6 あっという間に決まったんです。
私が向かったのは、王宮です。
もちろんゲームと全く同じ造りでした。
私は、内心感動しながら、表情には出さずに王子殿下を待ちました。
王子殿下は、笑顔で歩いてこられました。
「お久しぶりです。王子殿下。」
私は貴族の正式な礼で、挨拶をしました。
いくら5歳といっても貴族は、大人の様な会話をしなければならないのです。
「この間は、わざわざ私の家にお見舞いに来て下さり、ありがとうございました。おかげさまで、すっかり元気になりました。」
すると、王子殿下はにっこりとあどけない表情で笑いました。
「それは良かったです。この間は、あなたの寝顔を見ていると、つい眠くなって寝てしまいました。すみませんでした。」
私は、寝顔を見られていたことに赤面し、少しうつむきました。
「いえ。こちらこそ、見苦しいものをお見せしてしまい、申し訳ありません。」
「っ、そんなことはありません。僕は、あなたの寝顔がかわいらしくて、見惚れていて眠ってしまったんです。」
(え?)
驚いて顔をあげると、王子殿下は、顔を少し赤くして、真剣な目で私を見ていました。
「実は、僕はあなたを初めて見た時に一目惚れしてしまいました。どうしても、あなたが欲しいと思いました。
なので、あなたの家に婚約させて欲しいという手紙を出しました。
許可をもらったので、後はあなたに返事をもらうだけなんです。
エリカ嬢、どうか僕と婚約していただけませんか?」
……マジですか。話が早すぎて、頭がついていけていませんでした。
王子殿下は、顔を真っ赤にして、私を見つめています。少し潤んだ瞳が可愛すぎて、私はクラっとしました。
婚約は、10歳になってからのはずなのに、何故でしょう。
ともかく、王子殿下本人に言われたら、受けるしかありません。
「……はい。」
そのとたん、長く喋らなかった私を見て不安そうな顔をしていた王子殿下が、パッと顔を輝かせました。
「ありがとうございます!あの、僕のことはエドと呼んでください。特別な人には、そう呼んでもらっているんです。
……それから、その……」
恥ずかしげな、何か言いたそうな顔で私を見る王子殿下、いえ、エド様に、私はこう言いました。
「分かりました、エド様。私のことは、エリカと呼んでください。」