ダンジョンコアとの契約
アカネが泣き止むのを待ち、落ち着いたのを見計らって言う。
「じゃあ、アカネ。こっちも一気にやっちまおうぜ」
「カオルは、本当にいいの?」
「いいんだ、お前を悲しませる方がいやだからな」
「カオル…」
「アカネ…」
『ガチャ』
パッと微妙に距離を開けて離れる俺たち。
たぶんだけど、俺たちが帰ってきた物音に気付いたんだろう。
アンナが起きてくる。
お前はこんな時に限って、なんで起きてくるんだよ。
まだ夜明けに近い時間帯だぞ?
「お姉さま、おはよ~…」
「お、おはよう!アンナちゃん」
(ちっ!いいとこだったのに…)
「アンナ、顔を洗ったらお前もついて来い」
「んにゅぅ、なにぃ?」
「コアと契約する、俺も」
「えっ!?わかった。急いで支度してくる!」
「転ぶなよ~」
契約のことを告げると、目が覚めたらしい。
ドタバタと部屋へと向かっていくアンナ。
ホントに、転ぶなよ?
アンナの支度が整い、三人で聖樹ユグの下に向かう。
聖樹の下で、大きな聖獣『コロ』が寝そべっていた。
「なんだ、『コロ』もいたのか」
「ぬぅ、よくも我をそのような名で…」
「お手」
「わん!」
「おかわり」
「わん!」
「伏せ」
「わん!」
「おすわり」
「わん!!」
「よーしよしよし、いい子いい子。おやつだぞ~?」
「ぐぅっ、獣の本能が!あのメイドたちの躾が身体にこびりついてしまった」
「お前は『コロ』で十分だろ、なっ?」
「ぐぬぬっ!」
「さーて、始めますかねっと」
「それで、何をするのだ。貴様は」
「コアとの契約」
「…お主、その意味を理解して言っておるのか?」
「あー、正直なとこ、曖昧かも?」
「馬鹿者!コアとの契約とは、自身の命をコアと繋げ、その身は不老となる!
代わりに不眠となり、永遠とも言える悠久の時の中を過ごす存在になるのだぞ!
その意味も知らず、わからずに!軽々しく契約するなどと口にするでない!」
「解説ありがとよ、ちゃんと理解した。これならアカネとずっと一緒だ」
「なっ!…貴様、その女のためか?」
「…まあ、そうだな」
「本当によいのだな?」
「ああ、望むところだ」
「ならば、聖樹の聖獣として、貴様の覚悟を見届けよう」
「人族の聖女としても、あなたの覚悟を見届けましょう」
「…二人とも、ありがとうな」
「よし、アカネ。頼んだぞ。失敗したなんて言わないでくれよ?」
「だ、大丈夫よ!ふう、いいんだね?」
「ああ、覚悟はあの日にできている。この日を俺はずっと待ち望んでいたんだ」
「…じゃあ、いくわよ!!」
アカネがコアの操作をする。
うぐっ、こ、これは苦しいな。身体がバラバラになるようだ。
俺の身体の中で、バラバラになった何かが再構築される感覚がある。
ちょっと立っていられないかも…
膝をつき、両手は抗うことも出来ずに地面についてしまう。
脂汗を流し、荒い息を吐く。
少し見上げると、アカネが何かを言っているように『見える』。
どうやら耳すら馬鹿になってしまっているようだ。
泣くなよなあ、まったく…
いや、泣かせているのは俺か。
じゃあ、さっさと終わるように、俺からもコアに『介入』できるか試そうかね。
…これはずっと、ずっと考えていたのだ。
俺の力なら、アカネの『契約』に『介入』できるのではないかと。
だから、俺はこの日を待ち望んでいたのだ。この瞬間を。
俺には女神様からもらった『創造魔法』があるのだ。
それを駆使すれば、きっと…
【コアとの契約…申請を許可します】
【コアとの契約内容の変更…申請を許可します】
【コアとの契約内容の更新…申請を許可します】
【コアとの自由契約の設定…申請を許可します】
【コアのレベル制限設定撤廃…申請を許可します】
【コアの制限機能解除…申請を許可します】
【コアの妖精群解放…申請を許可します】
【コアの完全制御…申請を許可します】
【コアに創造機能の追加…申請を許可します】
【コアに言語変更機能の追加…申請を許可します】
【コアにカタログ機能の追加…申請を許可します】
【コアにカタログ更新機能の追加…申請を許可します】
【ダンジョンコアの自由化…申請を許可します】
どうやら、『介入』はうまくいったようだな…
アカネの契約内容を『変更』、『更新』っと。
アカネって、こっちの字は読めるけど、書けなかったんだな。忘れてたよ。
まあ、そこも『修正』したけど。
女神様もいい加減な仕事をしているんだなあ…
うーん、とりあえずはこんなところだろうか?
不都合があったら、そのときにまたいじれば問題ない。
それにしても、今まで使わなかったけど、便利なもんだな。『創造魔法』って。
事前にちょっとした『実験』しておいてよかったよ。
本番になって失敗とか嫌だしな。
これの説明すると長くなるから、この話はまた今度な。
アカネに説明するのはどうしようかな?
俺も使い方がまだ完全には掴めていないしなあ。
まあ、『夜』になればわかることだし、明日の朝に軽く説明すればいいだろう。
身体の不調なし。体調よし。身体に違和感なし、むしろ全能感すら感じるな。
もうバッチリだ。よし、アカネを心配させないように、さっさと動こう。
「カオル!カオルっ!大丈夫!?」
「お姉さま、落ち着いて!」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと時間がかかってしまった」
「はぁぁ、よかったよぉぉ…」
「よっ、と…」
「お主、一体何をした…」
「何をって、何さ?」
「馬鹿者。貴様が何か『とんでもないこと』をしていたのを我は感じたぞ」
「今はうまく説明できないかなー?
とりあえず、色々わかったら説明するよ。
それまでは秘密ってことで、よろしく」
「はあ。お主は本当に規格外な存在だったのか」
「そう褒めるな、照れるじゃないか…」
「褒めてなどおらぬっ!照れるな!まったく、どこまでも調子のいい奴め…」
『カオル、何かした?』
「どうした、ユグ?」
『なんかコアの辺りがムズムズするというか、変な感じがする』
「あー、ちょっといじったからかな。そのせいかも?」
『あんまり変なことしないでよね…』
「ははっ、すまんすまん!」
「さっ、アカネ!家に帰って飯にしようぜ!俺、腹減っちまったよ!」
「…まったく、仕方ないわね。簡単なものになるわよ?」
「ああ、手抜きでいい、手抜きで。朝くらい楽しようぜ?
アンナも朝飯まだだろ?一緒に食おうぜ?」
「はあ。心配して損したのです…」
「あーあー、いいのかな?そんなことを言っても?
お前専用のそれはそれは素晴らしいものを出してやろうと思ったのになあ」
「ぬ!?なんですか、それは!?早く帰りますよ!」
「アカネの飯を食ってからな。ははっ」
俺はちょーっとした秘密を抱えた。
まあ、今のところはうまく説明できないんだけどな。
力の振るい方には注意しないとだなー。
全能感のままに振るったら、力加減を間違えて大変なことになりそうだ。
とりあえずは、このまま今の生活を楽しむとしよう。
さぁて、飯だ、飯!アカネのご飯が楽しみだなっと!
正直、ここから先の展開のネタはあまり用意してないので、短いかもしれないです。
ネタさえ思いつけば、少しは長くなるけど、無駄なネタは出したくないのですよねー。
ちゃんと話に絡む話を書きたいのです。もちろん、書いてる側としては楽しいんですよ?
でも、読者の楽しさとは違うかもしれないので、制限かけてます。
残り短いかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。




