全身が布団になった気分でどうぞ
初投稿です。
布団として、人に寝転がられた感想や人物の感触を舐めまわすように書いてみたかったので。
小説らしくなるよう、詩的表現を多くしたつもりです。
小説をこうして投稿すること自体初めてなので、もし宜しければアドバイスお願いします。
吾輩は布団である。名前はまだ無い。
…恐らく、古今東西日本文学使用頻度頂点。
ただ一つ言うなれば、『布団とは何なのか。』という一点が非常に問題なのである。
想像して頂きたい。
あなたはガールフレンドと洋風ホテルの一室に入る。
辺りを見回せば、小洒落たランプがある。ゆったり沈み込めるソファがある。
広々とした机には聖書が置いてある。足元を見ればTraditionalな敷物、見事な布の芸術作品だ。
─────あなたたちはゆったり夜食を食べ、月を眺めながら風呂に入る。第一の裸の触れ合いである。
「月が綺麗だね」などと赤面して話す彼女に、あなたも赤くなっている。
狂の光を灯す月明りの下、赤い雫のワイングラスとともに、あなたの理性が狂う。
化粧を剥がれた丸裸の唇の中で、二人の笹舟ををそっと川に流す、
─────オレンジのランプの中で、
あなたは彼女を誘う、第二の───────………
あなたたちは異変に気付く、そこにあるはずのない、異物に。
西に旗を掲げて侵攻する極東の、薄橙の部屋を眩しく照らす、深紅の太陽に。
荒波模様の布の洪水は、二人のスイートクルーザーを構うものかと巻き込み、
大渦に飲まれたプライベート客船はあろうことか明日の朝刊の一面を飾ってしまう。
洋の土足下の絨毯と、畳の上の軍艦は余りにもMismatchで、黒の絵の具は純白のパレットを汚す。
濁流に吞み込まれた笹舟はというと、怖れを知らずただ流されて行くのみである。
その姿はさながら一日早く真珠湾に向かい、米の旧艦隊に無双する日海軍の様で。
─────そこには、布団が敷かれていたのである。
前書き 終わり
短い文章でしたが、最後まで読んで頂き感謝の限りです。
西洋風の世界に、和の寝具である布団が存在している違和感を描きたかったので。