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仔猫の恋  作者: くろくろ
黒猫と狐さんと小話いろいろ
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狐さんと黒猫とその周囲の人びと④(結婚式当日編)

卯月うづき夫妻…夫の課長は直の上司。妻の店長は珠稀の店の店長。

早紀さき…珠稀に『姫先輩』の内心呼ばれている販売員の先輩。

晴人はると…直の後輩。

【狐の嫁入り】


珠稀「………(空を見上げて)雨、止まないね」

直「空は晴れてるのに、な(隣り合って空を見上げる)」

珠稀「あれだね、狐の嫁入り」

直「俺は嫁がないけど(笑)」

珠稀「そりゃあ、ねぇ。じゃあ、狐の嫁取りだ(笑)」


直「キレイだな」

珠稀「うん…キラキラしてて、とってもキレイだよね。雨だと暗くてじめじめしてるのに」

直「いや、珠稀のことだよ」

珠稀「へ………(硬直)」


巫女「お二方さま、移動致します(大きな赤い和傘を準備する)…あの?」

直「あぁ、大丈夫ですよ。彼女は照れているだけですので(さわやかに微笑む)」

珠稀「うわぁぁぁっ!!(赤面)」



【新婚フィルターが一瞬だけ取れた】


珠稀「~~~(赤面して、羞恥心を耐えている)」

直「(キレイだな…。反応はいつも通り可愛いけど、今日はとてもキレイだ。本当に今日から、彼女は俺の……)」


父・志「「うう……珠稀、キレイだよ……(号泣)」」

直「(我に返り)二人とも、式前に干からびないように!!」




【新婚ですので、お手柔らかに】


直「そんなことで恥ずかしがって、この先大丈夫か?」

珠稀「うう…」


直「ほら(手を差し出し)」

珠稀「う……っ?」

直「足元がぬかるんでるから掴まって下さい、奥さん」

珠稀「~~~(赤面)」

直「(にやにや)」

珠稀「ムッ!…ありがとうございます!旦那様!!(強い口調のクセに、照れて指先だけ直の手の平に乗せる)」

直「だ、だんなさま………(赤面)」

珠稀「あ、歩きづらい!!(慣れない着物に苦戦して、気付いていない)」


巫女「(りあじゅうばくはつしろ!!)」




【久し振りの登場】


女友だち「あれ?なにあれ!?結婚式!?」

男友だち「すげーな!見てみろよ、恵多けいた!」

恵多「あー?」


女友だち「いいな~、白無垢!すごくキレイ~」

男友だち「ガサツなお前には似合わねーよ(にやにや)」

女友だち「ムッ!そんなことないもん!ねぇ、けい…恵多?」

恵多「あああ、あれ!!珠稀だっ!!」

女友だち「たまき~?誰だっけ?」

男友だち「えーと、聞いたことがある気が……」

恵多「中学んとき、クラスにいた奴だよ!…隣の男、成人式のときのっ(ギリギリ)」


女友だち「ちょっと、恵多~~?返事がないんだけど」

男友だち「あ、あぁ。でも、ここにいたら邪魔になるから、どっか休めそうなところに連れてこう」

女友だち「りょうか~い」

恵多「ちょっ!待て!!俺はあの男に!!おい、まて、こらっ!!(引き摺られて退場)」


直「騒いでるあの男……(恵多の去った方向に鋭い視線を投げ)」

珠稀「ちょっと、直さん。もう少しゆっくり、ゆっくり歩いてよ~~(困)」




【結婚に踏み切ったキッカケ】


式の後、二次会にて。

早紀さき「おめでとう~(日本酒を差し出し)」

珠稀「ど、どうもです(慌てて酌を受ける)。貴崎さん、ここにいてもいいんですか?(膨らんだおなかを見つつ)」

早紀「大丈夫!飲んでないから!飲みたいけど!!」

珠稀「(心配だ…)」


早紀「私と晴人はるとはともかく、どうしてラッシーは結婚しようと思ったの?だってまだ二〇代でしょ。もったいないじゃん!もしかして……(珠稀のおなかに視線を向けて)」

珠稀「違いますよ!?えーと、ですねずっと一緒にいられるからですね」

早紀「あ~、わかる!私たちって人と仕事の時間が合わないから、デートにもなかなか出掛けらないからね。でもそれって、同棲したら解消されるわけだし、別に結婚しなくても良くない?」

珠稀「え、ええ?(困惑)」

早紀「だからさあ、もっとないの?『他の女に盗られたくない~!!』とか、そういう情熱的なもの!」

珠稀「(あるけど、そんなこといいづらいよなぁ…。別れたくないとか)」


珠稀「そうですね……(腕組み)」

早紀「なになに?」

珠稀「………あれ?特に思い浮かばないです」

早紀「…え?」

珠稀「家に帰ったら迎えてくれたり、一緒にご飯を作ったり片付けたりしたり、寄り添ってテレビ見たり、ときどき朝ご飯を作ってもらったりとかうれしいですけど、それだって実家でしてもらえましたし……。し、強いていうのであればなかなか兄たちの目が合ってくっつけないってことくらいでしょうか?(テレテレ)」

早紀「…………うん、晴人の先輩が努力家だっていうことはよくわかった(呆)」

珠稀「え…?」


姫先輩は、自分からきっかけを作るという努力と、イチャイチャ出来ないのを我慢するという努力のことをいっている。しかし、ノロケにも聞こえる…。




【ドン引きされる謂れはない】


卯月夫妻がお祝いをいいに来てくれたようです。

課長「おう、この幸せ者!!」」

店長「おめでとうございます(夫の頬をひねり上げつつお辞儀)」

直「ありがとうございます(目の前のやり取りは気にしない)。それに、二次会を企画して下さってうれしいです(さわやかに笑う)」

課長「胡散臭い顔だな!(大笑)」

直「(イラッ)」


課長「それにしても、うちの嫁の部下がお前の奥さんになるとは思ってもみなかったぞ?どうやって誑かしたんだ?ん?」

直「張り倒してもいいですか?(笑顔)」

課長「え…コワい」

店長「いいですよ(笑顔)」

課長「ちょっ、嫁さんやめてっ!?(涙目)」

店長「あなたが鈍いだけよ(呆)。もう本当に、付き合いは長いものねぇ」

課長「え………、マジで?つか、お前の年下のカノジョってまさか!?(驚愕)」

直「何で驚愕しているのかわかりませんが、中学生の彼女に手を出した覚えも高校生の彼女を誘惑した覚えもありませんよ。あと、ロリコンじゃないので思いっきり引かないで下さい!!」




【男の沽券に関わるので】


課長「ま、まあ、もう責任を取った形になったからいいか」

直「課長の誤解が解けていないので良くはありませんが、取り敢えずはいいでしょう」

店長「(どちらが年上かわからないわね、これじゃあ)」

課長「奥さん!そんな呆れた顔で見ないで」

直「(尻に敷かれているな。うらやましい)」

課長「こうなったら…っ(ヤケ)結城!」

直「はい?」

課長「アルコールの飲みすぎで、この後使い物にならなくなれ!!」

店長「『この後』と、いうのは…(冷たい眼差し)」

直「(カチン)」


直「課長に祝われて、とてもうれしく思います(近くにあったビールの瓶を持って)」

課長「お、おう」

直「ですので、幸せのおすそ分けをしたいと思います(黒笑)。さあ、遠慮しないで飲んでください。まだまだ、たくさんありますので」

課長「ちょ、お前さんが俺に酌をするのはちが…いや、そんな飲んだそばから入れてくってもはや椀子そば状態、やめ、やめて、もうのめな――ぐふぅ」

直「(フッ、たわいもない)」

店長「(下戸なのに、何をしているのかしら)」




【みんなまとめて返り討ちだ!!】


店長「彼は私が責任をもって回収するわ(夫の太い首を鷲掴みつつ)」

直「ありがとうございます」

店長「それは良いのだけど…大変、残念なお知らせがあります」

直「…はい?」


志良「おーい、この幸せ者!!俺の酌で酒が飲めないのかー!!」

美織「珠稀ちゃんが、私の可愛い妹が…!!ケダモノの餌食になってしまうくらいなら、ここで潰してやるっ!!」

職場の先輩「いつの間にカノジョがっ!!今夜は生きて新妻のところに行けると思うなよ!!」

職場の先輩「ここで討ってくれるわー!!」


店長・直「「…………」」


直「全員返り討ちにしてやるので、ご安心下さい(微笑)」

店長「そう…犬江さんは頼もしい旦那さんを持ったのね。ご武運を」

直「ありがとうございます(微笑)」


むろん、全員返り討ちにした。




【まさか、彼女に流れ弾が当たっていたなんて…(ギリギリ)】


直「ふぅ…さすがに、疲れたな(周囲に屍の山)」

晴人はると「あっ、結城せんぱ~い」

直「おい、踏ん付けるなよ。呪われるぞ」

晴人「ハハハ!おもしろい冗談ですね~ところで、先輩」

直「なんだ?」

晴人「奥さん酔い潰されたみたいですよ?」

直「なにっ!?」


早紀「…てへ☆」

珠稀「ふにゃぁ~(へべれけ)」


晴人「俺の奥さんがやってしまったみたいで!アハハ!」

直「珠稀が可愛い!!…じゃなくて!どうしてくれるんだ、この後!!」

晴人「責任を持って、討ち死にした面々を保護します!(直が酔い潰した人々を差し)」

直「……じゃあ、彼女だけ回収しとくわ」


その後、無事に初夜を迎えられたかは当人たちとお月様のみぞ知る。

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