一夜城攻防戦
「よーし、じゃあ今からそれぞれの班に分かれて作業を開始しよう!つつじは堀の手伝い、さつきは柵の手伝いだ。一刻後に一度俺のところに状況の報告に来てくれ」
川を下って目的地に到着した俺は各班のリーダーに指示を送ってから数人の部下に斥候を命じて各班の作業状況の確認をして手が足りないところのフォローをしていた、すると先ほど斥候に出した部下が血相を変えて戻ってきた。
「も、申し上げます。川下より敵軍およそ百人が迫ってきております」
「何・・・・・そうか、堀班、柵班は急いで武器を装備。組み立て班は弓で後方支援、指揮はつつじ!さつきは前衛の指揮をたのむ」
「はっ!で隼人様はどうなされますか?」
「俺は三十人ほどを連れて茂みに潜んでおく」
俺がそういうとさつきは俺の思惑に気付いたのかニヤリと笑みを浮かべて
「なるほど!伏兵ですか」
「あぁ正解だ!さつきが敵の部隊の突撃を受け止めたら隙をみて横から殴る、簡単な作戦だけど今はこんな作戦しか思いつかないな・・・」
「あの、だったらこういうのはどうですか?敵を押し返してからの伏兵で敵兵が混乱しているときに組み立て班の人たちの一部に旗をたくさん持たせて・・・」
「なるほど、援軍が来たと思わせるわけか!」
「はい!さすがですね隼人様。そうすると敵兵は新しく援軍がきたと勘違いして運がよければ撤退してくれるって作戦です・・・・つつじ、わかった?」
「・・・・隼人様もさつきちゃんもすごいですね、わたしなんてさっぱりですよ」
俺とさつきの話をポカーンとした顔で見ていたつつじがようやく話しかけてきた。
「ということは、わたしがその援軍登場の指示をしないといけないわけですね・・・・大丈夫かな」
自分に振られた大役に不安がるつつじにさつきが
「大丈夫だよ、その時が来たらつつじに伝令を送るからその指示の通りに行動してね!」
「うん!ありがとうさつきちゃん」
さつきのフォローに安心したつつじは先ほどとは変わってやる気に満ちた顔に変わっていた。
「よし、じゃあそれぞれ持ち場につこう!」
そうして俺たちはそれぞれの持ち場に分かれて敵軍が姿を現すのを待った。それからしばらくして敵軍が来たと報告があって作戦を開始した、まずはつつじの指示で迫ってくる敵兵に弓矢で攻撃をして敵前衛を減らしていく、それからさつきの部隊が長柄を構えて防御を固めて敵の突撃を受け止める、突撃の威力をうまく殺したさつきは押し返すために前進を指示する、すると前進するこちらの軍におされてジリジリと後退をする敵兵に横っ面に俺の伏兵部隊で突撃をかけて敵兵と敵の士気を下げる、そこに更につつじによる偽装の援軍作戦を行うと敵兵はちりじりに撤退していった。だが、敵兵の撤退した先から何故か断末魔のような声が大量に聞こえてきて、先ほど撤退していった敵兵が血の気の引いた顔でこちらに助けを求めてきた。
「いったいどうしたんだ?そんなにあわてて、今撤退したばかりだろ?」
俺が不思議に思いこちらに逃げ込んできた者たちに疑問をぶつけた、すると
「それが・・・・うちらがいた部隊の大将さんがいきなり化け物になって、自分の兵を次々と切り殺しはじめたんじゃ・・・・恐ろしや、その光景をみたワシらは身の危険を感じて敵とはわかっていたが助けをもとめたんじゃよ」
「・・・・・化け物だと、ってことはこの近くに奴らがいるってことか」
と、俺が考えていると見張りをしていた兵がこちらに近づいてくる異形について報告してきた。俺はつつじとさつきに部隊を引くように指示をだしてから、すみれと一緒にその化け物が向かってくる方向に向かって走った。
「お前様よ、この戦が終わってからでよいからそろそろ技の伝授を始めたほうがよいのではないか?この先の歴史でのことを考えるとお前様が常にあやつらの近くで守るなんて無理であろ?お前様も学校で一応はこの国の歴史については学んだであろ?まぁお前様の登場で多少は歴史は変わったかもしれぬが、この時代はまだ甲斐には武田、越後には上杉、越前には朝倉といまだに群雄割拠しているんじゃから少しでも早く伝授をしていかなければそのうちあやつらは自分の身を守る術を知らぬまま死んでしまうことになる・・・・」
「・・・・そうだな、この戦が終わったら修行を始めるか・・・・・それにしても、すみれがそういうことをいうなんて珍しいな」
「ふん、ただの老婆心じゃ」
すみれはそういうとちょっとふてくされたような顔をして黙り込んだ。すると、前方から大きな雄叫びが聞こえてきた。
「すみれ、頼む」
「ふん、わかっておるわい」
そういうとすみれは刀へと変化した。俺は苦笑いを浮かべながら刀を腰に差し雄叫びの方向へ更に加速して走った。




