表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
成長~入学準備

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/132

恨みを買う、魔法学園に向かう

新年を迎えた。

アレクが十三歳、俺が十歳、コルネリウスが五歳となる。

年齢が飛んでいないか?って、あれから本当に何もなかったのだ。

事件はたしかにあったが、俺たちに直接関わるようなものはなかった。


魔法学園に入る前の雑務を色々と終わらせる。

細かいことはナンシーとその師匠であるヴォルクスが片付けてしまうのだが。




コルネリウスが五歳になったことで儀式を行った。

新年の長期休みを利用して、アレクとティナもコルネリウスを祝った。


コルネリウスが魔法を使いたいと言い出して、訓練場に向かう。

初めて魔法を披露した際に、本来ではありえない火力を見せてしまった。

コルネリウスは呆然とし、周囲は騒然。

そのまま、解散という流れになり、アレクとティナが俺を問い詰める。

正直に俺は話し、父上にも母上にも厳重注意をされた。

コルネリウスに俺が魔力訓練を施していたことがバレてしまったのだ。

コルネリウスには、いつか本当のことを話すことになった。


コルネリウスを除いた家族会議では、コルネリウスの扱いに悩んだ。

その結果、これから忙しくなるのだからと魔力訓練は禁止された。

俺のひそかな英雄計画はここまでのようだ。


この時の俺は浮かれていたんだ。

後に、コルネリウスがあんなに思い悩むとは思わなかったのだ…




家族会議の後、アレクにそっとメモ切れのような紙を渡された。

中をサッと見ると

「学園、王都不穏。気をつけろ。これは燃やせ」

と書かれていた。

書かれていた通りにメモ切れは燃やした。


学園も王都も不穏なのか、気をつけろってどう気をつければいいんだろう?

こういうときは侍従に聞いておこう。


部屋に戻り、念のためにと思い、盗聴などを警戒して探索魔法を使う。

微弱な反応を見つけ、『それ』を拾って、黙ってヴォルクスに見せる。

『それ』を見たヴォルクスは焦り、『それ』を素早く破壊する。

すぐに破壊したその反応を見て、やはりと思い、防音結界を張る。

そして、侍従と話し合う。



「お嬢様、何がありました?

いきなり盗聴器を見せられては、心臓がいくつあっても持ちませんよ?」


「実は話したいことがあったんだけど…

念のためと思って使った探索の魔法に引っかかったのよね」


「ふう、それで?話したいこととは?」


「ナンシー、ヴォルクス、お兄様から警告が来ましたわ。

学園と王都に不穏ありと、気をつけろとも。メモは燃やしましたわ」




「なるほど、わかりました。今は何事もないように過ごしましょう。

その内、しっぽを見せるかもしれません」


「私も警戒レベルをあげます。部屋に侵入を許したのは申し訳ありません」


「ちなみに、先ほどの物はどこにあったのですか?」


「ベッドの棚の近くですわ」


「それだと、絞りづらいですね。いくらでも近づける人物が多い」


「そんな…」


「今は本当に何事もなく過ごしましょう。

アカネ様にも相談してはいかがでしょうか?」


「そうですね。今日はアカネ様のところで寝ますわ」



自室で男装に着替えてアカネの下に向かい、アカネに相談する。

アカネに聞くと色々と答えてくれる。



「危険なのはグリッジ魔道具店、それを支援していたドルリッジ侯爵家よ」


「もう危険な人物を絞っているのか」


「ええ。以前から細かい衝突がこちらでもあってね。

一部のダモナーやドールたちに監視や警戒を任せているわ」


「そうなのか。なぜ捕まえられないんだ?」


「証拠はいくらでも作れるし、掴めるわ。

ただ、それを私が握っても、関係ないの一点張りだと思っているの。

何か決定的な証拠が欲しいところね」


「難しいのか…」


「…アンタ、男装していると本当に王子様に見えるわね」


「俺は男だぞ。何だ、今更?」


「こう、以前と違って、年齢が近くなったせいで、ドキドキするのよ…」


「お、おう」


「可能な範囲では、アンタのことは私が守ってあげる。

数年前から徐々に地下ダンジョンの範囲を広げているからね」


「ありがとうな、アカネ」



イチャイチャをしつつ、グリッジ魔道具店とドルリッジ侯爵家の名前を頭に刻む。

魔法学園に行く前にすべて片付けたかったのだが、特に何も起こらなかった。

息子か娘が学園で接触をはかってくることを祈ろう。


周辺には気を付けようと思い、アカネの下で眠る。

頭を撫でられる感覚がとても気持ちいい。




翌日、父上の執務室に向かう。

スラム街のことを誰に任せればいいのか質問しに行くのだ。




「現状のままだと、ユースだな。少々部下が少ないのが不安だが…」


「彼は人望がないのですか?」


「いや、違う。人間、得意な立ち位置があるのだ。

彼は部下なら非常に役に立つ。だが、上司だと少々問題があるのだ。

自分で何でも解決してしまう、したがる種類の人間なのだ」


「なるほど。

スラム街の縮小は完了したそうですね。

あとは区画整理と大規模な工事だけと聞いています。

私が工事を担当しましょうか?」


「いや、ダメだ。それでは健常な国の運営が出来ているとは言えまい。

たしかにお前の力を使えば、すぐに解決するだろう。

だが、それでは本職の人間たちの仕事を奪ってしまうのだ。

結果的に恨まれてしまう。そういうところにお前も気をつけろ」


「ふむ。難しいですね」


「お前にも領地経営などさせようと思っていたのだが…

時間が圧倒的に足りない。

場所の選定もしなければならないしな」




俺は昨日アカネから聞いた情報を首から下げたネックレスを使って、念話の状態で父上に報告する。

父上はピクッと動いたが、特に変化は見せなかった。

俺も休憩しているように見せて話しかけている。




『お父様、アカネ様から聞いた話ですが…

グリッジ魔道具店とドルリッジ侯爵家に気をつけよとのことですわ』


『そうか、助かる。アレクたちには?』


『範囲外なので、学園で報告しようと思います』


『わかった、情報感謝するとアカネ殿に伝えてくれ』


『わかりましたわ』




ここで、ここ数年内にあった事件を紹介しよう。

どちらの事件も『黄金商会』が間接的に関わっているのだ。

まず『グリッジ魔道具店の模倣品事件』からだ。



グリッジ魔道具店は、ゾロの魔道具店の商品を模倣した。

あろうことか、改良版だとうたってそれを販売したのだ。

だが、使ってみるとたくさんの問題を抱えており、すぐに見放された。


特に美顔器では、使ったご婦人が火傷を顔に負った。

幸いなことに跡は残らなかったようだが、多額の慰謝料を要求されたらしい。

送風機でも、髪の毛がチリチリになったと同じように慰謝料を払ったようだ。



そして、一番の問題が体感訓練機だ。

俺たちが新型機に苦戦している間に、模倣機を作り上げたのだ。

貴族たちに向かって大々的に、自信満々に新型機とうたって販売したのだ。

だが、こちらも同じだ。


俺が厳選したような声優は使われておらず、セリフですら評判が悪い。

音楽や画質も音質もチープな作りであり、多くの貴族を失望させた。


詐欺だ、返金しろと言う話が多数申し込まれる。

しかし、以前の慰謝料の支払いにすでに使ってしまっていたのだ。

そのため、店を縮小するハメになっている。




俺たち『黄金商会』は彼らの自業自得なのに恨まれてしまった。

そして、もう一つの事件。

『ドルリッジ侯爵家の依頼詐称事件』だ。

こちらも、随分と間抜けな事件なのだが、死亡者が出ているので笑えない。




ドルリッジ侯爵家も同じ状態だ。真似をして、自業自得で首を絞めていた。

冒険者を雇って、闘技場で魔物と戦う迫力のある映像をとろうと計画する。

この撮影機もグリッジ魔道具店産だ。


ドルリッジ侯爵はここでやらかしたのだ。所謂ドッキリを冒険者にしかけたのだ。

冒険者ならこれくらい倒せるだろうなんて甘い考えで、依頼内容を偽った。

ゴブリン程度の魔物だと申告するのだが、実際に現れたのはオーガだったのだ。




自身の兵に怪我をさせながらも拘束したオーガを闘技場に放つ。


ゴブリン程度と聞いていた冒険者たちは

「話が違う!」

と叫び逃げ惑う。

ある意味臨場感たっぷりの映像が取れた。



侯爵はニヤニヤと笑い、ここから逆転劇があるのだろうと考えていた。

演技がうまいな、あの冒険者たちなどと考え、喜んでいた。


ここで撮影を任されていた兵士がオーガに殺された。

冒険者たちもひたすらに逃げろと叫んでいる。


さすがにこれはまずい思った侯爵。

侯爵は私兵を投入して、オーガを何とか倒す。

そして、侯爵は冒険者たちを叱ったのだ。



だが、冒険者たちは依頼内容が違うと反論した。

強かな彼らはオーガの討伐部位をとっていた。

それを証拠にギルドに報告して、今回の件を公にした。

依頼書もあり、証拠の討伐部位もあるのだ。言い逃れは出来ない。




侯爵は最後の希望と思い、撮影機の映像を確認する。

だが、撮影を任された兵士の手振れがひどい。


さらに画質も悪く、ただただ音質の悪い音声で

「逃げろ!」

と繰り返す冒険者たちの声しか入ってなかった。


侯爵は撮影機を寄こしたグリッジ魔道具店の援助を怒りのままに打ち切った。

現在は、国からの沙汰を待つ状態だ。




王家と『黄金商会』に筋違いな恨みを向ける危険な貴族が生まれた。

俺はその話を聞いた時、貴族ってホントに馬鹿な奴は馬鹿なんだなと思った。




とにかく、俺は関係者には急いで自衛のアイテムを持たせた。

ゾロのおっちゃん、第三魔術師支部、アカネたちの合作だ。


守りをいくら固めても悪いことにはならないだろう。

関係者の無事を祈ることしかできない自分が悔やまれる。




そして、王都に不安を残しながらも、俺は魔法学園に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ