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11.実戦訓練

2024.04.14 トリス→トライに名前を変更(途中から名前が混在してしまってました)

ディスはデルメインの重鎮たちへの説明と、いまだに襲ってきている暴走した動物たちの対処で忙しいらしい。


シスはシスで、街が落ち着いたから破壊された階層の復興作業を手伝いにいくと言っていた。


残ったのは俺とルー、そしてトライだ。


「そんじゃー、俺たちも行くか。ダース様とシスからお前たちに実践稽古をつけてやってくれと言われてるからな。安全に外を歩けるようにしてくれだとよー」


「宜しくお願いします」


「ああ、ダース様には逆らえないからな。まっとりあえず、街の中にもまだ動物やら魔生物やら入ってきてるだろうから、それを対処しながら行くか。ユリウスは闇玉(ダークボール)、ルーは石礫(ストーンブレイク)を適当に飛ばして対処してみてくれな」


シスからまずは基本属性のみを極めるようにと言われている。最初からいろんな属性を使おうとすると、属性の力に頼りすぎて、いざというときに対処できないそうだ。


「そうだなー、あとは自分の周囲1キロくらいは危険がないか常にマナを感じておけよ。ルーはユリウスを守るんだったな?それなら、3キロくらいは常に見張っておけー」


トライがぽんっとルーの頭に手を置く。


「3キロは大変じゃないか?なぁ、ルー」


「……できる」


「そうか?無理するなよ」


ルーは本当に俺を守るつもりのようなのだ。ダースに言われたから仕方なくかと思っていたが、本心でそうしたいと思っているらしい。


「あーそうそう、それとだなー。お前たちは敵を感知できるし戦う術も持ってるが、まだ反応が出来ない。敵を見つけたら、なるべく遠くから攻撃しろなー」


昇降盤で5階層目まで登る。10階層より上は避難区域になっていて、人気(ひとけ)はない。荒らし回っている生き物たちをさっそく探知できた。


「もっと冒険者とかいるのかと思ってたよ」


「冒険者なんかとっくに逃げちまったさ。衛兵たちも避難区域に近い階層を守っ てる。ここらの階層は野放しだな。そんだから、お前たちが全部倒して行けなー」


俺とルーは探知できた動物や魔生物に次々と魔法を放っていく。俺の場合は闇玉(ダークボール)なので、当たりさえすれば致命傷を与えられる。ルーは、石礫(ストーンブレイク)で頭や喉元を狙っているようだ。


「おー、いいねいいねー!外に出る前にこれだけ相手しときゃ、探知も慣れてくるだろ」


「こんなんでいいんですか?」


正直なところ戦っている実感はほとんど無い。探知できた奴を視認出来るところまで移動し、遠くから魔法で狙撃している感じだ。


「いいのいいのー。安全に倒せるにこしたことはないからな。それに普通の冒険者たちはこんな真似はできないからな?」


トライが言うには、1キロ先の敵を探知することも、追尾型の闇玉(ダークボール)石礫(ストーンブレイク)を使える奴も珍しいらしい。どちらもマナを信じてない者たちが使うには相当な修行と魔力が必要らしい。


「というわけで、これは探知して対処する訓練だからそのつもりでやれなー。西区と南区のここらの階層はお前ら担当だ」


そのあとも俺たちは、ひたすら暴走した動物たちを狩り、ようやく3階層目まで来た。上に上がる度に少しずつ数も増えている。


「おっし!今日はここらまでだなー。飯にして寝るかー」


途中、トライが「旨そうだ」と取っておいた猪をどこからか取り出す。露天があったと思われる小さな洞窟の中が今日の寝床だ。


「いいかー? 冒険中はそこらの動物や植物を取って生活するのが基本だ。もちろん何にもない砂漠やダンジョンなんかは別だが、旨そうな奴がいたら狩って取っておけなー。そんじゃ、捌くのは…ユリウス出来るか?」


「出来るよ。俺は村で良くやっていたし」


「そうかーんじゃ、ルーお前はどうだ?」


「…できない…みたことない」


「見たことないだぁ? どんな都会に住んでたんだ一体。そんじゃしばらく(さば)くのはルーの仕事な。ユリウス教えてやれなー」


トライからナイフを借り、ルーに(さば)き方を教えていく。途中、トライが魔法で手伝ってくれたが、猪はルーの身体よりもはるかに大きく、解体するのにかなり時間がかかった。


「おし、残りは俺が保存しておく。お前らもさっさと収納魔法(ストレージ)覚えた方が良いぞー」


収納魔法(ストレージ)か、それは早く覚えたい。これといってまだ魔法陣を使う魔法をまだ一つも使うことができない。


「トライじゃ教えらないの?」


「 あ? 俺が教えりゃいいのか。んじゃ、飯でも食いながら教えてやるかー」


そのあと猪肉で鍋を作り、今日の訓練の反省をしたあと収納魔法(ストレージ)について教えてもらうことになった。


「んで、お前ら他の魔法は何が使えるー?」


「魔法陣を使う魔法はまだ何も」


「えっ? じゃあ、魔法陣描いたことないのか!?」


「うん?ないけど」


「はぁ、まじかよ。そっからかー」


その夜、トライから魔法陣の描き方を教えてもらった。基本は効果を表す魔法文字を覚えて魔力で描いていくのだが、描くことは出来ても発動しない。自分の魔力を変化させるのとは違い、効果が表された文字を具現化させるというのはコツがいるらしかった。


「難しいな」


「そりゃそうさー、神の御業(みわざ)だぞ? 誰もが使えるってもんじゃねーのさ。まっ、お前たちなら使えるようになると思うけどなー」


神の御業(みわざ)か。確かにな。いまは簡単だという火が出る魔方陣を練習しているが、使っている魔力は闇属性。要するにマナの属性関係なしに、火を出そうとしているわけだ。


「結界魔法はなんで発動できたの?」


「魔方陣ってのは描くときが重要なのさー。もちろん文字が間違ってるなんてのは論外だが、描き終わったときにその魔法は完成してるってわけ。発動させるかどうかはスイッチを入れるか入れないかみたいなもんで、こないだのは4箇所のスイッチを同時に入れる必要があったわけだなー」


「なるほどね。描き終わったときに完成してるか…」


「そういうこと!はいはい今日はここまでー。2人とも寝るぞー」


「見張りとかいらないの?」


キャリッジでエーナ村から来た際にも、護衛の人たちが見張りをしていた。


「あー普通はいるなー。でもまあ、AとかSクラスの連中は魔法張ってみんなで寝ちまってるなー。ほらそこの入り口、ユリウスの闇霧(ダークネスフォグ)で塞いでもらってるだろ? んだから大丈夫っ!んじゃおやすみー」


トライはさっさと寝てしまったようだ。ルーはまだ起きていそうだが、横になっている。


魔法陣はどうやら、一筋縄ではいかないらしい。しかし、魔力を使って自由に生み出す魔法も楽しいが、魔法陣を使う魔法も楽しくてしょうがない。


次の日、3階層、2階層と進んでいき、ようやく地上階とも呼ばれる1階層目に着いた。


「やっぱり。1階層目はほとんどいないのか」


「あーたぶん結界張るのに1回全滅させてるんじゃないかー?こいつらだって馬鹿じゃないから、仲間がやられたのを見れば逃げるわけだ」


「それで2階層と3階層はやたら数が多かったのか」


「そうだろうなー。おかげでお前らも随分、反応出来るようになったしちょうど良かったなー」


正直、3階層と2階層は危ない場面が何度もあった。その度にトライが声をかけてくれたり、サポートに入ってくれたりしていたが。


「死ぬかと思ったよ」


今日ようやく「反応できない」の意味を理解した。探知は出来ても俺とルーでは経験がなく対応への判断が甘いのだ。その結果、数で囲まれてしまったり、空からの突然の襲撃に耐えられなかった。


「そうだろうなー、俺がいなきゃお前らはとっくに死んでる。ただ、お前たちは良くやったと思うぞー。最後は俺のサポートなしだったからなー」


そう、でも俺たちは今日経験を積んだ。探知も1キロ全部を均等に見るのではなく、自分を中心に警戒レベルを上げるように工夫した。そして、いつの間にか近い敵は俺、遠い敵はルーが倒すという暗黙のルールが出来上がり連携が取れるようになっていた。


これが外の世界、街にいると忘れてしまうが、この世界では常に死と隣り合わせなのだ。


「そんじゃ、明日はいよいよ森だなー。張り切って行こーか」

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