学園長との面談
少々大筋から離れているので、軌道修正中です。
見づらい目が憎い…
体育会系の真面目そうな試験官に連れられて、学園長室に向かう。
この人、すごいな。身体強化の魔法でさっきの教授を担いで歩いている。
かなりムラのある身体強化だなと、つい魔力の流れを見て考えてしまう。
この試験官に対して、魔力のごり押し、脳筋ってイメージがつく。
教授を担いでるせいで目立つ。その隣を歩く俺まで目立つ。
気持ち離れようとするも、大丈夫か?などと近づいて話しかけてくる。
今はその気遣い、いらないです。
学園長室についたようだ。
真面目な試験官がノックして
「どうぞ」
と、中から軽い声が聞こえる。
学園長を見て俺は少々驚いたが、彼らとは違うと頭をすぐに切り替える。
「どうしました?」
「長年、事前試験時に点数はいいのに、学園を去る女生徒の謎が解けました」
「ほお?それが彼だと」
「ええ、不正だと言いがかりをつけて、女生徒を襲っていたようです」
「学園の一部の女生徒からも彼は嫌われていましたね?
その子たちもきっと被害者でしょう」
「はい。きっと脅され、真実が言えなかったのでしょう」
「とりあえず、広場に近づけない結界を張ります。
そして、事実を書いた看板と石を用意しましょう。
殺すな、でも生かすなとでも書けば、少しは女生徒の気が晴れるでしょう」
「はっ!そのようにいたします。
では、私はそのようにいたしますので、これにて失礼」
「ちゃんと『それ』も持っていってね」
「はい!」
また雑に担いで運んでいく脳筋講師。もうちょっと魔力を上手に使おうね。
「さて、学園側からの処罰はあれでいいかな?」
「殺すな。でも、生かすな。ですか?
犯罪者にはいい言葉ですね。参考にします」
「ふふっ。
君のような綺麗な子に褒められると嬉しいな。女の子ならよかったのに」
「気付いていたんですの?」
「君の書類は見たからね、ディーノくん。今はディーネくんかな?
王城での噂も聞いているよ」
「さすがですわね、学園長の名は伊達じゃないということですか」
「本当に女の子だったらよかったのになあ。
我々の秘薬でも使って、本当に女の子になってみないかい?」
「遠慮しておきますわ」
「それで?質問があるような顔をしていたけど、何かな?」
「学園長はエルフなのですか?いつからこの地にいるのですか?」
「そうだね、私はエルフだよ。
いつから、か。もう遠い記憶になるけど…
たしか、『彼』と約束、したから、かな?」
「もう覚えていられないほど、遠い記憶なのですか?」
「いや、悲しい記憶を消すための薬を飲んだようだ。よっぽどだね」
「そうですか…」
彼はダークエルフとは関係ない。
直感ではあるが、素直にそう思えるほど切なく苦渋に満ちた顔をしていた。
「今回はすまないね、あのようなゴミの面倒を見てもらって」
「いえ、あれくらいは。
私の力でどうにかなる範囲では処分させてもらいますわ」
「本来は総力をあげて、私が動くべきなんだろうけど、年齢のせいかな?
倦怠感が強くなってしまってね。
それくらいどうでもいいかってなってしまうんだ」
「問題ありな学園長ですわね」
「私が動くべき事態が起こらない限りは、すべて様子見となる。
だから、学園の生徒会にはそれなりに権限が与えられているのだよ」
この学園長、面倒だなって思うことは他人に丸投げしてるだけじゃないか?
「それと、事前試験の試験時間、長すぎじゃありませんこと?」
「あー、あれもね。元々はもっと短かったんだよ?
たしか、どこぞの馬鹿な貴族が時間が足りないとか喚いてね?
そこから、徐々に長くなっていったんだよ」
「はあ、学園長。
かなり倦怠感に飲まれていますわね。
あそこまで長い時間は必要ありませんわよ?」
「そうかい?じゃあ、生徒会にでも言って、変更してもらおうかな」
「生徒会と言って、言葉を濁していますけど…
ほぼほぼ学園長の便利な手足な状態じゃないですか!」
「まあ、そうなるね?ははっ」
「笑い事じゃありませんわよ!」
ふざけた態度が鳴りを潜め、真面目な顔をする学園長。
次は大事な話なんだろうな?と疑いの視線から入ってしまう。
「君にはこの学園は、とても狭いだろうね」
「私もそう感じてきましたよ…」
「ふふっ。
詰め込み学習したら、一年時でも卒業資格を得られるよ?
頑張ってみるかい?」
「そこまで頑張るかはわかりませんが、早めに卒業資格は得ようと思います。
どうすればいいのですか?」
「とにかく各教授の試験を受けて、単位をもらうことだね。
必要な単位数はいくつだっけかな?
生徒会にでも聞けばわかるだろうさ」
「ここまで他力本願な学園長も世の中にはいるんですのね…」
「はははっ」
俺は学園長の軽さに驚き疲れた。
アレクとティナと合流すべく、学園長室をあとにした。
そういえば、学園長が動くべき事態ってなんなんだろうね?




