王城突入準備
その日は学園で単位を取得するための試験を受けていた。
「ダン講師?もう少し、真面目に、やって、くださいませ?」
「お前の一撃が重くて、まともに受けられないんだよ!手を抜け、手を!」
「まったく、男でしょ?」
「お前もな!!」
ダン講師が担当する近接戦闘対策の試験を受けている最中だ。
単位は無事に取れそうだなと安堵していた。
この後の予定も考えていたところに、アレクとティナがやってきた。
どうしたんだろうか?
「ディーネ、ここにいたのか」
「どうしました、二人とも」
「いやな?もうすぐ昼食だろ?
私とティナの予定が早く終わり、アカネ殿の下に行こうとしたのだが…
扉が開かぬから何かあったのではないかと思って、お前の下に来たのだ」
「何か聞いておりませんの?」
「いえ、何も聞いていませんが…」
なんだ?急に扉が使えなくなるなんて、緊急時だけって前に言ってたぞ?
何があったんだ、アカネ…
考えていると、悲鳴と共に高速で何かがこちらにやってくる。
『助けてええええ!ディーネ様ああああ!』
「なっ!?」
ペガサス!?それに、なんだあれ?虫か!?
でも、数が尋常じゃないぞ!?
アレクがサッと構える。ティナもあの数に対抗するために構える。
俺が最大火力だ、この三人での有効な一撃を考えなきゃ…
相手は虫だ。なら、俺の得意魔法アイスミストで対処できるはず。
三人で協力して、今回はキンキンに凍らせてやるぜ!
「お兄様!アイスミストで一気に冷やします!
そこをさらに冷やして、凍らせてくださいませ!
お姉さまは霧の魔法で支援をお願いします!なるべく広範囲に!」
「わかった!」
「了解ですわ!」
ペガサスたちが高速で走り抜ける。その後ろを少し離れて大量の虫が追いかける。
俺たちの頭上をペガサスが駆け抜けた、今だ!
「ミストウォーター!」
「アイスミスト!」
「フローズンエリア!」
三人の合体魔法と言える魔法が虫の大群にぶつかる。
広範囲に濃霧が出て、さらに冷やし、ダイヤモンドダスト状態の空間を冷やす。
一時的に極度凍結を起こすほどの冷気の空間だ。
あの程度の大きさの虫などひとたまりもないだろう。
ボロボロと虫たちは凍り付き、地面に落下すると共に身体が砕け散る。
『助かったよおおおお!ディーネ様ああああ!』
「はいはい。それで、どうしたんですの?緊急事態ですの?」
『そうなんだよ!王都がさっきの虫に襲われているの!
あまりの数の多さにマスターが今、必死に対応中!
僕たちは君たち三人を連れてくるように言われたの!』
「なんだと!?それは本当か!?」
「陛下、リリー様…!」
「ペガサスの数は…
よし、足りるわね!
前に連れて来てもらった七人の女生徒を覚えていますわね?」
『うん、覚えてるよー』
「事情を説明して、完全武装で王都に連れて来てくださいませ!
私たちは先に行くわ!」
『わかった!みんな、いくよー!』
『では、我々がお三方を』
「ああ、頼む!」
「お願いしますわ!」
「急いでくださいませ!」
俺たちはペガサスに乗り、最速で王都に向かう。
王都上空に到着した頃には、王都が黒い雲に覆われていた。
まさか、あれすべてが虫だっていうのか!?
さすがにあれに突入は厳しいぞ…
「どうしますか?あれに突入は少々きついですわよ?」
「だが、父上や母上が…」
「何かいい案は…」
そこにペガサスに騎乗したドールがこちらに向かってくる。
こちらを確認して、無理して来てるようだ。
「お兄様、あのドールたちの援護を!」
「わかった!」
「アイスミスト!」
「フローズンエリア!」
「助かりマス!ディーネ様、アレク様!」
「お前たちが無理してこちらに来るということは、アカネ殿との連絡係か」
「はい、私どもはお三方を扉に連れていくように命令されていマス」
「アカネは無事なのですか!?」
「ご安心ヲ。あの虫どもは、主に王城に向かっておりマス。
アカネ様には見向きもしていないため、安全に地下から援助が出来ていマス」
「そうですか。なら、急ぎ合流して王城に向かいませんと…」
「扉はこちらデス。虫どもに気付かれないようにお願いしマス」
俺たちはだいぶ迂遠して、扉まで移動した。
遠回りが一番の近道、急がば回れというのはわかるが…
このような緊急時では気が急いてしまう。
二人も同じ気持ちのようだ。
扉をくぐり、扉は消去。これで虫どもは気付いても入れない。
俺たちはペガサスに乗って、アカネの下に急ぐ。
「アカネ、無事ですか!?」
「カオル!?よかった、間に合った!急いで突入準備して!」
「わかりましたわ!状況は?」
「王様とリリー様が毒に倒れていて、今必死にダモナーたちが護衛しているわ。
武器はこれを持っていって!」
「エアガン?かなりカスタマイズしてあるわね」
「アンタの友達のことを思い出して作ったのよ。それで、これが解毒薬よ。
まだあまり数が出来てないから、収納に入れて持っていって。効果は確認済みよ」
「わかったわ。二人もこれを持ってくださいませ。
安全装置は外しておきました。
このトリガーを引けば、すぐに撃てますわ」
「わ、わかった」
「わかりましたわ」
「それと、リアルタイムに通信したいから、このイヤリングを耳に引っ掛けて」
「わかったわ」
「どうも王城内の様子もおかしいわ。
それも踏まえて、アレクとティナは覚悟して」
「忠告感謝する」
「何があっても平気ですわ」
「じゃあ、王城の使われてない部屋に扉をつなげるわ。
そこからは最短経路を指示するわ。
虫どもと邪魔する奴らにはそいつをぶっ放していいわ」
俺たちは装備を確認する。
覚悟も決まったところで、扉をつないでもらう。
「行くわよ!
アンタたちの活躍で、この国の命運がかかっているわ!
いってらっしゃい!」
扉が開く。
この先に何が待ち受けていようと覚悟はしている。
特に、コルネリウス。お前は今、何をしている…
頭を振り余計な考えを振りきる。まずは父上と母上の救出を最優先だ!




