村の援助のために
今日は地下ダンジョンで事務作業だ。
昨日、各領地の街に行ったことで必要なものを聞いてきたのだ。
村の分も一応聞いたが、現地に行かないと本当に必要なものはわからない。
その必要な支援物資を冒険者に伝えるのが今日の事務作業だ。
「わかりました、ディーノ様。そのように。
こちらでも検討の価値がある情報ありがとうございます」
「ああ、頼む。前線の冒険者たちに届けて、送るように言っておいてくれ」
「はい!」
「ディーノ様、ドーンにはこれらは必要でしょうか?」
「ふむ、見落としていたな。
必要だと思う、多めに送っておいてやれ。
ほかにも気づいたことがあれば、遠慮なく言ってくれ」
「はい、了解です!」
「ディーノ様、ストルンには保存食を多めでいいのですよね?
『ペットボトル』も送ってもいいでしょうか?」
「そうだな…
開け方とゴミを回収するということ。
以上をしっかりと伝えてくれれば構わない」
「よし!急いでメモ書きと回収箱を作れ!
ディーノ様、ほかの地域でも同じ対応でよろしいですか?」
「ああ、それでいいだろう」
「ディーノ様、エンダーでは残党兵が出てると聞きました!
我々も山狩りに参加してもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。ただし、無理はするな。
奴らは主に食料を狙ってくるはずだ。
村の方に逃げ込まれるのだけは避けろ」
「はっ!」
俺は各地の後方拠点となりつつあるこの場をまとめている。
前線に赴く冒険者たちにも声をかける。
「よお、ディーノ様。
こいつらがこれからフォルトに行く俺たちの後輩冒険者たちだ!」
「ほお、黄金の爪の後輩か。将来楽しみだな」
「でしょ!?ホントに『将来』が楽しみなんですよ!
だから、『期待』しててください!お前ら、挨拶!」
「お、お願いしまっす!」
「先輩の失礼にならないように頑張りまっす!」
「ああ、『期待』しているぞ」
「よし!じゃあ、お前ら、あの扉の先だ。存分に働いて来い!」
『はい!』
颯爽とかけていく黄金の爪の後輩冒険者を笑顔で送る。
だが、この男の先ほどからの引っかかりを覚える発言を質問する。
「それで?彼らに何をさせるつもりだ?」
「ははっ、気づきますか!」
「そりゃ、あれだけ含みを持たせた言い方をすればな」
「あそこの聖女ちゃんに聞きやしたぜ?あの企画の大本は若様の仕業だって」
「ちっ、アンナめ」
「でだ、俺たちにも一口噛ませてくださいよ?」
「はあ、いいだろう。
あの後輩たちを軸に、お前たちが進行役の対決シリーズだ。
それでいいか?」
「すげーな、さらっと企画が出てくるなんて…」
「お前が望んだことだろうに。
だが、すべてが片付いてからだ。
わかったら仕事しろ」
「へい!了解っす!!」
「まったく、調子のいい…」
まあ、いつか使おうと思っていた企画だったんだ。
この際、黄金の爪を利用してやろう。
お前らも餌食だということを忘れるなよ?くくくっ。
さて、ここはもういいだろう。
ユグの下に行こう。村へのご神木を作れないかの相談だ。
「おーい、ユグ~!」
『どうしたの、ディーノ?』
「実は相談があってな…」
ユグにご神木の件を話す。
少し考える間があったが、可能だと声が帰ってきた。
『いいよ、枝を分けてあげる。
ちょっと邪魔になってきた部分だけだけどね』
「ああ、ありがとう、ユグ!」
『大きくするときはこの枝を使ってね。僕とつながるように出来ているから』
「へえ、ユグに遠隔で接続するのか」
『うん。あと、大きくするときはディーネの姿ですると、喜んでくれると思うよ』
「うっ、女装しないとか…」
『それくらいはいいでしょ?いつもしてるじゃん』
「ここ最近はディーノの姿に慣れてしまってな。ちょっと恥ずかしさがあるんだ」
『まったく、巫女としての自覚が足りないよ?』
「わかったよ、大きくするときはこの杖を使って大きくする。んで、女装もする」
『ん、よろしい。
接続が出来たら、その子たちからも魔力を生成できるようになるからね。
そういう意味でもご神木になると思うよ』
「へー、さらに魔力生成効率があがるのか」
『うん。ついでだし、コアのレベルも上げちゃおうか。
魔力の確保が出来るのがわかったことだし』
「ん?コアのレベルを上げる?」
ユグの意味深な言葉を聞いた後、ユグの身体の上の方で強い光が放たれる。
何が起こったのかわからず、放心する俺。
『うん。無事にコアのレベルが上がったね』
「何をしたんだ、ユグ?」
『ダンジョンコアのレベルを上げたんだ。
一定の魔力を捧げることで、レベルを上げられるんだ。
ほら、さっそく新しい妖精たちが来たよ』
「あれはペガサスか?結構な数が来たな」
『彼らならディーノたちの今の仕事にも役に立つでしょ』
「そうなのか?」
『彼らが運ぶものは浮くからね。荷運びには持ってこいだよ』
「へー、アカネたちの下に行っているみたいだから、枝を回収したら行くか」
『うん。あの数はマスターたちも困惑するだろうから、早く行ってあげて』
「おう!」
俺はユグの枝を空間収納に素早く入れて、アカネたちの下に急ぐ。
移動の途中で、一匹のペガサスが近づいてきて乗せてくれることになった。
「ありがとうな!急いでたんだ!」
『ううん、別にいいよ!
マスターが困っているし、あなたを探している意思を感じたから!』
「そうか。よし、あそこだ!急いでくれ!」
『うん。いっくよー!』
俺とペガサスはアカネの下に降り立つ。
アカネはたくさんのペガサスに囲まれている。ちょっと絵になるな。
呑気な事を考えていたが、助けてやらないとな。
「ほらほら、お前ら!アカネが困っているだろ?少し離れてやれ」
『わかったー!』
『はーい!』
「か、カオル?た、助かったー…」
「だ、大丈夫か?立てそうか?」
「いきなり空がピカって光ってから、この子たちが来て囲まれてさ…」
「あー、驚くよな。ユグがダンジョンコアのレベルを上げたんだってさ」
「ダンジョンコアの、レベル?」
「一定の魔力を消費して、レベルを上げるって説明していたけど」
「あー、そんなことも説明されたかも。忘れていた…」
「忘れていたのか…」
「あー、それと明日には各村にご神木として、ユグの子供を植えてくるよ。
魔力生成もしてくれるって」
「なるほど、それでレベルアップしたのね」
「ああ、魔力生成効率が上がるからってさ。
まあ、女装をしないといけなくなったけど」
「あら、久しぶりね。アンタの女装も」
「巫女としての自覚はあるのかって、軽く叱られたよ」
「ふふっ。じゃあ、明日はアンナちゃんも出勤かしらね?」
「かもしれないな?着替えのためにナンシーもつれていかないとなー」
明日の予定を話しながら、頭をなでる程度だがスキンシップをする。
ちょっと離れていたからね。お互いに元気をチャージだよ。
「よし、元気出た!おーい、ペガサスたち!明日は荷運び手伝ってくれるか?」
『うん、いいよー!』
『いっぱい運んじゃうよー!』
「そういや、明日からは学園はちょっとした連休だったか?
あいつらにも手伝わせるか?手伝いたいって言っていたしな!
ははっ、びっくりするだろうな」
「まったく、アンタ、そういうとこあるわよね。相手の予定を確認しないとこ」
「まあ、いいじゃないか!あいつらにとっちゃあ、楽しい連休になるぜ?」
「はあ。まあ、いいんじゃない?」
「拗ねるなよ~?」
「拗ねてないし!どうせ、女装するんでしょ!なら、問題ないわ!」
「そういう問題なのか…」
俺は女装していれば、女性に囲まれていても問題ない。
という、アカネの許しを得たのだった。
女装しても、俺は俺のはずなんだけどなー。
さてまあ、明日に向けて詰めていくか!




