表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
魔法学園入学~王都の危機

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/132

兄弟、真実と本音

疲れ切っていた俺たちをペガサスたちが回収してくれた。

俺はまだまだ動けそうだが、魔法の行使は少々きつい状態だ。


女の子たちは全員ぶっ倒れている。

アカネのコアで見ても、ドクターストップだ。

魔力管が筋肉痛のような状態でひどいという状況らしい。

魔法なんてちょっとでも使えば、全身に激痛が走る状態だとさ。




聖獣からはジト目で見られた。

よくも彼女たちにここまで無理をさせられるなと叱られた。


だって、成長できる機会があるなら、手伝いたくなるじゃん?

師匠としては、可能な限り成長させたいんだしさ。




そして、虫どもを殲滅できたことに浮かれている場合ではないことが判明する。

アカネが「城内の様子がきな臭い」と言っていたのが的中した。

虫どもの殲滅が終わった、今になって動き出したようだ。




そりゃ、そうだよなあ。

向こうから見れば、王と王妃は毒で倒れ、生死不明で行方不明な状況。

アレクとティナは王城から離れていて、学園にいるはずである。

今こそ、自分が王だ!と言うには絶好の機会だ。


んで、そういうわけで神輿にされているのが、コルネリウスなわけで…

何やってんだか、コルネリウス。


あれだけ俺たちから色々と言われて、注意して行動していなかったのか?

コルネリウスの気持ちがわからないから、今はとにかく慎重に動くべきだ。




アレクはどう動くんだろうか?と思って…

チラッとアレクを見たらアカネに話しかけていた。




「アカネ殿、申し訳ないが城門前に扉をつないでもらえないだろうか?」

「いいけど、城門前でいいの?」

「ああ、そこでいい。コルネリウスの真意を確かめなければならない」

「…わかったわ」




これはまずいな。兄弟仲が拗れてしまうぞ?

しかも、間に挟まってるのが、摂政になりたいという役人どもだ。

最悪すぎるだろ…




「ディーネ、お前は動くな」

「お兄様、でも…」

「いいから、動くな。あいつの気持ちがわからねば、我らは今後も拗れるぞ?」

「…はい」



「ティナ、お前もだ。これは兄弟間、王位継承権を持つ者の話し合いだ」

「…わかっております」



「アカネ殿。では、頼む。それから、父上と母上の容態を見ていてくれ」

「はいはい、つなげるわよ。…私にも動くなってことね」

「わかっているならいい、すまないな」




こうして、俺たちは扉をくぐるアレクを見送った。






アレクを見送ったけど、別に見るなとは言われていない。

なので、アカネに頼み、モニタリングする。

アカネはため息一つ吐いて、何も言わないで実行してくれる。


ティナも心配そうにモニターを見つめている。

これだけみんな心配しているんだぞ?『兄上』?気付いているのか?




「誰だ!?」


「王位継承権第一位のアレクだ、通せ」


「それはできませぬなあ…」


「どういうつもりだ…?」



「今、王城内は混乱中でございます。

あなた様が踏み入れば、更なる混乱が起こります故…

ここでお待ちいただきたい」


「そうか、なら待とう」


「ほお?待って、何かが変わるとお思いか?」


「変わるさ、きっとな…」


「はははっ、弟想いな兄君であらせられる!

だが、あなたはその弟に裏切られるのだっ!」



「ほお、貴様はコルネリウスが王に相応しいと?」


「コルネリウス様の方が能力は上だと聞いております故。

さぞ立派な王になりましょうぞ!はっはっは!」


「その能力とは、儀式の能力のことか?」


「そうです。所詮この世は力なのですよ。

今求められるのは、帝国にも負けない力なのです!」


「そうか」



「あなた様はどのようにこの国を治められるのですかなあ?」


「そうだな。力は強い方がいいだろうな。だが、それだけではダメだ」


「ほお?なにがダメなのです?」


「賢くなければダメだろう。例えば、『裏をかく情報能力』とかな」




それを聞いた俺は、動くことにした。

アカネに頼み、大臣や文官たちがいる部屋に扉をつなげてもらう。

ティナには、モニタリングしてもらいながら、動きがあれば報告してもらう。

例えば、コルネリウスが城門前に出てきた場合とかな。




扉を抜け、大臣たちと顔を会わせる。




「でぃ、ディーネ様…」


「ディード、あなたはどちらにつくつもりですか?」


「私は…」


「あなたならわかっているはずですわよ?どちらの方が多くの血が流れるかを」


「それは…」


「それに、あなたが忠誠を誓うのは、王ですか?それとも、この国ですか?」


「…」


「もはや、兄弟間の確執、王位継承権などという話ではないのですよ。

国と国との戦争一歩手前なのですよ?目を覚ましなさい!」


「!?」


「あなたが今すべきことはなんですか?動きなさい!」


「はっ!」



「コール!コルネリウス様に携わる側近を調べ上げろ!急げ!」


「ビル!コルネリウス様周辺の書類を確認しろ!徹底的に金の流れを調べろ!」


「ヨークス!コルネリウス様に妙なことを吹き込んでいる貴族どもを探し出せ!」


「クルス!現在、停止している部署を確認しろ!お前の判断で部署は動かせ!」






「それでいいのです、ディード。

王か国か、選ぶべきは『祖国』です。

『王』という存在に、振り回されてはいけないのです」






さて、もう一仕事っと。

まだアレクの方に動きはなしっと。



なら、向かう先はっと…

そうか、お前は一人、そんなとこにいるのか。

寂しいだろう、『そこ』は?

お前は、『そんなところ』にいたいのか?

違うだろ?

お前の『本音』、聞かせてもらうからな…






俺は謁見の間の前にいる。

大きな扉だ。ちょっとつらいが、身体強化して扉を開く。

あー、重たいなっと。



謁見の間の玉座の椅子に、一人ポツンと座るコルネリウスがいた。

あーあー、ぼっちになっちまいやがって。

こりゃ、『お話』が必要だな。




「…姉上」

「コルネリウス。『話』を、しましょうか?」






「ここに一人でいたのですか?」

「違います。先ほどまでは信頼できる臣下と共にいました」


「そうですか。その臣下はあなたのどこに惹かれたかわかりますか?」

「わかりません。

いつも俺に

『あなたこそが王になるべきだ』

『あなたにはその能力がある』

などと、調子のいいことを言っていたことはわかります」


「あなたは彼らを見て、どう思いましたか?」

「俺を利用しようとしているんだと、そう思いました」


「なぜ、あなたはそのまま放置したのですか?」

「俺には何もない。認められたい。そう思ってしまい、彼らを手放せなかった…」


「自分が愚かだと、わかっているのですね」

「そうですね。俺は愚かなのでしょう」






「コルネリウス、私に残された時間はもうあまりありません。

あなたに姉として、そして、兄として。

伝えられることが少ないことを許してください…」

「あね、うえ…?」


「私の本当の名前は、ディーノ。第二王子です。

あなたから見れば、好き放題やり、王家の責務から逃げ出した存在でしょう」

「ちがう」


「ですが、私は責務から逃げてはいません。

悠久の時の中から、あなたたちを見守り続けるつもりです」

「どういう、こと、ですか?」


「私には前世の記憶があり、この世界では異質な存在なのです。

なので、子を成すわけにはいきません。

私の存在が子孫に迷惑をかけてしまいますからね」

「そん、な…」


「だから、私は私と同じ存在の方と共に、悠久の時の中に身を隠すのです。

まあ、たまにひょっこりと顔を出すかもしれませんがね?」

「うそ、だ…」




俺は俺の『真実』を話し切った。

だから、お前の『本音』を聞かせてくれ。




「俺は、姉上が責務から逃げ出し、叱らない兄上に不満を抱いていたのに…」


「普通とは違う力があるのに、責務を放棄し、好き勝手やって…」


「あの日、見せてくれた力もそうなんだと思い込み、俺は…」





「コルネリウス。まだ間に合うわ。やり直しなさい。今度こそ間違えないように」


「間違えていたら、私があなたを止めます」


「約束します。約束の印に、これをあなたに渡しておきましょう」


「大事な時に、私があなたを助けてあげましょう」




俺はコルネリウスに、とあるネックレスを首にかけてやる。

いずれ、役に立つ日が来るだろう。

そして、俺はコルネリウスを胸に大事に抱きしめる。



…今は、泣きなさい。コルネリウス。

俺は見ないでいてやるから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ