昔々、あるところに設定というモノがありました。
ネット小説大賞七用の設定でした。
『夢と現実の違いは、実にあいまいなものだ。夢も現実も、世界の一つ。それぞれが一つの世界として、おもいおもいに描いて、同じように観察できるものだから』
★地理★
湖一つ、島一つの小さな世界。
湖の中心に島があるのか、島の中心に湖があるのか、学者の間でも論争になっている。
湖の周りは、十分な休憩時間を含めて徒歩で十日で一周できる。
主な交通手段は船。大抵の場所なら、一日で着く。
人は主に「ヤチボカ村」と「モイ地下街」に住んでいる。他に目立つものとしては、霧の森やりんご園や魔王城がある。湖には一隻の帆船が浮いていて、村と地下街の行き来を助けている。
ヤチボカ村は、神が宿ると言われている樹を祀っている農村である。その木があるおかげか周辺の土地は非常に富んでおり、畑が平野一杯に広がっている。さらに、村の中には温泉や図書館もあり、農村と言うものの、それなりに栄えている。
モイ地下街は、日の差さない地下にある常夜の妖しい街である。地下一階は食事処が連なるが、下層に行くにつれて妖しげな雰囲気が増していくしていく。酒場はもちろん、怪しげな道具屋、大金が動くという競魚場、子供は決して入れない謎の店などが並んでいる夜の街。この世界のものはすべてこの街に集まり、対価さえ用意できれば、手に入らないものは無いとまで言われている。最下層には、なんでも直してしまうという噂の復元屋がある。
★気候★
太陽が常に出ているので、夜はない。地下街へ入ると、夜になったという感覚になる。
基本的には温暖だが、たまに太陽が「冬の太陽」になるので、その時は雪が降るくらいに冷える。
★人口★
人口は数百年間もの間、増えもせず減りもせず、一定の数を保っている。限られた狭い世界では、人口が増えすぎても、減りすぎても崩壊してしまう。そういった意味では、世界は非常に均衡が取れていた。
世界を去った数だけ、世界に現れる。あまり変動のない世界。一見すると停滞しているように見えるが、確かに生命は正しく循環している。
★娯楽★
狭い世界、そんなに娯楽は多くない……というわけではない。
村の図書館には様々なジャンルの本がある。大人しか入れない部屋には、お子様に見せられないものまである。図書館で居眠りすると、変な夢を見ることがある。
地下街は、まるで迷宮で探検しがいがある。わざわざお化けの模型を設置して客を呼んでいる場所もあるくらいだ。さらに、魚を競わせる競魚場や、大人のお店がこっそりとある。
世間では、勇者と魔王ごっこが流行っている。いい大人が、魔王城を建てたり、洞窟の奥に潜んで悪巧みごっこをしている。
★歴史★
☆紀元前3760年頃?
「楽園」が生まれる。「楽園」を作った者たちは、母なる星を離れ新たな星へ旅立った。
ユダヤ暦において、天地創造をしたのが、紀元前3760年といわれている。
☆北極星がトゥバンの時代
紀元前2800年頃の北極星はトゥバン(りゅう座α星)。
この星が北の極にあった時代、おそらく旧約聖書の時代。
孤独だった「楽園」は、生命を再生した。
長い月日が流れ、ある時、人類は「楽園」の外へ行く。
☆北極星がトゥバンからポラリス(こぐま座α星)になりつつある時代
「楽園」は、災害の予兆と対策を予言の形で、外へと旅立った人々に伝えていた。
☆北極星がポラリスの時代
ポラリスは、西暦2100年頃もっとも、天の北極に近づく。
「楽園」は、観測が思うようにできなくなり役目を果たせなくなりつつあった。
温暖化やオゾン層の破壊などが始まる。
人類は海底に移住を開始する。
同時に星の「再生」を手助けするプロジェクトを立ち上げた。
☆北極星がポラリスからリュラになりつつある時代
西暦13700年頃の北極星は、リュラ(こと座のベガ)。
星の「再生」の進行は芳しくない。
人類は月の内部に「世界」を作り始める。
一方、星に施していた「再生」の力が偶然に「楽園」まで届き、少し調子の良くなった「楽園」は、機能の一部を月の「世界」に託した。「それ」は夢のような不確かな存在として、しかし、夢のようにどこにでも存在できるようになった。
☆北極星がリュラになった時代
人類は星の「再生」を諦め、多くの者が月へと移住した。「再生」のノウハウは、月の「世界」の維持に使われることになった。
この頃、「楽園」の本体は役目を終えた。
ちなみにこの時代は、南極星はりゅうこつ座のカノープス(水先案内人水先案内人という意味の星)になる。
北の空の織姫星は航海の女神となって、南の空のカノープスは水先案内人となって輝く。星の位置を測り方角を導く船乗りにとっては、女神と案内人が空に在り、航海を見守ってくれるとは……なんとも、すばらしい時代?
☆小さな世界の時代(冬)
太陽が冬の太陽になる。
湖の上の船で、肺魚は海を想う。(★物語開始地点)
しゃもじが空を飛ぶ。
魔王と勇者ごっこが流行る。
冬の太陽の時期が終わる。
☆小さな世界の時代(春)
小さな「世界」から、大海原へ旅立つ。
繰り返す歴史にならないことを願う。(★物語、おしまい)
★登場人物★
☆よんよん☆
好奇心旺盛な幼い肺魚。船のマスコットとして人気者。
エラ呼吸だけではなく、肺呼吸ができるのだ。乾燥に強い鱗も持っている。
「よーん」が口癖。
よく遊んで、よく食べる。
平仮名はなんとか読めるものの、漢字は数えるくらいしか読めない。
日記を書くのがすき。
ハシビロコウが怖い。
階段が苦手。いくらヒレを伸ばしても上の段には届かず、降りるにしても尻尾は下の段に届かない。
☆船長☆
よんよんの飼い主。
猫っ毛な短髪。
いわゆる海賊の船長の様な服を好んで着ている。
操舵の技術はそこそこある。困っている人がいると、助けずにはいられない性格。気がついたら、何か頼まれたことをしている。船員だけではなく、村人たちからも親しまれており、『船長さん』と親しみをこめて呼ばれている。
☆玉殿と房殿☆
いたずら好きな白い狐。
二匹はいつも一緒!
葉っぱを載せて、変身だ!
魔王の手下になったり、魔王になったりする。
☆オルドビス☆
可愛いものが好きで、少し臆病なお兄さん。
近所の子供にせがまれて魔王の手下になることもある。
☆シルル☆
しっかり者の学者肌のお姉さん。
図書館で、彼女の話を聞くと、眠ることができる。
☆アラク☆
復元屋の店主。
黒髪、黒目で、いつも眠そうにしている。
何でも、限りなく元通りにできる。
☆すみっこの長男☆
静かな隅っこが好き。
地下街の倉庫で、せっせとキノコを加工している。
お気に入りの着る毛布に包まって、すみっこでゆっくりしている。
☆すみっこの次男☆
大自然の中にある隅っこが好き。
洞窟の隅っこでキノコを育てている。
兄とおそろいの着る毛布を身にまとい、洞窟のすみっこを謳歌している。
☆すみっこの三男☆
隅っこにいながら移動できる船の中にいる。
キノコの運び人。
兄のおさがりの着る毛布に包まって、船のすみっこを謳歌している。
☆すみっこの四男☆
我が家の隅っこが一番な人。
家の隅っこを改装して、兄弟が作ったキノコ商品を売っている。
家にあった古い着る毛布を継接ぎして身にまとい、家のすみっこでゆっくりしている。
☆キノコ☆
とてもおいしいキノコ。
☆テースキラ☆
人に似せた機械の人。いつも白衣を着ている。
白色の髪、赤い瞳で、中性的な容貌を持っている。
小さな世界を管理している端末の一つ。世界の保守点検をしている。断線であるとか、劣化した部品を取り替えるだとか、簡単な修理はできるが、難しいものは復元屋に持っていく。
暇なときは、思考を試行している。
☆ひよこ☆
弱っていたが、復元屋の力で元気になった。限りなく本物に近い雛。
実は、雛に似せた機械。ちょっと狭い場所の点検に便利。
☆しゅりるり☆
神出鬼没で、シリアスな空気をどっかへやっちゃう、ちょっと騒がしい人。
栗色の短髪と少し青みがかった灰色の瞳を持っている。
存在確率な観察が好き。
名前の元ネタは、ゲームのキャラに名前をつけるとき、目をつぶってカーソルを適当に動かして生まれた名前。偶然の産物であり、特に意味のない、ものすごく適当に生まれた名前。
☆しゃもじ☆
本当は湯棒。お湯を冷ます道具。
ヤチボカ村の温泉で使われていた。
しかし、奇跡は起き……今は、空を飛んでいる。
☆アンキ☆
りんご専門の魔王。
頭にかぶるのは、ヤチボカ村特産のカボチャ。
近所の子どもたちを、手下にくわえて、悪さをしている。
必殺技は「アンキクラッシュ」
名前の元ネタは、恐竜のアンキロサウルスから。元ネタの恐竜のような強力なしっぽの鈍器があれば、「アンキクラッシュ」は、もう少し強かったかもしれない。
☆アネーハ☆
布団を率いる魔王。白い布(絹製)をかぶっている。
お城を建てるのが趣味の一級な建築家でもある。様々な仕掛けが挑戦者を待ち受けている。
攻略後に崩れるお約束なお城を作った。
☆布団5人衆☆
7人いる。みんなで吹っ飛んだ。
布団が吹っ飛んだー
☆猫仮面☆
影が揺らめいている、よくある正体不明の魔王の造形をしている。
今年の『ザ・全国魔王録』によると、なかなかの実力。
分身して襲いかかってくる。
玉殿と房殿を、なでなでするのが好き。
「我が人生に悔いは無し……」といって、力尽きる。
★よんよんの秘密の日記「そういう せっていの ゆめ?」★
ゆめとげんじつは、あいまいなんだってよ~ん。
おいらは、いま、おきているけれど、もしかしたら、ゆめをみているのかもしれないってことよ~ん?
もしも、いまがゆめならば、おいらは、いつ、めがさめるよ~ん?
めがさめたら、おいらは、おいらなのかよ~ん?
わからないこと、だらけだよ~ん。
地図以外の絵の提供・隅の人様