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戦国を歩く〜異〜  作者: 柚紀
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篠~ささ~

仕合が終わると葵さんの号令で再び評定の間に移動した。そこで改めて自己紹介を行った、自分の使命についてもそこで説明をした・・・その後。

「おい、隼人。お前に紹介したい奴がいる」

 葵さんんが説明直後の俺に話しかけてきた。

「え?紹介したいって・・・」

「ふふっ、お前に部下を与えてやるということだ・・・お前の使命とやらを成すには力がある程度必要であろう?」

 葵さんは何がおかしいのかずっと笑っている。部下か・・・

「・・・それはありがたいですけど、この城にはそんなに人材に余裕があるんですか?」

「いや、そういうわけではなくてな。お前の部下になりたいと申し出てきたものがおるのでな・・・一応こちらもワレが検分をしたから問題ないので安心していい。まぁその者ら三人とワレからの貸出で一人預ける」

 合計四人も俺に預けてくれるのか。そんなに言われると興味がわいてくる。

「・・・で、その人たちは今来ているんですか?」

「あぁ・・・入れ」

 葵さんがそういうと襖が開かれてその四人が部屋に入ってくる。

「失礼します。葵様、隼人様」

 四人の中でもどこか風格のある女の子が一歩前に出て挨拶する。忍者風が三人に武士風が一人・・・四人とも見覚えがある。忍者風の三人は昨日の晩に倒した化け物から現れた三人に似ているし、武士風の子はたしか先程の仕合で椿さんの得物を運んできた女の子だ。目が合うとペコッと頭を軽く下げてきた・・・俺がニコッと笑うと照れたようにほほを赤らめて俯いてしまった。すると、前に出た子が自己紹介をする。

「私は星野忠清、真名は/ささと申します。本日より隼人様の忍びとして仕えさせていただきます。よろしくお願いします・・・あと後ろの忍が/いおり、くの一が/たまきと申します」

 忍?忍者がなんで俺の部下になるんだ?彼らとは昨日助けただけの接点しかないはずだった・・・というか接点になってない。切り伏せただけなのだから、そう考えていると隣に座っている葵さんが発言する。

「こやつらはお前が昨晩倒した化け物から現れた町人風の者たちだったのだが、どうやら美濃の斎藤から放たれた忍らしいの」

「はい、私どもは斎藤さまからの命令で今川を退けた織田の偵察に尾張に潜入しておりました。町人に扮して町を歩いていたところ人ごみの中に禍々しい気を放つ男を見つけたのです、その男とすれ違った瞬間、私の心にじわじわと得体のしれない闇が広がってきて夜が近づくたびに破壊衝動を抑えきれなくなってきました。それから一度気を失って気が付いたら自分の身体は化け物になっていて人を食べていました・・・そこで数人の兵と一緒に来た柴田勝家殿と丹羽長秀殿と戦うはめになって、それから隼人様に瞬殺されて目が覚めたらこの城にいました。それから葵様の検分で命の恩人の・・・いえ、化け物になってしまった私を助けていただいた恩に報いるために隼人様の下につきたいと志願したわけです」

「・・・そうなんだそういう経緯なんだね、でも恩に報いるとか・・・そんなの気にしないでいいのに、それは俺の使命でもあるんだしさ、そもそも俺はそんなに善人じゃない。それよりも、ききたいことがあるんだけどさ・・・その禍々しい男の特徴ってのをもっと詳しく教えてほしいかな」

 篠の話をきいてかなり驚いたその、部下としての承認よりも魔魂者のことが気になってしまった。すみれの話だけでいきなり実際の目撃証言なんて食いつかないことはあり得ない・・・少しでも情報がほしくて聞く。

「はい、それが・・・その男は真っ黒い布を被っていて顔は見ていません。背丈はあまり高くはなく、実際それが本当に男だったのかはわかりません」

「どういうこと?男じゃないかも知れないのに男って報告なの?」

「いえ、正確にはどこか存在自体がどこかおぼろげで、男にも女にも見えたというわけで・・・すいません」

「・・・いや、すまん。つい突っかかっちゃって、こっちにはそいつの情報がないから少しでも情報がほしくてね」

 つい突っかかってしまった・・・焦りすぎはいけないな、反省しないとな。とにかく挨拶しないとな。

「まぁ・・・よろしくね!篠さん、庵さん、環さん。・・・で、君は?」

 残り一人に声をかける。小柄で可愛らしい、なんていうかお猿みたいな活発さを感じさせる。赤茶色髪に触角のような癖毛、緑色の瞳、褐色のいい肌に、小ぶりの胸。全身で明るさを表しているような雰囲気だ。

「はい!私は木下藤吉郎で真名はつつじっていいます!この度、葵様の草履とりのお役目から昇格しまして武士になりました!お頭どうぞよろしくお願い致します」

 そういうと勢いよくおじぎをした。その勢いで触角も大きく揺れる。

「よろしく!元気いいね!」

「はい!元気だけがとりえですから!」

 ガバッと音が鳴るような勢いで頭を上げるつつじちゃん。挨拶を終えた俺たちに向けて葵さんが俺に声をかける。

「つつじのことをお前に預けるからしっかり鍛えてやってくれ」

「わかりました!大事に預からせていただきます」

 そういって本日の評定は終わった。四人との出会いとともに・・・ 

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