第9話 取締委員会だけど取り締まられてごめんなさい!
m(。≧ _ ≦。)m
「どういう事ですか委員長!」
「そうだ!俺たちはあんたを信頼していたっていうのに!」
「規則を……規則を破るなど!」
「これは裏切りだ!もうこいつを許す訳にはいかない!」
「あぁ……そうだ……吊るせ……吊るすんだ!」
「「吊るせ!吊るせ!吊るせ!吊るせ!」」
あー……皆さんこんにちは。圭です。
今、俺のクラス2-Cでは朝からちょっとした事件が起こっていた。
突然の事で何が何だか分かっていない方も多いと思いますが、
簡単に言えば、今俺は吊るされています。
しかも逆さまに……。
え?まだ何が何だか分からないって?
それもそうだろう。
なぜならこれは俺の問題であり、俺の責任なのだから。
分からない方のために少し時間をさかのぼろう……。
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~10分前~下駄箱付近~
俺と先輩は学校に到着し、お互いの入り口まで来ていた。
お互いの入り口……というのは、この『私立 小白瀬学園』では3年生と1、2年生は別の入り口から教室へ向かうためである。
「……では、私はこっちだから……」
「はい……ではまた茜せんぱ……茜さん」
「うん……あと……」
先輩はそう言って俺を呼び止めた。
少し心配そうにこちらを見つめ何かを伝えようとしていた。
「はい?なんすか?」
「これから正人君と会ったら真っ先に私に連絡して」
「先輩に……ですか?」
「そう……私ならなんとかできるかもしれない……から」
この時俺は、先輩もそれなりに正人に対し責任を感じて、その上で俺を心配してくれている事が心の底に伝わった気がした。
(先輩……不器用な人……だな)
「だから……」
「だから……?何でしょう?」
「だから……連絡先交換しましょう!」
前言撤回!この先輩最初からそれが目的だ!
この先輩心配とか、責任とか全然感じてねぇ!
返して!
今の一瞬の『先輩が気づかってくれた雰囲気』返して!
「やっぱり……ダメ?」
(ちくしょう!かわいいじゃねぇか!)
俺の心は想像以上に揺れた。
それは自分がロリコンだっていうことを一瞬忘れてしまうくらいに……
(まぁ、でも……しゃーなし……かな)
「分かりました……。何かあった時のためにですからね」
「やったー!」
その時の先輩はとても無邪気で本当に心の底から喜んでいるのが分かった。さっきと違って……。
「ハッ!……じゃあ、また後で……ね……」
先輩は急に恥ずかしくなったのか、声のトーンを元に戻した。が、しかし、緩んだ顔は元に戻らずにいた。
そのためか、顔を下に向け、こちらを見なかった。
「はい、また後で!」
かわいい態度をとる先輩に俺は少し声をあげて返事をした。
そんな俺は少しかわいい先輩に別れを告げ、自分の教室に向かったのだが……
少し厄介な事になった。
「委員長!いったいどういう事ですか!?」
こいつは俺のクラスの伊藤雄二。俺の所属している委員会の副委員長を勤めている男だ。
「いったいなんの事だ?」
俺がそう答えると、もう1人の男が……。
「知らばっくれても無駄無駄!
あんたが俺たちの事を裏切った事は明白何だ!」
こいつは、俺の所属する委員会の書記を勤めている吉谷亘紀。人一倍仕事熱心なやつでとても助かっている。
しかし……なんだ?
俺はどうしてこんなに責められている?
いつも俺と共に働き、気持ちを共有し、お互い慰め合ってきた俺たちにいつこんな亀裂が入ったというのか……
「委員長、本当は分かっているんでしょう?」
「諦めてくれ委員長!あんたは俺たちを裏切ったんだ」
……あぁ……伊藤の言う通り本当は分かっている。
そして、朝の時点でこうなる事も分かってた……。
この二人がここに来る事も、二人に責められる事も。
だって俺の所属する委員会は……
「リア充取締委員会一同、集合!」
「取り締まりの時間じゃーーーー!」
俺の所属する委員会は、『リア充取締委員会』。
文字通り校内におけるリア充を規制するために俺が作った委員会だ。
そして今、俺が規制されようとしている。
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「ではこれより裁判を始める!」
「尚、本日は委員長が被告人のため、副委員長が裁判長を務める。」
これは、総員70名の会員に囲まれながら行われる完全アウェイな裁判の様子である。
この法廷では様々なリア充が取り締まられてきた。
これまで、30組のカップルを解消させ、100人近くの男を粛清してきた。
また、裁判における有罪判決は90%以上で、少しでも女子と関わりを持とうとする者さえも裁判にかけられたという。
そのため、小白瀬学園におけるリア充達は常に身を忍ばなくてはならないのである。
しかし一方で、モテない男達には常に優しく、共感をして、慰め合う事もある。
そう、リア充取締委員会とはリア充に対して鬼のような存在であり、モテない男達の味方なのである!
故に、小白瀬学園3大派閥の一つに数えられる程大きい組織となったのである。
「今回の裁判の形式は裏切り者への粛清裁判。
よって、弁護人は不要とする」
粛清裁判においては通常の裁判と違い弁護人をたててはならないという規則がある。
また通常時の裁判でも、パートナーが弁護人になるのだが、大抵の場合有罪にされるためほぼ無意味なのである。
「まさか……創立者であるあなたが、この場所に、裁かれる側で来る事になるとは思っていませんでしたよ……」
「あぁ、俺もこの壇上に上がる日が来るとは思っていなかったよ」
「被告人、城之内圭!前へ!」
「はい……」
「これより罪状を読み上げる。
被告人、城之内圭は昨日の放課後、先輩である女生徒に呼び出されたのち屋上へ行き、何か会話を終えると共に帰って行きました。
これは、取締委員会会則の第3条に違反したと見られ、我々は城之内圭に逆さ吊りの極刑を求刑します」
この事が発表された直後委員会一同はどよめいた。
(嘘だろ……)
(あぁ、これまでせいぜい言いよって裁かれる事が多々あっただけだったが……)
(まさか……そんな事が……)
どうやらこれまでの裏切り者には女子の方から言い寄られる事は無く、最高でも女子に言いよって少しいい雰囲気になった事があるだけだったらしい。
「また、その女生徒は城ヶ崎茜先輩と断定しました。」
その瞬間、どよめきは怒号へと変わった。
「どういう事だ!」
「あの、城ヶ崎先輩だと!」
「それでなくても正人にとられそうだったというのに!」
「まさかあなたも何て!」
どうやらこの委員会には茜ファンが多かったみたいだ。
そのせいで圭に対するモブ達の批判は凄い事になっていた。
「一同静粛に!ひとまず釈明を聞こう」
「被告人、ここまでに何か釈明はありますか?」
「はい、先輩と屋上で話をしたのは確かです。しかしこれには深い訳はありません!
それに、まだ決定的な証拠はないじゃないか!」
圭にはこの程度の釈明しかできない。
だが、まだ決定的な証拠はないため起訴には至らないと判断したのだ。
「深い訳はない?よくのうのうと嘘がつけるものだ!」
「まぁ落ち着け吉谷。
被告人はさきほど決定的な証拠はないと言ったな?」
「それがどうした!」
「あるんだよ!その決定的証拠が!」
そう言って、彼らは音声レコーダーを取り出し、その再生ボタンを押した。
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「き……君の事が、す……好きなのよ……」
「あ、茜先輩!?」
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「図ったな!伊藤!」
そう、圭は完全にはめられたのである。
最初から伊藤の策略の中にはまっていたという事なのだ。
「まさか圭が告白されるとは思ってもいなかった」
「見損なったぞ!委員長!」
完全に圭の判決は決定的だった。
もう言い逃れの余地など圭には残っていない。
(あ、これダメなやつだ)
しかし!
「なぁ、面を上げてくれ圭……
確かに俺たちはあんたを責めた……」
「あぁそうだな」
「でもな、本当はちょっぴり嬉しく思ってるんだぜ」
「え……」
「俺たちモテないヤツらを集めた男が今旅たとうとしているんだからな」
「い、伊藤……」
「委員長……一同を代表して言わせてもらいます
ありがとう委員長……本当にさようなら……」
この言葉を聞いた時、圭は涙を流した。
そして、取締委員会一同も涙を流した。
そこには、これまで共に戦ってきた友たちとの間に芽生えた不思議な友情があったという……。
「では判決!」
「被告人、城之内圭を極刑に処す!」
「うん、なんとなく察してたよ……
俺、絶対死ぬなってな!」
「「吊るせーーーー!」」
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そうして、最初に戻り……。
現在吊るされています。
まぁ、当然の報いといったらそれまでだけど?
これまで俺たちのやってた事が相当酷い事だってやっと気づいたよ!
あぁ、なんだろう。涙出てきた……
今一番恐ろしく感じているのは、この一連の出来事が約1時間の間に行われた事だ。
もう今日は何もない事を祈りたい。
そんな感じで吊るされていると、後ろの方から声がした。
「大丈夫かい?圭……」
それは俺のよく知る声であり、心の準備ができないまま会うこととなってしまった。
「お、おう……なんとかなっておるぞ……正人」
どうやら俺の祈りは届かないらしい……
だって、俺の長い1日はまだ始まったばかりなのだから……
続く!
いやー遅くなりました。y2です。
遅くなって誠に申し訳ございません。
それでも読んでくださる方々に感謝をしています。
本当にありがとう!
さて、今回の話に出てくる『リア充取締委員会』は中学時代に私が本当に作ったもので、作中で書かれているほどの影響力はありませんでしたが、それでも少ない仲間と共に何人もの男を摘発してきました。
今回出てきた「伊藤」と「吉谷」は共に取締委員会で働いた二人の人物の名前の一部をお借りしています。
少し長くなりましたが、これからもなにとぞよろしくお願いします。




