木陰での出会い
墨俣の戦いから数日後、お昼に焼き魚を定食屋で食べた俺はホクホクした気持ちで市を歩いていた。
「あぁ、今日も美味しかったな~ホント毎日三食たべても飽きないな」
今日も市は賑やかであちらこちらから活気に満ち溢れた声が聞こえる、こういうところを歩くと小さい悩みとかを忘れられるから市を歩いて店を冷やかすは好きだ。
そう考えていると市の外れのひときわ大きな木まで歩いてきていた。この木の下で休憩する人をよく見かけるが今日の先客はいつもとは違う感じだった。
何が違うのかというと、だいたいは町人風の人や旅人風の人が多いのだが今回は少しそういう身分とは違う風に感じる少女だった。
「こんにちは、君ここいらでは見ない子だね」
「・・・・・・・・・・」
俺の問いかけに何の反応もない、というか顔も俯いたままでピクリとも動かない
「ちょっ・・・・君、大丈夫?ねぇ」
「・・・・・・・・・ん」
心配になった俺はその子の体をユサユサと軽く揺さぶり声をかけると少しの反応をしめす、その反応をみた俺は再び
「君、大丈夫?こんなところで寝てたら風邪をひいてしまうよ」
そういうと俺の存在に気付いたのかゆっくりとその顔をあげた。幼い顔立ちだがその瞳は何か強い意志を持つ者のような力強さすら感じられるような真紅の瞳、髪は金に近い黄色って感じでどこか聖職者のような雰囲気すらする、背はすみれくらいか・・・着物も色鮮やかで身分の高さをうかがえる。
「・・・・おなか」
「ん?なに?」
その少女を観察していた俺の耳にその少女が発したと思われる声が聞こえる。声はその瞳とは裏腹にとても可愛らしい声でまだこの子は小さいというのを再認識させてくれるものだった。すると、
「・・・・おなか、すいたの」
一瞬にして瞳に涙をあふれさせて空腹を訴えてきた。
「うっ・・・・」
可愛すぎる・・・・可愛すぎるな!この子
「お兄さん、よかったら何か食べられるものを恵んでほしいの」
涙目、上目使い、可愛い女の子・・・・ヤバいヤバいヤバい・・・
気がついたら団子屋にいた、隣には美味しそうにお団子を頬張る今しがた出会ったばかりの女の子が・・・・・。
「美味しいの!お兄さんありがとなの」
「う、うん口に合ってよかったよ」
いまいち状況を飲み込めていないせいで気の利いたことが言えない、俺は気を取り直して少女に事情をきこうと試みる。
「ところで、なんであんなところで行き倒れてたの?」
「ん・・・・ゴホッゴホッゴホッ・・・・」
俺の質問に驚いてかいきなりむせだした。
「だ、大丈夫?はいお茶だよ」
「あ、ありがとなの・・・・・いきなり変なこときいてくるからビックリしたの」
「俺、なんか変なこときいた?」
俺の質問に少しだけ不機嫌なふうに返事をしてきた
「行き倒れって言ったの!行き倒れなんかじゃないの!ただ・・・・」
「ただ?」
「・・・・ただ、食べるものがなくなって、おなかがすいて動けないから木陰で休んでいただけなの」
いや・・・・・それを行き倒れっていうんじゃ・・・・・・
「だから、行き倒れじゃないの!」
「あ、うん・・・・まぁそれはおいといて、親は近くにいるの?」
俺がそう聞くと一気に暗い顔になって
「どっちも死んじゃったの・・・・だから」
「わかった、もうわかったから」
少女の言葉をさえぎって話題を変える
「行く当てはあるの?」
「・・・・・・ないの」
「そっか・・・・なら、しばらく俺が住んでる長屋にくる?そこには俺の部下っていうか仲間も一緒に住んでるんだけど・・・・」
そういうと少女はどうするか悩んで悩んでそして俺の目を見て
「いいの?」
と聞いてくる、それに俺は
「もちろん!全然歓迎だよ!」
と、答えるとパァっと明るい顔になってすごく嬉しそうに
「よろしくお願いしますなの!/茜っていうの」
「そっかそっか~よろしくね茜。俺は薩摩隼人、隼人でいいよ」
そう自己紹介した俺たちは一緒に長屋に歩いていった。




