吹いていた。


そんな中、俺と先輩の会話は硬直状態にあった。


それは時が止まったのではないかと思う程、長く、冷たい時間。


(こういう時ってどうしたらいいんだ?)


俺は悩んでいた。


先輩に聞きたい事がいくつかあるというのに、この硬直状態をどう抜け出すべきか分からなくなっている。


正直に言うと、俺は女子と話す事は割と多い。


だが、それはあくまで会話ができるだけ、だ。


女子と付き合った事も無ければ、今のように女子と2人だけで話したことも無い。


ただの童貞である。


俺はいつも、少しチャラそうに振舞ってはいるが、それは取り繕った姿であり、


実際は普通に童貞である。


正人にいつもアドバイスや相談をしていたが、


がっつり童貞である。


まさに童貞の中の童貞である。


まったく、自分で言うのもなんだが若干こじらせてもいる。


とにかく、今の状況は King of DOUTEI の俺にはかなりハードルが高い事であるのは間違いない!



そんな無言が5分を過ぎた頃、沈黙は破られた。


「……そろそろ話を始めていい……かしら?」


もちろん、先に話始めたのは俺ではなく茜先輩だった。


「えぇ、どうぞ先輩……」


俺がそう答えると、先輩は少し間をあけて、重い口を開いた。


「……実は昨日の放課後、正人君に告白されたの……」


先輩が話始めたのは俺が聞きたい事でしかなかった。


俺は正直驚いた。まさか正人の話を先輩の方からするとは思っていなかったからだ。


「そうなんですか……それで何て答えたんですか?」


この時俺は正人が告白しに行った事を知っているが黙っておくことにした。


黙ってとぼける事にした。


それは先輩が何を思っているかを引き出す手段である。


「……断ったわ……」


「そう……なんですね……」


俺はここで改めてこの事実と直面した。


すでに分かっていた事だが、それを言葉にされるとそれはそれで自分の中にこみ上げる何かがあった。

ここまで積み上げたものが一瞬にして崩れていく様なそんな感覚だった。そうして崩れた中に残ったのは紛れもない真実


正人がふられたという真実だけだ……


同時に、自身の予想が外れたという事でもあった……


この真実は、正人の恋を応援していた身として辛い事が大きかった(主に自身の予想)。


だがしかぁし!


まだ希望を捨ててはならない!


なぜなら……まだ可能性があるからだ!


「先輩……なんで正人をふったんですか?

てっきり正人の事が好きなもんだと思っていました……」


と、俺はこの質問をした。


それは俺の最後の希望だ。


この質問の真意は、先輩が「……いえ正人君の事は好きよ……」という返しをしてくれると信じたいという思いだ。


ハーレム系の作品では最後の最後にもう一つ山があることが多々ある。

絶対に結ばれるはずの2人だが、茜先輩にはまだ隠された事実があり……といういうようなありがちなパターンだ。


俺は、今この状況がまさにそれだと思う。


つまり、俺はまだ正人の恋は終わっていないと踏んだのだ。


ここで先輩がそのようなパターンならば、きっと答えてくれると俺は信じた。


そして……


「……いえ……正人君の事は好きよ……」


その答え、それは歓喜の瞬間だった。


俺はこのシリアスムードを壊さないために声こそあげなかったが、心の中は喜びで満ちていた。


(やっぱり俺の目に狂いはなかった!)


しかし、喜ぶには早すぎた。

これはつかの間の喜びに過ぎなかった……。


「……そう……友達として……ね……」


「……へ?」


「……彼はいつも私の味方をしてくれる、

感情を露わにできる、唯一の友達……よ」


その答えに俺は最後の希望を失った。


これでもう先輩がなぜ正人をふったのか分からなくなってしまった。


もうこれは認めざるおえない、自身若さゆえの過ちだったのだと、自分の目が狂い悶えていたと!


この時俺の中に興味というものが無くなってしまったのかもしれない。この話に対する興味が。


「へ、へぇー……じゃああれですか?他に好きな人でもいるって言うんですかぁー?先輩に?」


もう、ここまでくるとやけにやけくそになっていた。


正直この質問はかなりてきとうと言える。


はずだったのだが……


「……えぇ、……そうよ……」


なぜか当たってしまった。


また、俺の中に興味というものが少し湧いた。


「なら、先輩……それは誰なんすか?」


俺はこの先輩の好きな相手が気になっている。


もちろんこの質問一つで答えてくれるとは思っていない。


しかし、必ず、先輩の好きな人に到達してみせる。


(さぁ、先輩。正人を超えるその相手とやらを白状してもらうぜ!)


すると、先輩は少し頬を赤らめながら……


「……そ……それはね……」


「それは?」


「……君……よ……」


なんだかあっさり白状してくれたみたいだ。


で、誰なんだろう、きみって?


ん?キミ?KIMI? 君?


って、あれ?


俺ぇぇぇぇ!?


「せ、先輩?今なんて?」


「……なら……もう一度しっかりと言うわ……」


そう言うと先輩は呼吸を整え、俺の方を見た。


そして……


「君の事が……すっ……好きなよ……」


これが、城之内圭に送られた初めての告白である。



ーーーーそして時は1話の最初に戻った。



遅れております。y2です。


思ったよりも読まれていて驚いております。


次回


先輩キャラでも甘えたがりでごめんなさい

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