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1-1 全ての始まり

稚拙な文ですが、どうか暖かく見守ってください。

魔道大陸アルビオン


遊王国フィズダム・王都リベルタ


「……少し、疲れたな」

私、カヤは冒険者ギルドのクエスト達成の報告を終え、宿に帰宅していた。私の隣で小さな女の子がどうすればいいのか、と言わんばかりに私の手を握る。

「この子のこと……どうすればいいんだろ……」

事の発端は、1週間ほど前に遡る。


……


「ここが遊王国フィズダムの王都リベルタか。賑わってるね」

旅人の私は食料や旅の備品を調達するために遊王国フィズダムの王都、リベルタに立ち寄ることにした。街の出入り口の検問所前には商人や冒険者、一般人が列を成しているが、揉め事が起きる様子もない。

「とは言っても……長いなぁ30分はかかりそう」

気長に待つ事にして、私は備品の確認などをして時間を潰した。


30分後……


そろそろかと思ってアイテムを仕舞い込み、検問所の衛兵達に身分証代わりの冒険者ギルドカードを提出する。入国税の銅貨4枚を支払い、リベルタに入国した。中に入れば種族も様々な人々が道を行き交い、健全な賑わいを肌に感じる。

「えーっとまずはギルド……と、宿も確保しとかなきゃ」

広いから迷わないといいな、と思いながら冒険者ギルドに少し駆け足で向かう。フィズダムは国土が三代国で最大であり、王都自体もとても広い。

「冒険者ギルド……ギル……あ、ここか。思ったより目立つね」

街の出入り口の大通りを道なりに進み、左手に少し進んだところで、大きな看板と共に冒険者ギルドを発見した。

「やっぱり大きいところのギルドは規模も違うね、冒険者も多そうだし」

ギルド周りには戦士や魔法使いなど、冒険者と思わしき人も大勢いた。私は早速重い扉を開けて喧騒の中に入っていく。

「おぉ……」

昼時だからというのもあるのだろう、かなりの数の冒険者だ。

「クエストボードは……かなり漁られた後だな、資金稼ぎに良さそうなのがあれば良いんだけど」

ササッと依頼に目を通し、報酬が良さそうな討伐依頼をこなす事にする。

「ゴブリンの討伐、はぐれオークの討伐……と、なにこれ?……奴隷商の捕縛?」

3つの依頼を手に取るが、最後の依頼だけ少しめんどそうだが……

「すみません、クエスト受けたいんですけど」

「クエスト受注ですね、ギルドカードはお持ちですか?」

忘れてた、と思い懐からギルドカードを取り出す。

「Bランクの方ですね、依頼はどれをお選びに?」

「これとこれと……あと、これを受けたいんですが」

そう言ってクエストボードから取ってきた3つの依頼を提出する。

「3つの同時受注ですか?ゴブリン……はぐれオークと……奴隷商の捕縛ですか」

「これ、奴隷商の捕縛ってあるんですけど細かい情報ってもらえたりしますか?」

依頼所に書いてあるのが、奴隷商の捕縛と報奨金くらいだったため、受付嬢の人に聞いてみた。

「こちらのクエストは……リベルタ騎士団からの依頼でして、違法奴隷を扱う闇商人が居るんですが、毎度毎度巧妙に隠れてしまうため取引現場を抑えることが出来ないそうなんです。証拠は既に上がっているため後は本人の捕縛のみの依頼ですね、その分闇商人がどこにいるのかは現状わからないので難易度は文面のものより高いと思いますよ」

「なるほど……」

違法奴隷商人の捕縛……しかも騎士団からの正規の依頼で報酬も良い……が、肝心のターゲットの居場所がわからないとなると面倒かもしれないな……

「受けます、依頼期限はどのくらいですか?」

「ゴブリン討伐とはぐれオークの討伐は6日、捕縛依頼の方は無期限となります」

いわく、本人を取り押さえられてはいないものの、取引相手の確保と被害にあった奴隷の方々の救出は成功しているため、早期に解決したい問題ではあるがこの件に人員を多く割くほどではないとの判断らしい。

「闇商人についてはリベルタ騎士団にこちらの依頼書を持っていけば情報を得られるはずですよ」

「なるほど……あ、一つ聞きたいんですけどこの辺りの宿屋でおすすめってありますか?」

「宿屋ですね、従魔をお連れでないならギルドを出て右手の奥にある《黒猫亭》がおすすめですよ」

「ありがとうございます」

それから一礼をしてギルドを出た私は、言われた通りにの道を通って黒猫亭に向かった。


ーー


「黒猫亭……ここだね」

そこにあったのは二階建ての木造の宿。木材の匂いと小さな庭、静けさが少し落ち着く。

「すみませーん……」

「あ、はーい!」

扉を開けて中に入ると、受付には黒猫の獣人の女の子がいた。

「……えっと、黒猫亭……で、あってますか?」

「はい、合ってますよ!お客さんですか?」

思わず宿じゃない民家に入ったかなと思って確認を取ったが、どうやら合っているらしい。

「う、うん、とりあえず7泊お願いしたいんだけど…」

「7泊8日だと金貨2枚、朝食と夕食を付けるなら金貨2枚と銀貨8枚です!」

し、しっかりしている……

「じゃあ朝夕付きの7泊8日でお願いしようかな」

そう言って金貨2枚と銀貨8枚を差し出す。

「確かにお預かりしました!お部屋は2階の4番になります!鍵を無くされた場合は追加で銀貨4枚の弁償代が発生するのでお気をつけてくださいね!」

「分かった。……私はカヤ、あなたの名前は?」

「あ、私はミラって言います!よろしくお願いしますねカヤさん」

ミラから部屋の鍵を受け取り、そのまま上の階に向かう。部屋の中はそこそこ広く、一人で過ごすならかなり余裕があるくらいだった。

「この部屋で7泊して朝夕付きで大体金貨3枚は安いね……」

そう考えつつ、日もそろそろ傾いていたため、ベッドに腰掛けて一息つく。

「明日は朝に騎士団に向かって、その後討伐依頼をこなしちゃおうかな。早めに済ませておいた方が良いし」

明日の予定をざっくり決めた私は、討伐に備えて槍の手入れをする事にした。


槍の手入れをして少ししたくらいで、コンコンと部屋の扉がノックされる。

「カヤさん、今日の夕食は要りますか?」

「お願いするよ」

「わかりました!作り終えたらもう一回呼びに来るので受付横の食事場所まで来てもらえれば!」

「オッケー、ありがとね」

扉越しにミラから夕食を聞かれたので、そのままお願いする。……ご飯が不味いとかは無いと思うけど……あの様子なら心配なさそうかな。


15分くらいでもう一度ミラが呼びに来た。宿のご飯は焼きたてのパンと干し肉と野菜が入ったスープだった。

「……これ、ミラが一人で作ったの?」

「はい!昔から家の手伝いでパンは自信があるので!」

元気な返事に少し驚く。パンを食べてみるとカリカリで硬さもちょうど良かったし、スープはパンと合わせる前提の少し塩気の効いた物で満足だった。

「ご馳走様、おいしかったよ」

「ありがとうございます!お皿片付けておきますね」

「片付け手伝って良いかな」

「気持ちは嬉しいですけど、数も少ないのでお部屋に戻っててもらって大丈夫ですよ!」

「そっか、それじゃあおやすみ。明日からもよろしくね」

「はい、おやすみなさい!」

おやすみなさいと手を振ったあと、ミラはにへっと顔を緩めながら鼻歌まじりに皿を片付け始めた。私も明日は動くため早めに部屋に戻ってベッドに入ると、そのまますぐに寝てしまった。

この世界の通貨感覚は、鉄貨=10円、銅貨=100円、銀貨=1000円、金貨=10000円、大金貨=100000円、白銀貨=1000000円、という感覚です。



キャラ紹介


カヤ 性別・女 年齢・15?

今作の主人公。Bランクの冒険者であり、旅人。いろいろな国を放浪しながら、ギルドで資金を稼いで生活している。メイン武器は槍であり、師匠からの貰い物。朝は起きられるが寝覚めは悪く、無理に起こされると不機嫌になる。


ミラ 性別・女 年齢・12

リベルタの宿屋《黒猫亭》を営む黒猫の女の子。小さい頃から親の手伝いをしており、現在は訳あって一人で暮らしている。時々、街に露店でパンを売りに行くが、カリカリのパンはお客さんに大好評のためすぐに完売してしまう人気商品。褒められるとへにゃっと笑う。

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