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仔猫の恋  作者: くろくろ
黒猫と狐さんと小話いろいろ
49/61

黒猫の知らない彼のこと③(大学時代編)

直さんが大学生だった頃の話。珠稀の影のうすさ…

【面倒見の良い結城という人】


※大学一年、後期頃

飯島「ゲッ!?これ、犬江のレポートか?…あいつ、まだ学校にいたっけ?(きょろきょろ)」

直「(通りすがり)ん?犬江に用事か?」


飯島「あっ!いいとこに!(レポート差し出し)」

直「あ~。飯島の後だからな、犬江って。しかたない、俺が預かって後で渡すよ」

飯島「サンキュー!」


友人「あっ、結城!さっきの講義の…」

直「あぁ、あれな。図書室に、わかりやすい資料があるぞ」


友人「結城~サークルの飲み会なんだけど~」

直「人数はどうなんだ?ああ、予定よりも多いのか。この人数だと、二部屋必要になるから、早くに店に確認とっておけばいいだろ」


飯島「結城って、本当に面倒見がいいな」


志良「結城~課題忘れた!」

直「それは自分でやれ!だいたい、お前は今までどこにいたんだ!!さっき准教授が探してたぞ!何をしたんだ!!」

志良「なんだったかな?」


飯島「…面倒見が良すぎるのも、問題か」


大学時代、志良係だった直さん。




【(一人)トラブル処理班の仕事ぶり】


友人「もう少し飲もうぜ~(べろんべろん)」

志良「おー!!(べろんべろん)」


飯島「もう止めとけよ」

友人「だーいじょうぶだって!あっ、そうだ!今から犬江ん家行こう!」


志良「はぁ?(低い声)」

友人「(気付いていない)だって、両親いないんだろ~なら、好きに出来るだろ。俺んちは親がうるさいし、他の奴らは独り暮らしでも部屋が狭いし!」


志良「(とろんとした目に戻る)いやー、ムリムリ!酒の匂いでバレる!そしたら、俺がお袋に締められるって!」


飯島「(あれ、今の見間違いか?目が、コワかったような)」


友人「えー、いいじゃんよ。(からむ)そういえば、妹がいるんだっけか?」

志良「(ぴくっ)いるけど、もう寝てるって!子どもが起きてる時間じゃないし、あいつは寝起き悪いからな」


友人「兄貴が起こしてるのに、何寝てんだー?俺が年上に対する礼儀を教えてやる!」


志良「……(青筋)」

飯島「やめとけって!そもそも、酒のあるところに子どもを呼ぶなよ!」


友人「はぁ?呼んでやってんのに、来ない方が悪いんだろ」

飯島「(ヤバい、完全に悪酔いしてる)」


友人「おい、いくぞ!」

直「(ガシッ)ちょっと、待て」

友人「なんだよ(肩掴まれ)」

直「お前、明日の一限目に講師に頼まれてたの、準備終わってたか?確か、人数分準備するって話だったけど」


友人「あっ…(青褪め)」

直「プリントの印刷だっけか?ちょうど、頼まれてた日は学校の印刷機が使用中で使えなくて、後の日はバイトやら飲み会だったろ?学校の印刷機なら、ホチキス止めされてるけど普通の印刷機じゃ、自分でやらなきゃならないぞ。あの講師、厳しいんで有名だから、頼んどいた資料がないとなると…」


友人「うわあぁあぁっ!ヤバい!準備してない!?(酔いが覚めた)どうしよう、結城!?」

直「しかたない、これからやろう。四人でやれば、すぐに終わるさ(掴んでた肩を叩き励ます)」

友人「うぅっ、悪い…」

直「気にすんな。ここからなら、俺のアパートが近いからそっちにしよう」


直「犬江」

志良「なんだよ」


直「あいつ、この間カノジョと別れたばっかりだから寂しいんだよ。許してやってくれ」


志良「……」

直「お前が妹さんのこと、大事にしてるのはわかってる。だけど、ここは」

志良「なあ、結城の部屋はじめて行くんだけど!ビールあるか!?(いつものテンション)」

直「はいはい(安堵)。ありますよー」


飯島「すげぇな、結城…(唖然)。つーか、犬江に妹いたのか」


志良が外で、あまり珠稀の話はしない。




【面倒見られてるけど、あれでも兄です】


飯島「なぁ、犬江に妹っているのか?」

直「いるみたいだな」


飯島「…俺、はじめて聞いたんだけど。実は嫌われてるとか」


直「いやー、それはないだろ。俺は元々、あいつに妹か弟がいると思ってただけだ。いかにも心配性な兄さんだろ?」


飯島「…は?いや、どう見ても自由気ままなひとりっ子だろ、犬江は!」


もしくは、甘えん坊な末っ子タイプ。




【年の離れた妹】


直「まあ、あまり話題に上げない時点で、妹だって予想は付いてた」

飯島「単純に、仲が悪いとかじゃないのか?俺だって仲は悪くないけど、弟のことはあまりいわないな」


直「同性なら、あまり気にしないよな。でもまあ、年も離れてるみたいだし、やっぱり酒の付き合いもあるから出来れば関わらせたくないんじゃないか?」

飯島「えっ、年離れてるのか?」

直「子ども扱いしてたから、勝手にそう思ったんだ。それに、『遅い』っていっても、まだ10時だったし」

飯島「よく聞いてるなー」


実際は、単に志良が子ども扱いしてるだけ。




【わかる】


直「あと、俺にも妹がいるから気持ちもわかる」

飯島「そういえば、そういってたっけ?面倒見がいいのも納得だな」


直「うちは年子なんだけど、妹はワガママ放題でな。大事な家族で妹だけど、なんかもういろいろ諦めてんだ。だから、よくわかるよ」


飯島「(違った!苦労が『わかる』んだ!?)」




【温度差】


志良「あっ、直!」


飯島「(名前呼び?いつの間に)」

直「なんだ?犬江」


飯島「(温度差!)」




【│強引ゴーイングマイウェイ】


志良「やってられっかーっ!!」

飯島「(それは、どちらかといえば先生たちのセリフ)」


志良「よし!飲むぞ!!」

飯島「あっ、悪い。俺、バイトの給料日前だ」

直「お前もそうだろ、犬江」


志良「そういえば、そうだった。なら…(ガシッ!)」

直「(肩を組まれ)何だ?」

志良「今から直ん家に行こう!(良い笑顔)」


直「…は?(ぽかーん)」

志良「行くぞ、飯島!まずは酒の買い出しだ~」

飯島「うわー…、良い笑顔で結城を引き摺って(ハッ!)って、俺も強制参加!?」




【何となく、探したくなる】


直「まったく、来るなら先にいえよ」

飯島「(でも、迎え入れてくれるんだ)」


直「犬江、台ふきんはこれ…犬江、お前は何してるんだ?」

志良「えっ?エロ本探し?(ガサゴソ)」


直「帰れ(ドスのきいた声)」

飯島「(はわわわわっ)」




【ロリコンではない、断じて】


志良「フムフム、直の趣味は巨乳と(パラパラ本を捲りつつ)」

飯島「(スゲェ、妨害されながらも見付け出した!)」

直「いいだろ、別に(脱力)」


志良「そして、ろ…」

直「だまれ(ドスのきいた声)」

飯島「いや、あの、童顔なだけで結城は決してロリじゃ…(あわあわ)」




【ディスされている姉崎さん】


飯島「犬江、お前なんでこんなことすんだよ(呆)」

志良「えっ?直のことを知りたいから」


飯島「へっ…?」

直「はぁ…?」


飯島「…ハッ!まさか犬江、結城のことそういう目で見てたのか!?」

直「そういう目…(胡乱は眼差し)」

志良「いやいや、ロリとは思ってなか」

直「そこから離れろ(ドスがきいた声)」


飯島「キレイだけどいまいち色気に欠ける、男っぽい姉崎と良い雰囲気だと思っていたけど、まさか男の結城のことを狙ってたなんてっ…姉崎なら、見た目のボリューム感はないけど、かろうじて女なのに」

直「いや、違うと思う…って、飯島。そのいい方だとだとお前、姉崎がひんにゅ(強制終了)」


注・美織おねーさまはスレンダー




【前言撤回】


志良「ハハハッ!飯島はおもしろいな~(大笑い)」

直「よく、あんなひどい勘違いを笑い飛ばせるな(呆)」

志良「おもしろかったからいい!(キッパリ)」

飯島「うぅ…(赤面)」


志良「安心しろよ、別に直の後ろは狙ってないからさ!」

直「だろうな」


志良「いや-、うちに妹いるだろ?浮いた話の一つもないから、そんなのが直と遭遇したらあっさり落とされそうだな~と思って。そこら辺、真面目な│達紀たつきは心配ないんだけどな!」


飯島「それ、褒められてないよな?(…ん?あれっ!?いつの間にか名前呼び)」

直「六才も違うんだろ?安心しろ、そんなことにはならないから(苦笑)」


たった数年後、この言葉を撤回することになろうとは、このときの直さんは夢にも思わなかった。(ナレーション風に)




【このときのことを珠稀はかなり引き摺っている】


※大学二年、前期の終わり頃


達紀「志良の奴、『家に届けてくれ』なんて…」


ピンポーン


「(インターホンから)はい」

達紀「こんばんは(あれ?今日は母親がいるのか)オレは息子さんと同じ大学の飯島といいます。頼まれていたものを届けに来ました」

「………少々お待ち下さい」

達紀「(今の間、何?)」


珠稀「お待たせしました」

達紀「あっ、はい。これなんですけど、渡しておいてもらえますか(あっ、ヤバい!母親じゃなくて)お姉さん」


珠稀「おね…っ?!(絶句)」


初対面の直さんにツンとしているように見えたのは、これのせいで警戒していたのもある。




【そして自分の家のように振る舞う直(無自覚)】


※数ヶ月後


達紀「また、『届けておいてくれ』って、シロの奴!!」


ピンポーン

ガチャッ!


珠稀「直さん、いらっ(玄関を開けたまま)あっ……」

達紀「…えっ?(『直さん』って)」


直「タツか?玄関で固まって何してんだ?」

達紀「直?」

珠稀「直さんっ!?」


直「(達紀の肩越しに珠稀を発見)タマ、確認してから玄関開けないとダメだろ?」

珠稀「はい…(しょぼーん)」

直「まあ、相手はタツだったし、次から気を付ければいいさ(頭を撫でる)タツもごめんな。シロに頼まれたんだろ?」

達紀「いや、俺は別にっ!(あれ、この子もしかして、シロの妹?)」


珠稀「兄貴の友だちですか?なら、お茶を準備しますね(足取りが軽い)」

直「ありがとう」


達紀「お、おい、直!」

直「なんだ?あぁ、寄ってく時間がないのか。なら、クッキー包んでもらうか」

達紀「ありがとう…じゃなくて!趣旨替えしたのかっ!?」

直「…何の」

達紀「いやいや、だぼだほな服を脱いだら意外と…痛っ!?お前の趣味の話をしてんだよっ!!」

直「うるさい!俺はロリコンじゃないっ!!」


珠稀「……?(外が騒がしいな)」


ちなみに、クッキーは珠稀作。

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