第5章<ソルの正体>
第5章<ソルの正体>
それから2日後のこと…
父上がソンイを呼んだので、サランチェに向かった。
部屋に入ると父上と母上がいて、複雑そうな顔をしていた。
ソンイは不安になって、
「何かあったの?」
と聞いた。
父上は
「実は今日、王様に呼ばれてな…」
と言った。
ソンイは父上が何かしたのではと不安になって、
「王様に怒られたのですか?」
と聞いたが、父上はすぐに首を振って
「王様のお話はソンイの事だよ。実は婚約者がいるから処女単子を提出していなかったのだが、王妃様がぜひソンイを世子嬪選びの諫択に参加させたいとお言いになったそうだ。ソンイ、お前はどうだ?」
と聞いた。
ソンイは
(なぜ王妃様が?もしや世子様が頼んだのでは… でも世子様は私がソルだと言うことを知らないはず…)
といろいろ考えたが、答えが出るはずもなく
「分かりました。王命なら仕方ないですよ。」
と言った。
そして部屋を出て、母屋に戻ろうと歩いているとなぜか涙が出てきた。
ソンイは
「なんで?」
と呟いたが、すぐに
(私、テジュン様の事が好きなんだ。 今更気付くなんて… でも最後に一目だけでも会いたい!)
と思い、小さく頷いた。
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次の日、ソンイは男装してこっそりと屋敷を出た。
ウニは事情を知っていたので、今日は何も言わずにソンイを見送った。
右議政様の屋敷に行く途中、急に雨が振ってきたが、ソンイは時間がもったいと言うかのように雨宿りをせずに歩いた。
そして右議政様の屋敷に着く頃には、ソンイはすっかりびしょ濡れになっていた。
テジュンはそんなソンイを見ると、すぐに湯殿を用意してくれた。
そして
「湯殿を用意した。風邪をひかない内に早く入って。」
と言った。
ソンイは
「急に尋ねて、その上湯殿まで用意してもらって… すまない。」
と申し訳なさそうに言った。
テジュンは笑って
「大丈夫だよ!それに風邪を引かれたらソルと話しながら酒を飲むのがしばらくお預けになるからな!」
と言って、湯殿に案内した。
するとそこには2人の使用人がいた。
ソンイは、自分が女だとばれてはいけないと思い
「ありがとう。 でも1人で入れるよ! それに手伝ってもらうのは慣れてないからさ… あと、俺が入っている時は誰も湯殿に入らないでくれないか?」
と言った。
テジュンは納得したように
「分かった。お前達は持ち場に戻ってくれ。」
と使用人達を下がらせた。
ソンイは
「ありがとう。 絶対入らないでくれよ?」
と念を押した。
テジュンは
「分かったよ。大丈夫だ」
と言うと、台所の方へ向かった。
ソンイは湯殿に入ると、服を脱いで湯に浸かった。
体が冷えていたので、暖かい湯はとても気持ちよかった。
その頃テジュンは、使用人にショウガ湯の準備を頼んで部屋に戻った。
しかし、ソルに替えの服を用意していなかったことに気が付き、慌てて用意した。
そして湯殿まで行ったが、
(そういえば、ソルが入るなと言っていたな… しかし服を持っていかないわけにはいかないし… 緊急事態なのだからソルも許してくれるだろう。)
と考え、湯殿へと入った。
ソルが服を脱いで置いていた場所の横に替えの服を置いて戻ろうと振り返った時、湯に入るソルが見えてしまった。
しかし、そこには男…ではなく女の姿のソルがいたのだ。
テジュンは驚き、急いで湯殿を出た。
*To be continued*