アレクとティナとの情報共有
これをあげたら疲れて寝そうです。今年最後の投稿ということでよろしくお願いします。
また来年も頑張っていこうと思います。
学園がいくら広いと言っても、これくらいなら連絡は届くかな?
と思って、念話のネックレスに話しかける。
『お兄様、お姉様?ディーネです。
少々問題が起き、学園長室にいましたが、今どちらにいますか?』
『よかった、ディーネ。
問題に巻き込まれたと聞いて、ナンシーと探していたんだ。
ディーネ、ヴォルクスだけを連れて行ったそうじゃないか?
ナンシーが泣いていたよ?
今どこにいるかわかるかい?』
『ナンシーには、あとで謝りますわ。
ここから見える景色では、時計塔が目立ちますわね。
時計塔に合流ということでいかがでしょう?』
『わかった、時計塔だね。今から向かうよ』
連絡が取れたことにホッとし、目的地に向かって歩く。
私の姿を見て、周囲の人間がため息をついている。どうしたのだろうか?
時折、周囲にいる人に時計塔はどちらにあるのかと質問をする。
挙動不審になりながらも答えてくれる。
しばらく移動して、時計塔らしき施設にたどり着いた私。
もう一度ネックレスで呼びかけようとしたら、背後から抱きしめられる。
「ナンシー?」
「ああ、ディーネ様!
変態に捕まったと聞いて、不安でたまりませんでしたわ!
無事でよかったです!」
「ナンシー。だから、大丈夫だと言っただろう?
ディーネならよほどのことがない限り、切り抜けるって」
「いやだわ、アレク。妹が心配ではないの?」
「そういうわけではないがね」
「お嬢様。
ヴォルクスさんは、先ほど各種手続きと寮へと荷物を運びに行きました」
「報告ありがとうございます。それとナンシー、ごめんなさいね?」
「いえ、いいのです。お嬢様が謝る必要はないです。
それにしても、ヴォルクスさんは薄情です!
もっと心配したっていいはずですのに…」
「ふふふっ」
俺はアレクとティナに連れられて、内緒話に使われるというサロンにやってきた。
こんなところで話すということなら、探知と探索魔法を使った。
怪しいものがないかを確認して、防音結界を張ってから椅子に座る。
ちなみに、三つくらい先の席では盗聴の魔道具のようなものがついていた。
なので、アレクに軽く注意しておいた。
「こんなところに盗聴の魔道具を仕掛けるなんて、穏やかじゃないな」
「あの席をよく利用する人たちがいますから。
その方たちを狙っての盗聴器かもしれませんわね」
「魔法はイメージだから、二人も使えるようになっておくと便利ですわよ?」
「ディーネほど自在に魔法を使えないんだよね」
「私もですわ。
魔力量がそこそこあっても、独自の魔法っていうのはまだ難しいですわ」
「そういうものなのですね。
うっかり口を滑らせないように注意しておきましょう」
オリジナル魔法って難しいんだ。人に話すときは気をつけないとな。
「それで?私たち二人を集めたんだ。
なにか伝えることがあったんじゃないかい?」
「ええ、お兄様。
お兄様が不穏と言っていた件ですが…
アカネ様から
『グリッジ魔道具店』と『ドルリッジ侯爵家』
に注意せよと、忠告を受けましたわ。
すでに小さな衝突も起こっているそうです」
「アレク、どちらも以前に問題を起こしてる家ですわ」
「そうだな。
王家と『黄金商会』に甚だ筋違いな恨みを向けている家々だな。
はあ。問題は覚えている限りじゃ…
どちらの息子もディーネのクラスになりそうっていう点だな」
「そうなんですか、お兄様?」
「グリッジ魔道具店の息子はまだいい。
胸の中じゃ何を考えているかわからないが、敵対姿勢は見せていない。
どちらかというと、家の姿勢に辟易しているようだ。
どうにか取り込めないかな?」
「私にそんな視線を向けられても…」
「ディーネ、取り込める勢力は取り込んでおきなさい。
相手の情報を得られる手は多い方がいいわ」
「お姉様まで…」
「実際、彼なら取り込む価値はあると思うよ?
問題となった模倣品は、ほぼ彼が一人で作りあげたということだ。
そして、親が未完成だというのに販売をさせたらしい」
「へー、それはすごいですわね。親を選べないというのが可哀想ですわ」
「そして、一番の問題の相手の『ドルリッジ侯爵家』の息子だが…
こちらは仲良くできる気配はないね。完全に逆恨み状態だと聞く」
「なぜ、そんなことに。考える頭がないのでしょうか?」
「それもあるだろうが、選民思想が強く、民を何とも思っていないようだ。
領地も重税で大変のようだ」
「私も領地の書類を見ましたけど、ひどいものでしたわ。
あれでは数年で潰れてしまうでしょう」
「はあ。お父様が私に領地経営を学ばさせたそうにしていました。
潰れてもいいからやってみないか?と言い出しそうです」
「さすがに、言い方は違うだろうが…
たしかに父上はディーネに領地経営を学ばせたいとは言っていたな」
「私もリリー様の下で学んでいる最中ですが…
書類からお金の流れを読み、不正を発見するというのはとても難しいわ」
話が落ち着いて、ナンシーが用意したお茶を飲み、次の話題に移る。
「領地経営については、今は置いておこう。王都の問題だ」
「王都についても不穏だと言ってましたよね、お兄様」
「ああ、帝国のちょっかいも厄介だが…
今、一番危険なのはコルネリウスだ。
ディーネ。
君が施した魔力訓練で強い力を得てしまったコルネリウスが狙われている」
「そ、そんな…」
「私とディーネの力は周囲には甘く見られている。
そんな中、訓練場で力を示したコルネリウスは伸びしろ十分と捉えられた。
馬鹿な貴族どもの神輿にはちょうどいいのだろう」
「そんなつもりで、私はコルネリウスを鍛えたわけじゃ…」
「ディーネ、今は私も君も王城にいない。
どうしてもコルネリウスに近づく貴族はいる。
護衛だって貴族なのだ、思想の誘導はいくらでもできる」
「ディーネ、コルネリウスのことはリリー様に任せるしかないわ」
「お姉様、私は…」
「最悪、敵対行動をしようにもコルネリウスも学園には入らなければならない。
そこを突く。
ディーネ、なるべく伝説になるように学園で目立て。
君が目立てば、コルネリウスも兄と姉の凄さに気付くだろうさ」
「目立てと簡単に言われましても…」
「すでに目立っているわ。
女生徒の悪鬼であった教授を成敗したという話が噂として流れているわ。
ディーネ、この調子で頑張りなさい」
「そんなつもりじゃなかったのに…」
俺は頭を抱えるハメになった。
だが、これもコルネリウスが道を踏み外したときのための布石なのだ。
と、思えば頑張れるのだが…
その布石が学園で目立てというのはどうなのか…
はあ。とても楽しいだけの学園生活は送れそうにないな。




