三話 前半
今日も私達は晴れた空の下の屋上に集まっていた。
「桜井くんは部活入ってるんですか?」
「俺は入ってない。」
「春奇部活やったことないもんな。」
え、それはまた凄いことを聞いてしまった。
私が入ってる文学部に入ってくれないかな。
「じゃあ放課後みんなで部活見学しませんか?」
「いいねー!春奇のためにもなるし行こうか。」
「勝手に決めんな。」
んー、桜井くん乗り気じゃない。
ここは雪野くんに。
「雪野くん、なんか言ってあげてください。」
「そうだな、暇潰しにもなるだろ?たまにはいいじゃん。肉食わしてやるから。」
「…しょうがねえな。」
肉で決めるんですね、桜井くん。
………。
……。
…。
〜弓道部〜
ざわざわ――…。
「桜井くん、弓道はどうですか?かっこいいです!」
「俺も入ってるしな。」
部員が来て雪野くんと一緒に、桜井くんに簡単に射ち方の説明を始めた。
桜井くんは飲み込みが早いようで、すぐに射てるようになった。
「春奇の力にあったやつがやっと見付かったよ。」
「雪野くんお疲れ様です。桜井くんそんなに力強いんですか?」
「あいつは化け物だよ…。」
「なんキロ引いてるんですか?」
「およそ20キロだよ。」
「凄いです…。」
ブチッ!!!
「弦が切れた、もういい飽きた。」
周りは静まりかえっていた。
桜井くんに合った弓のはずなのに弦が…。
桜井くんは射ち終わったのか、果てしなくつまらなさそうな顔をしてその場を離れた。
「人が多い、つまんない。」
「結局、春奇に合う弓は無いってことか。じゃあ次に行くか?」
「あぁ。」
「桜井くん、空手部はどうですか?」
「空手?」
「なっちゃん空手はあぶないと思うよ?」
確かに怪我するかもしれないし、それに桜井くんに怪我してほしくない。
「そうですよね、怪我とかしたくないですよね。」
「怪我するのは相手だけどね。」
相手…?
「…本気でやんねぇから大丈夫だ。」
「え?はぁ…。」
「とりあえず行こうか。」
………。
……。
…。
〜空手部〜
「手加減しろよ?春奇。」
「わかってる。」
「桜井くん頑張ってください。」
「あぁ。」
部員が来て試合のルールを教え、試合が始まった。
「見てるとドキドキします…。」
「大丈夫だよ。よっぽどのことがなければ春奇は負けないだろうから。」
ズドッ!
春奇の前蹴りが相手の鳩尾をとらえた。
「ぐほぉ…。」
「ちゃんとやれよ。」
「てめ…。」
ブオッ バッ ビュッ
部員さんは突きや蹴りを次々と繰り出したが、桜井くんには当たらなかった。
「桜井くん組み手というよりケンカしてるみたいです。」
「顔と金的は無しなだけで他は同じだからね。」
その後も桜井くんは確実に攻撃を当てていった。
ピピーッ!!!
ホイッスルが鳴り試合が終了した。
「桜井くん圧勝でしたね。」
「たまたまだ。」
「春奇、相手の体は傷ないみたいだけどプライドはズタズタに…。」
はじっこで泣いてる…。
可哀想です…。
「桜井くん、空手部はやめましょう?」
「あぁ。」
「春奇、次行くぞ。」
「だりぃ。」
「桜井くん行きましょう?」
「わかったよ…。」
こうして私達は次の部活へ足を運んだ。
後半へ続く、、、




