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世界書で恋の魔法は作れない  作者: rpmカンパニー


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121/126

121.態度の違い

 陽菜は人懐っこい犬って感じだよな。

 呼べばすぐに来て、撫でてほしいって全力で尻尾振ってるのが見える。


 灯里ちゃんは気位の高い猫っぽい。

 呼んでも来なくて、たまに自分から来て撫でさせてやるって感じ。


 透子は気まぐれな猫のイメージ。

 呼んでも来たりこなかったりで、撫でさせてくれることもあれば無視されることもある。


 なら平川さんはどうなんだろうか。

 陽菜と同じ感じに見えるんだけど、どうやら他の人には違って見えるらしい。

 たしかこの前そんな話が……。


※※※※※※※※※


 それは体育の授業中だった。

 男子が走り終えて女子が走り終わるのを待っているときのこと。


「平川さんってやけに能見へのボディタッチ多くないか?」

「そうだよな」

「そう思う」


 いつもの三人組が絡んできた。

 まあ待ってる間暇だから雑談したくなるのは分かるけど言いがかりを受ける理由はない。


「あれは平川さんが人懐っこいからだよ」

「平川が?」

「人懐っこい?」

「から?」


 俺の言葉に三人とも意味がわからないという感じだ。

 おかしいな、誰が見てもそうだと思うんだけど……。


「たしかに平川は他人と知り合いでだいぶ距離感違うけど……」

「積極的に近寄ってくる感じじゃないと思うんだ」

「距離を感じる」


 どうやら三人とも大体同じ感想らしい。

 でも距離を感じるっておかしいだろ、めっちゃ距離詰めてくるタイプだろうに。


「というか能見以外の男子にボディタッチしてるの見たことないぞ」

「え、いや、それぐらいあるだろ、ほら翔とか」

「たしかに最近春日井は距離近いよな」

「だろ」

「でもボディタッチ見たことない」


 翔と平川さんの仲が良さそうなのは認めたが、やはりボディタッチは三人とも見たことがないらしい。

 たしかに言われてみれば他の人を触ってるところは見たことないかも。


「お前だけが特別なんだよ」

「そんなこと……」

「あれ見てそう言えるか?」


 江川が促す方を見ると平川さんが俺達の方を見ていた。

 目が合うとニヤリと笑って立ち上がった。


「真琴ー」


 全力で手を振ってきたのでこちらも手を振って答えるとサムズアップが返ってきた。


「分かるか、あれはお前だけだぞ」

「いやそんなこと……」

「おれ、されたことない」

「同意」


 たしかに他の人にそういうことをしてるの見たことない。

 本当に俺だけなんだろうか。


「あーあ、藤田って彼女がいるくせに平川もか」

「両手に花っておかしいだろ」

「許すまじ」

「そんな事あるわけ無いだろ!?」


 まさか、俺が平川さんみたいな美人からモテるわけない。

 きっと同じ魔法好きだから友達だと思ってくれているだけだろう。


「俺だってあれぐらい絡まれたいよ」


 江川が羨ましそうにしてるけどお前は和泉さんいるだろうが。

 この話をチクってやるぞ。


「この前は橘も口説いてたしな」

「あれはいいがかりだろ!?」


 あの後は説得大変だったんだからな。

 透子は意志が強い反面頑固なので一度勘違いすると長い。

 必死に時間をかけてようやく誤解をとけたんだ。

 というか桐谷はもう相手決まってるだろうに、BL的に。


「平川のおっぱいがもう少し小さかったらよかった」

「そこにおっぱいの小さい相手がいるぞ」

「桐谷はちょっと……」

「俺も同性なんて嫌だ!?」


 鳥海は神道らしい感想を言っている。

 正直、好みならおっぱいのサイズなんてどうでもいいと思うんだけどな。


「最近、橘さんが俺を見る目がまるで獲物を睨む鷹のように見えるんだ」


 橘さんの話では段々カップリングが絞られてきたらしい。

 それでも桐谷は人気らしいので是非鳥海が寝取ってほしい。


「なあ能見、お前名雪んと仲良いんだから名雪んから橘に何か言ってもらってくれよ」

「誰が仲良いって?」


 桐谷が訳の分からないことを言ってきたけど、名雪さんと仲良く出来るのはカップリングを認めたものだけだろう。

 というか名雪さんは選択肢一つ間違えるとすぐ爆発する爆弾みたいなものだから、仮に仲が良かったとしても下手なこと言いたくない。


「それに橘さんには直接言った方がいいと思う、妄想こそするけど根は真面目だし」

「たしかにな」


 江川が同意してきた。

 他の二人もうんうんと頷いている。


「橘はなんというかワンコっぽいかわいさがあるよな」

「同意」


 桐谷と鳥海も同じ意見らしいのでみんな同じ印象らしい。

 なんとなくだけど、良くも悪くも近しい人の影響を強く受ける気がする。


「その点、和泉はリーダー猫だよな」

「そうだな」

「間違いない」

「たしかに」


 ここも全員意見が一致した。

 誰がどう見ても和泉さんは辺りを仕切ってる猫って感じだもんな。


「猫って言えば平川も猫だよな」

「そうそう、フリーダムな猫って感じ」

「自由」


 ここも三人は一致してるみたいだけど俺とは全然違う。


「猫より犬じゃない?」

「それはないな、どこに犬要素があるんだ?」

「いや、ほら、ちゃんと話聞いてくれるし言うことやってくれるし」

「はいはい、それはさっきも話したがお前だけにだな」

「俺もそんな風に構われたいぜ」

「死ね」

「扱いひどくない!?」


 さらっと流されて悪口を言われたぞ。

 というか俺だけって絶対違うだろ。


「名雪んはどう?」


 俺が文句を言うより先に次の話題に移っていた。

 ただ桐谷の言葉にみんな即答できない。

 かなり悩んでいるようだがピンと来るものはないらしい。


「うーん、例えようがないと思うぞ」

「無理」


 二人の結論は例えるのが不可能という結論だった。


「桐谷はどうなんだ?」

「俺も名雪んは名雪んって生き物だと思うな」


 桐谷も同じ感じだった。

 まあ俺も無理やり猫で例えようとしたけど、実際の所は猫またとかのほうがいい気はしてる。

 ただ普段なら三人の内一人ぐらいはなんらかの例えをしそうなものなんだけど……。


「おいおい、猫またはひどいな」

「普段からどんな風に名雪んを見てるんだよ」

「外道」

「たまたま口から出てしまっただけだよ!?」

「思ってると言うことだな」

「言質は取れた」

「先生、お願いします」


 そう言って三人が後ろを指さしたので、恐る恐る見ると名雪さんが笑顔で立っていた。

 だからお前ら黙っていたのかよ!?


「どうも、猫またですぅ」


 表情はたしかに笑っているのに目は笑っていない。

 笑うという行為は本来攻撃的なものであり獣が牙をむく行為が原点であると言うがまさにそれを思い出した。


「いや、あの、例えであってけっしてそのように思っている訳では」

「ならどのように思っていて猫またに至ったのか教えてくれますかぁ?」

「その……つかみどころのなさとか」

「つかみどころならあるじゃないですかぁ」

「え、どこに?」

「ここに」


 そう言って俺の手を掴むと名雪さんのおっぱいに誘導される。

 それがあまりにも自然な動作だったので振り払うどころか柔らかい感触を感じても動けなかった。


「では、この状況を確認した結論を教えてくださいねぇ」


 名雪さんが顔を向けた先には、眉をひそめて不機嫌そうな透子と腕を組んで眉を怒らせている平川さんが立っていた。


「もちろん死刑ね」

「真琴くん、正座」

「Nooooo!!!!????」


 正座で感じるグラウンドはちくちくして無駄に熱かった。


※※※※※※※※※


「うん、嫌な記憶だった」


 あれは明らかにみんな気づいていたはず。

 俺を罠にハメる気だったとしか思えない。

 ただあの時に気になることも言っていたよな。


「平川さんが俺のことを?」


 まさかそんなことがあるのか?

 でも他の人の態度と違っていると言われればそうだし……。

 ただそれは魔法好きだからというのもありそうだし……、うーんやっぱり女子の気持ちは分からない。

 まあいつかはっきりするだろう。


 そのいつかが目の前に迫っていたとはこの時の俺はまったく考えていなかった。

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