狐さんの知っている彼女のこと②(伝えたい言葉編)
狐さんが何やら話したそうです。
【ホテルのレストラン】
ドラマを視聴中の二人。
俳優「結婚してほしい」
女優「…っ!はい、私でよければ」
俳優「ありがとう…指輪、付けてもいい?」
女優「えぇ…(頬を赤らめ)」
珠稀「じー」
直「(珍しいな。タマがあんなに恋愛ドラマに集中するなんて)」
珠稀「直さん」
直「うん?どうした?」
珠稀「あの二人、イチャイチャしてて気付いていないようだけど、デザートのタマゴ型になってるチョコの表面に水滴が浮かんでる」
直「…よく見てるな」
珠稀「中身はアイスと見た!!(カッと目を見開き)」
直「(すごい気迫だ)」
珠稀「外気との温度差であんな風になっているんだよ、きっと!あぁ、イチャイチャはもういいから、中身を見せてよ~~(テレビにかぶりつく)」
直「(ホテルのレストラン、美しい夜景とムードはあるのに、そこはどうでもいいのか。タマらしいっていえば、タマらしいけど。…よく俺、告白に集中してもらえたな)」
珠稀「直さん、笑ってるけどどうしたの?」
直「いや…うん。場所はともかく、タイミングは大事だと再確認しただけだ」
珠稀「?」
そういえば直さん、ケーキ食べてる珠稀に告白してたな~と思い出して。
【一八〇度のパノラマ】
引き続き、テレビを視聴する二人。
ナビゲーターの女性「ベッドルームから見えるこの風景!夜景をご覧下さい!綺麗でしょう~」
珠稀「お~」
直「すごいな」
ナビゲーターの女性「一八〇度見渡せる美しい風景を独り占め出来る、こちらのスイートルームの宿泊代はこちらのお値段になります!!」
珠稀「お、おぅふ(値段にビビる)」
直「そもそも、俺がベッドのある場所で冷静じゃいられないから却下だな」
珠稀「?」
【事中・事後】
珠稀「……(ぐったり)」
直「まぁ、ムリだろうな…。タマ、水飲むか?(ペットボトルを差し出す)」
珠稀「う、うぅ…(のろのろと震える手を差し出す)」
直「言質は取れるだろうけど、タイミング的には最悪だ。それに、だいたいからして聞いてないだろうし、な(ボソッ)」
珠稀「?(ぷるぷる震えている)」
【花畑】
散歩する二人。
珠稀「へー、河川敷にこんなキレイな場所があるんだね」
直「すごいな、一面花で埋め尽くされてる」
珠稀「誰か、管理してる人でもいるのかな?」
直「品種としては、ごく普通に道端に生えてる種類だからどうだろう?…入ってみるか?」
珠稀「うん!」
直「足元、気を付けて(珠稀の手を引きながら)」
珠稀「はーい(生返事)」
直「(大丈夫か?)」
珠稀「わー、本当にきれ…ひっ!?」
直「どうした?」
珠稀「いいい、いま、あの音が」
ぶーん
直「あっ、蜂」
珠稀「いやぁぁぁぁあっ!!(直に飛び付く)」
直「ぐわっ!?(驚きつつも抱き留める)」
珠稀「やややややだ、蜂こわい蜂こわい!(べったりは張り付く)」
直「いや、でもあれはミツバチ…」
珠稀「でもわたしもうにかいさされてるから、つぎさされたら(ガクガク震える)」
直「はいはい。じゃあ、移動するよ(しがみ付かれたまま移動)」
珠稀「ひ~ん(涙目)」
【夕焼けなキレイな浜辺】
珠稀「水着がない」
直「まず、そこか。いや、別に水着を着る必要はないんだけど」
珠稀「?じゃあ、何しに行くの?」
直「うっ……」
【帰り道】
直「タマ…(手を繋いだまま立ち止まる)」
珠稀「?」
直「このまま、一人の部屋に戻るのは寂しい、な(寂し気に笑いながら)」
珠稀「あっ、じゃあ(犬江家を指さし)。家に寄る?」
直「(そうじゃないっ。『一緒の家に帰りたい』っていう言葉の前フリなのにっ…。そうじゃないんだ、タマ!!)」
珠稀「な、直さん急にどうしたの?あの、その、地面そんなにキレイじゃないから、落ち込むなら家で落ち込んで……」
【昔からの引き継がれている言葉】
珠稀「あ、あれ?直さん早いね?(出勤前)」
直「あぁ、何も持たずに来たからいったん部屋に戻ろうかと思って」
珠稀「なるほど。…で、なにしてるの?」
直「朝ご飯を作ってる(お茶碗に自分と珠稀の分をよそう)」
珠稀「……だいぶ馴染んでるね(自分の女子力のなさに凹む)」
直「お母さんに了解を得て、好きに使わせてもらってるからかな。俺が勝手にやってることだから、そんなに落ち込まないでくれ(台所から出て来て、たまきの頭を撫でる)」
珠稀「テーブル拭いて、運ぶよ。後、後片付けはまかせて」
直「了解。お願いするよ」
珠稀「…直さん」
直「ん?(みそ汁の椀を下ろし)どうした、急に真顔になって」
珠稀「毎朝、私におみそ汁を作って下さい(真顔)」
直「……え(絶句)」
珠稀「よろしくお願いします(深々と頭を下げる)」
または、珠稀の場合「毎日、卵焼きを作って下さい」だと思う。
【おまけ】
志良「プロポーズ?そんなの、事後に眠ってる相手に結婚指輪でも嵌めとけばいいだろ?」
美織「結城、殺ってしまえ」
直「了解」




