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戦国を歩く〜異〜  作者: 柚紀
20/27

一夜城~内応・完成~

「・・・・ん、んん・・・・ん?」

 パチッと目覚めた女の子と目が合う。黒く吸い込まれそうな瞳をしている

「誰だお前は!え?え?なんでお前は私を抱いているんだ!」

「ちょ・・・ちょっと待って」

 女の子はそういうとおろしてほしそうにジタバタと暴れだしたので俺はゆっくりおろした。

「お前は一体誰だ、そしてここはどこだ!」

「ここは墨俣だよ、君が攻撃していた築城中の城の中で、俺は薩摩隼人って名前だよ。君の名前は?」

「な、なに?ここが・・・・」

 そういうと、訝しげにあたりを見渡す

「どういうことだ・・・・なんでこんなに仕上がってるんだ。あり得ない」

「いやぁやり方次第だよ・・・・それよりも君の名前は?」

「あぁ、すまん。私は安藤守就、西美濃三人衆が一人だ」

「安藤さん、気を失う前のこと覚えてる?」

 俺の質問に明らかに警戒した顔をして

「当たり前であろう!お前たちの築城を阻止するために攻撃しておったではないか!」

「・・・・それは合ってるな。じゃあ、俺たちが押し返した後のことは?」

「何をバカな質問を・・・・・あれ?」

 勢いよく否定しようとして安藤さんは固まった。

「なん、なんだっけ?私は何をやってたんだっけ、確か前線が押し返されて・・・されて」

 安藤さんは自分の頭を抱えてしゃがみこんだ。

「・・・・あ、押し返されてから急にムカムカイライラしてきて、それから・・・・それから先が記憶にない」

 俺はしゃがみこんだ安藤さんの頭をなでてから状況の説明をした。


「そんな、私が化け物になって部下たちを殺した・・・・私が」

 俺の説明の内容があまりにショックだったのか顔面蒼白の安藤さんがうなだれた、それから俺の顔をみて

「お前はどうやって私を救ってくれたんだ?」

「俺には君みたいに化け物に変貌してしまった人たちを救うという使命があるんだ。俺はその技を才のある人に伝授して共にこの世の中に蔓延る魔魂者という悪と戦うという目的がある」

「・・・・その魔魂者というのはよくわからないが、お前に救われたのは事実だからな。その礼はしっかりしたいと思う」

「いや、いいよ!そういうのを求めているわけではないからね」

「そういうな、これは命の恩人であるお前に対しての礼だ・・・・何も言わずに受けてくれ」

「わかった・・・・それで、礼とは具体的にどんなことをしてくれるんだ?」

 俺が納得したのを確認した安藤さんはコクンと頷いてから言葉を続けた

「私がお前にする礼とは、もしもお前が私の力が必要なときにお前に必ず協力してやるということでどうだ?ここに城を築くということは織田はそのうち美濃をとりにくるんだよな」

「・・・・・そうなるかな、美濃は日ノ本の中心に位置するからな。織田にとってはかなり重要だな」

「であろ?もしそのときにでも内応してやるといっておるのだ・・・・ここだけの話だがな、私は今の美濃の内情はあまりよくないのだよ。今の城主はまだ若い龍興様なのだが傀儡と化している、このままでは遅かれ早かれこの国はダメになる、だったらいっそ織田にでも預けた方が民のためになるからな」

「おいおい・・・・そんな内情を俺なんかに話していいのか?俺は一応織田信長の夫もしてるんだぞ?」

「そんなことは名前を聞いたときから気付いていたわ、むしろそのほうが都合がいい」

「どういうことだ?」

「そのままの意味だよ、その報告を聞いた織田なら早急に美濃を獲りにくるだろう。なるべく早くしてほしいのだよ」

 そういうと安藤さんは手を差し出してきた。

「何?」

「握手だよ握手。一刻も早く頼んだぞ、誠意を込めて私の真名も一緒に預けておく・・・・私の真名は/莉々《りり》だ。よろしくな」

 そういうと莉々さんは生き残りの部下を連れて美濃へと引き返していった。その後ろ姿を見送った俺につつじから報告がくる、とうとう一夜城がもうすぐ完成とのこと。そして

「よし!無事に完成だ」

 そういった俺の言葉とともに日の出がきた、神々しい太陽の光が目を差した・・・・大きな損害もなく完成にこぎつけて感動に浸っているとまたもや報告がきた、なんでも織田の兵士が守備を交代してくれるらしい。俺たちは交代の部隊に任せて堂々と帰路につくのであった。


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