8 社交会デビューです。
我が公爵家で毎年行われる私の誕生日パーティーですが、今回は、私が初めて社交会デビューをする舞台となります。
そのため、これまでとは比べ物にならないぐらいの大勢の人が我が家に集まっています。
私は4月6日生まれなので、家の庭には桜がたくさん植えられていて、ピンクに染まっています。
「えー、皆さん。本日は我が娘のためにお集まりいただき、ありがとうございます。このような素晴らしい日に、娘のデビューを祝えることに感謝しております。」
お父さまのスピーチによって、ついに誕生日パーティーが始まりました。
「それでは、まず娘のエリカを紹介します。」
私は、ゆっくり深呼吸して、動作一つ一つに気を使いながら台に上がりました。
大勢の貴族の皆さんが、私をじっと見つめています。
「エリカ・ウェイバリットです。今日は、このような素晴らしい方々に祝っていただきデビューできることに感謝しております。公爵家の名に恥じない娘になれるよう、これからも努力していきたいと思っております。どうか、よろしくお願い致します。」
「私からも、どうか娘をよろしくお願いします。」
私を見ていた貴族の方々は、ふっと笑顔になり、拍手をしてくださいました。
どうやらお眼鏡に叶ったようです。
桜の花びらが、私を祝福するように舞っていました。
その後私は、お父様と一緒に、挨拶にまわっていきました。
そして、挨拶も終わり、しばらく休憩となったところで、まわりがざわめきだしました。
人ごみをかき分けてやってくるざわめきの原因は、エド様でした。
私は、慌てて自分からかけ寄りました。
「エド様!今日はもっと遅れてくるんじゃなかったんですか?」
「エリカ、誕生日おめでとう!確かに用事はあったけど、急いで終わらせてきたよ。今日は紹介したい人がいるんだ。」
そのことはあらかじめ聞いていたので、私はあまり驚きませんでした。
「彼は、アルバート・ガードシア。バリヤード騎士団のガードシア団長の息子で、騎士見習いなんだ。そして、その修業として、何日か前から護衛をしてくれているんだ。な、アル。」