二話
放課後。
私は早々に掃除を終わらせて校門に行った。
校門に着いて周りを見渡しても、雪野くんと桜井くんはいない。
しばらく待つと二人は歩きながら校門まで来た。
「こんにちはです。二人ともなにしてたんですか?」
「…先生に捕まってた。遅れて悪かった。」
「じゃあどこ行きたい?海堂さんの行きたいとこでいいよ。」
むぅ…。
「雪野くん、“さん”はやめてください。」
「んー、なっちゃんでいい?」
「はい!」
そう、呼び方が気に入らなかった。
友達になったのだから“さん”はいらないと思った。
「プリクラというのを撮ってみたいです。」
「………。」
「なっちゃんプリ撮ったことないの?」
「はい。だからどんなのか楽しみです!」
クラスメートが話していたのをたまたま聞いて興味がでた。
「…違うのにしないか?」
桜井くん撮りたくないのかな。
「なに言ってんだよ春奇、行くぞ。」
「ちっ……。」
「あの、桜井くん。行きたくないなら違うとこに行きましょう?私なら構いませんから。」
「いい、行ってやるよ。」
「ありがとうございます!」
桜井くんてあんまり笑わないけど優しいな。
モテるだろうな。
「…なにブツブツ言ってんだ?」
「え!?あ、いや別になんでもないです。」
桜井くんに聞かれてた!?
ていうか声に出てた!
恥ずかしい…。
「じゃあ行くか。春奇、なっちゃん。」
「おぉ。」
「はい!」
………。
……。
…。
-ゲームセンター内-
「なんかドキドキします…!私ゲームセンターなんて初めて来ました。」
なんか色んな音がいっぱい鳴ってて賑やかです。
二人ともよく来るのかな。
「二人ともよく来るんですか?」
「…俺はあんま来ない、けど冬也がよく来てる。」
「そう、ビー○ニをやりにね。」
「なんですか?それ。」
「簡単に言うと音ゲーだよ。タイミングよくボタンを押すんだ。」
聞いたことない…。
ひょっとして凄いマイナーなのでは?
「春奇はクレーンゲーム上手いよな。」
「言うほど上手くねぇよ。それに最近やってないから腕が鈍ってる。」
あのくまさん欲しいです!
挑戦します!
「私クレーンゲームやりたいです!あのクマさん欲しいです!どうしても欲しいです!」
「春奇付き合ってやれよ、俺はビー○ニやってくるから。」
雪野くんさすが!
あ、桜井くんと二人きりか。
ちょっと緊張するかも…。
「ほら、行くぞ。あのクマだろ?」
そう言って桜井くんは両手に収まるくらいの、クマのぬいぐるみを指差した。
両手だから意外とおっきい。
「はい、そうです。」
「取ってやる、見てろ。」
「待ってください、最初は私がやります。」
「そうか。」
私は百円を投入してボタンを押し、クレーンを操作した。
♪〜♪〜♪
ウィイイイイ――…
変な音楽と共にクレーンが動き出した。
「………。」
「………。」
終始二人は無言でクレーンを眺めていた。
そしてクマ目掛けてクレーンが放たれたが、クマを入手することは出来なかった。
「あぅ、取れなかったです…。桜井くんやりますか?」
「あぁ、取ってやる。見てろ。」
桜井くんはそう宣言し百円を投入した。
桜井くんはとても慣れている手付きでクレーンを操っていった。
「桜井くんなんか慣れてますね。」
「こんなんやってりゃコツなんかすぐにわかってくる。」
そして桜井くんはクマを取ってみせた。
「ありがとうございます!嬉しいです!」
「おぉ。」
///!?
桜井くんの笑った顔かっこよすぎます///
「///」
「どうした?顔真っ赤だぞ?」
そんな状態のところに桜井くんは、自分のおでこをくっつけてきた。
「////!?」
顔近いぃ///
「熱はねぇみたいだな。これから冬也連れてプリ撮るんだから、体調崩すなよ。」
「は、はいぃ///」
………。
……。
…。
「冬也、そろそろ行くぞ。」
雪野くんを呼びに行ったら例のゲームをやっていた。
雪野くんの指が残像を作ってる…。
人間技じゃない。
「いやぁ、今日も店内最高記録を出させてもらったよ。」
と、なんとも満足そうな顔をしながら、雪野くんはさらっと凄いことを言っていた。
「プリ、撮りに行くぞ。」
「はいよー。あの機種でいいよね?なっちゃん。」
「はい、撮れればなんでもいいです。」
そして中に入り私達は写真を撮った。
そして撮った写真をプリクラ機から受け取り、その場を離れた。
「なっちゃん写りいいね、春奇そう思わない?」
「そうだな、初にしては可愛く撮れてる。」
「可愛くないです///!」
桜井くんに可愛いって言われた///
今自分がネコなら間違いなく叫んでます。
「さて、プリも撮ったし帰るか?」
「あの、また三人で撮りましょう!プリ!」
「おぉ。」
「うん!」
二人は最高の笑顔で答えてくれた。
それからゲームセンターを出て二人にさよならをして帰った。




