洋菓子店の黒猫と狐さん(小咄集)
どうでもいい小咄まとめ。
【洋菓子店の新人さん】
店長「いらっしゃいませ」
珠稀「いい、いらっしゃいませ」
直「(噛んだ)」
課長「おっ、ママ!新しい子、入ったの?」
店長「当店ではご希望にそえそうにありません。申し訳ありませんが、別の業種のお店に」
課長「冗談だって!」
店長「(冷ややかな目)」
微笑ましそうに新人を見ていた洋菓子店店長の視線がその瞬間、冷ややかになった。
【カオス】
課長「冗談だよ~おじさん、コワくないよ~(猫なで声)」
珠稀「……(無表情でじりじりと後退)」
店長「あなたがおじさんだと、私はおばさんになるわね」
直「そんなことありませんよ」
そして、冷ややかなままの店長と、それを宥めようとする直。
カオスである。
【どのいい方でも“変人”】
直「あー…。一応、上司だからっていうのあるけど、フォローすると」
課長「おまっ!?結城、一応って…」
直「変わった人だけど、悪気はないから」
課長「おっ、ママ!新しい子、入ったの?」
店長「当店ではご希望に」
直「悪気はない。変な人だけど」
珠稀「……」
新作ケーキを見ながらの会話である。
【黒さの片鱗】
課長「ひでぇな!上司に対してその態度」
直「尊敬はしていますよ」
課長「おっ、そうか?(照)」
直「(チョロい)」
課長「新人ちゃん、こいつこんなに爽やかそうに笑うけど、中身は真っ黒というか、ドロドロしてるから見た目に騙されちゃダメだよ?」
直「(違った、イヤがらせする気満々だった))
課長「あと、カノジョの話題になるとデロデロになる。可愛げのない黒猫みたいだっていってるわりに」
珠稀「………(ジト目)」
直「課長、ちょっと」
直「(この野郎、この間接待で若い女の子がたくさんいるお店に行ったこと、奥さんにバラしてやる)」
【いま、めのまえにいるの】
「話は聞くけどな。俺に紹介してくれないし、写メも見せてくれないんだぜ?写メぐらい、あいつは平然とカノジョに無断で撮ってるだろうにヒドいよな」
珠稀「………(ジト目)」
直「(写メは撮ってない。
だから、そんなに冷たい目で見ないでくれ)」
課長「会わせてくれないってことは…あっ!すごい可愛い子だとか!そりゃ、見せたくないよなぁ!はははっ!」
直「(いえ、今目の前にいます)」
【はじめまして】
店長「この子は犬江さん。四月から、ここで働いてもらっているの」
珠稀「犬江です。よろしくお願いします」
課長「よく買い物に来るからよろしくね、犬江ちゃん!」
直「(犬江“ちゃん”?)」
珠稀「……(じーっ)」
直「ん?」
珠稀「はじめまして、よろしくお願いします(ペコ)」
直「はじっ!?(ガーン)」
店長「(あれだけハードルが上がれば、いい出せないわよね)」
店長の眼差しが生温い。
【まだ付き合う前だったし!】
課長「犬江ちゃんって、カレシいるのー?」
店長「これ、セクハラで訴えられないかしら」
直「職場が違いますからムリかと」
店長「犬江さん、答えなくてもいいのよ」
直「(いってくれてもいいのに)」
珠稀「……(どうしよう)」
課長「そういえば、泣きながら来た女の子と、その子を泣かしときながら平然と来店した男って、どっちかまた来店したの?男の方が来てたら俺、説教してやろうかなー」
珠稀「泣かされてな…あっ」
店長「(つられた)」
直「(引っ掛かった)」
課長「へ~、ふぅ~ん?(ニヤニヤ)」
珠稀「(あわあわ)」




