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プロローグ
プロローグ
さんさんとした陽気と鳥の鳴き声が辺りを包む。
「んぅ…」
声を漏らした少女は寝返りを打つと目をゆっくりと開けた。
「はれっ?」
少女は起き上がると、薄茶色の髪を掻きながら「ここ、どこ?」と言った。
少女を包むのは暖かな陽気と鳥の囀り。それと、陰鬱な森の空気だけ。
「訳わかんない」
昨日も定時にベットに入った。いつもと何ら変わりなかった。だが、いつもと違う事がひとつだけあった。それは
「あんまり寝れなかったなぁ〜」
少女はふぁっと欠伸をした。その途端…
ピピピピピピッ、ピピピピピピッ。
どこかで携帯の電子音が聞こえてきた。
少女はポケットを探り、携帯を出してボタンを押した。
「はい」
『あ、玖瑠深ちゃん?私よ、ママよ』
「さよなら」
玖瑠深はそう言うと、電源を切った。
その数秒後、
ピピピピピピッ、ピピピピピピッ。
「はい」
『なんで切るのよ、玖瑠深!』
「切りたい気分だったから」
そう言い、また切ろうとする玖瑠深。
『切るなっ、あんた今、大変な事になってんのよ!』
「大変な事?」
玖瑠深は母親の話を静かに聞く事にした。