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短編詩集

あの日に生まれてきてくれてありがとう

作者: 楠木 翡翠

今から5年前の3月11日にあなたはママのお腹から出てきたんだよ


その日までママはあなたを守るために頑張って生きてきたの


パパも有給休暇を使ってあなたが生まれてくるのを待ってくれたんだよ


確かあなたが生まれる数分くらい前だったかな


入院していた病院で突然大きな地震が起きたんだ


パパはもちろんママもすっごく怖かった……


病院は高台にあって津波は免れたけど


建物(びょういん)はグラグラと大きく揺れたし


病室に置いてあったテレビやマグカップ、雑誌もすべて


床にドサドサと音を立てながら落ちた


ママの身体は限界だったけど


あなたが「ママ、生きて!」と言われている気がしたよ


ママが看護師さんにベッドごとロビーに連れて行かれた時


あなたはたくさんの人に囲まれて出てきてくれた


パパは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながらあなたを抱き上げたんだっけ?


あなたが「生きて!」と言ってくれたおかげでママは頑張れたし


あなたも頑張れたと思う


悲しみに包まれた雰囲気の中で生まれてきてくれてありがとう


あなたのおかげで少しだけパッと明るくなったからね


あの日に生まれたあなたのお友達はたくさんいるよ


住んでいる地域(ばしょ)や状況はみんなバラバラだけど


周りの人達を笑顔にしてくれたことに違いないから――

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  感想を書いてから一日たってしまいましたがレビューを書いてみました。
[一言]  この作品を読んであの日のことを思い出しました。  私はあの日神奈川県のとある町の工場で働いていましたが、ものすごい揺れで驚きました。  さらにそのあとの混乱ぶりといったら…。  数日間電車…
[一言] 命というものの力強さを感じました。 あの震災の中で生まれた命は、それだけでみんなの希望になったのでしょうね。
感想一覧
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