表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
成長~入学準備

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/132

年末特別上映会

早く眼治らないかなあ?見づらくて、1話書くだけで疲れ切っちゃう。

書いては寝て、書いては寝てを繰り返してます。

全体の流れとネタも少し書き溜めて、次の話の用意してます。

小説書くのって大変だね、かなり舐めてたわ。

年末特別上映会が行われた。

事前告知も盛大にやったおかげか、午前と午後の部と二回上映することになった。

入場券も立ち席券を少しだけ用意して、少々無理をして人を入れることにした。


今年は年末の笑い収めってことで、多くのお客さんが来てくれた。

物販も今までで最高記録をたたき出した。

上映時間も特別とあって、いつもより少し長い特別編集の三時間だ。

まあ、笑い疲れるギリギリのラインだろう。


アンナ曰く

「草原の鈴と共に考えた数々の企画、笑い疲れさせてやる…」

と何やら黒い笑顔を見せていた。


草原の鈴の皆さんは

「ようやく俺たちの復讐がなされる。

新しい企画とあって考えるのが難しかったが、面白いとは思うぜ!」

だそうだ。




今回挑む冒険者パーティはAランクの夜風の月。


依頼達成率もよく、草原の鈴とは昔からの付き合いのある仲だそうで、

「期待してる」

と爽やかに笑っていた。


面接風景も上映されており、草原の鈴が黒い笑顔を顔に浮かべていたのは、上映会に携わった人たちだけの秘密だ。






Side Aランクパーティ夜風の月


俺はAランクパーティ夜風の月のリーダーのカイだ。

斥候のベル。

弓使いのウェイス。

魔法使いのビビ。




「はー、すっげえ建物だな。これ、全部貸し切りだってよ」

「今回の報酬金はやばいにゃ!今までの中で、一位だにゃ!」

「その分、すっげー嫌な予感がするんだよなー」

「大丈夫だって!戦闘もないって、事前に説明されてるんだからさ!」



「ん?ここで待て、だってさ」

「命令形で気分がよくないにゃ」

「まあ、指示には従えとは言われてるから、待つしかねえな」

「お、何か来たよー」



「おはようなんダモナー!」

「お、おう」

「可愛いけど、これが噂の案内人?」

「だと思うぜ、語尾が特徴的だろ?」

「不思議な生き物だー!解剖したいー!」



「解剖はやめるんダモナー!今回、この旅館を案内するダモナーなんダモナー!」

「案内してくれるのは助かるな。こんないい施設で粗相したくないしな」

「旅館だってさ、噂に聞く温泉には入れるのかにゃ?」

「とりあえず、荷物を無駄に持ってきちまったから、早くゆっくりしたいぜ」

「ちぇ~」



「この旅館内でのルールを説明するんダモナー!

絶対に笑ったらダメなんダモナー!笑うたびに罰を受けてもらうんダモナー!」

「は?それだけか?」

「随分と簡単なルールにゃ」

「うわあ、嫌な予感がビンビンだぜ」

「笑わなきゃいいんだってさ!楽勝だね!」



「じゃあ、さっそく旅館の中に入るんダモナー!

中に入ったらゲーム開始なんダモナー!」

「よし、気合入れていくぞ!」

「そんな気合入れる必要があるのかにゃ?」

「不安だぜ…」

「いこー!いこー!」



俺たちは案内人に連れられて、旅館内に入る。

もう笑ってはいけないらしい。

物珍しいから、どうしてもあちこち見てしまう。

案内人が土産物屋を紹介してくれる。



「ここがお土産コーナーダモナー!帰りにでも寄っていって欲しいんダモナー!」

「おう、なんかわからんがうまそうなのが揃ってるな」

「ぐっ…」

「どうしたんだよ、ベル?」

「試食もできるんだって!食べてもいい?」



このとき、ベルの異変に気付けなかった俺たちは、まだ危機察知が甘いらしい。

案内人に指さされた先の告知を見て、俺たちは笑ってしまったのだ。



「ついでに、祭りも紹介するんダモナー!

この周辺で有名な狩り職人さんによる解体ショーなんダモナー!」

「ぶはっ!はははっ!」

「んぐっ!」

「はははっ、こんなん卑怯だろ!」

「ぶふぅっ!食べてる最中にダメだってば、こんなの!」



『デデドン!カイ・ウェイス・ビビ、罰ゲーム!』



「ベル以外が笑ってしまったのか…」

「んふっ」

「おい、ベルも笑ってんぞ!」

「もう判定外みたい。でも、罰って何されるんだろう?」



笑ってしまった俺たちの下に現れたのは、黒い【鬼】だった。

こいつが噂の…

だが、聞いていた話と違う。胸元に罰の内容が書かれていない。


奴の手元には、少し長めの乗馬鞭の先に幅広の一見柔らかそうな板がついていた。

俺たちは【鬼】たちに四つん這いにされた。

おい、まさか…

旅館に響き渡る鞭の音。

うっすらと聞こえる笑い声、この声は草原の鈴たちか?




「いってええええ!」

「んぐっ、ふぅ…」

「ちょっ、当たっちゃダメなとこに当たった…」

「んひいいいいん!」



「どうしたんダモナー?まだ入り口近くなんダモナー?」

「どうしたもこうしたもねえよ!なんだあの変な恰好したギルマスの告知!」

「んぶふっ」

「真面目な顔が逆に笑えてくる…」

「ちょっとー!ベルだけ見逃しすぎじゃない!?」




俺たちは文句を言いながらも戦慄した。

まだ旅館に入って間もないのだ、なんならほぼ入り口である。

この調子で笑っちゃいけないとか無理だろ。

尻が壊れる。




その後は特に何もなく、部屋に案内された。

荷物も降ろし、リラックスした格好の『浴衣』に着替える。

これいいな、持ち帰れないかな?


部屋でくつろいでいると、温泉の前に一汗流しませんか?

と機械人形のドールさんが案内をしてくれる。

荷物は持たなくてもいいが、小銭は持って欲しいと言われた。

不思議な顔をしつつ、案内に従い、ついていく。


俺たちが連れてこられたのは、旅館内にある『ゲームコーナー』という場所だ。

ふむ、身体を動かす遊び場みたいなもんかな?




先ほどのような罠がないかと、あちこちを確認していると…

小さな女の子が腰にぶつかってくる。



「おにいちゃん、わたしとあそんで?」

「お、おう?なにであそびたいんだ?」



俺は年下には弱い。特に女の子には、だ。泣かれるとなると最悪だ。

女の子は指を差し、遊ぶものを指定してくる。



「あれしよ、あれ!『エアホッケー』!」


「兄ちゃん、初めてだからルールを説明してくれるか?」


「あのね、お金を入れると出てくる丸い薄い板をね!

このパッドで弾いて、相手の陣地にあるこの穴の中に入れるの!

十五点入れたら勝ちなの!」



少女のつたない説明に笑いながら、勝負ごととあって俺は真剣に遊ぶことにした。

相手の少女の正面に立ち、銅貨一枚を入れる。




ここで悲壮感漂う音楽が流れる。


な、なんだ!?


少女に光が上から照らされ、少女が俯いているせいで顔が暗く見えてしまう。

少女のつぶやきがこの場にいる俺たち全員に響いて聞こえる。



『日帰りだけど、旅行に行こうかって言ってくれたお母さん。

きっと無理をしている。わかるんだ…

お母さん、朝早くに出て、いつも夜遅くに帰ってくるんだもん。

いつも家に独りぼっちなわたしのために、この旅行を計画してくれたんだ。


だから、お母さんのお手伝いをこの日のために毎日したんだ。

頑張って貯めた銅貨だから、いっぱい楽しみたいな…』



少女のつぶやきが終わり、音楽も変な光も消える。


すっげえやりづらい…


仲間からの視線も厳しい。

だが、俺は決めたんだ。真剣に戦うと。




少女に先ほどの雰囲気はなく、元気よく、いくよー!

と掛け声が聞こえ、板を弾いてくる。

板の速度は遅い…

これくらいならっ!



「ふんっ!」


「きゃっ」


「すまんな、嬢ちゃん。勝負の世界は非情なんだ」



このとき、後ろの仲間たちの声が急に途切れたことに、違和感を感じなかった俺は冒険者失格なんだろう。




「うぅ~、まだ頑張れるもん」

「さあ、来な!」




零対八と俺が優勢。

少女は涙目だ。


ここで先ほどの音楽が流れ、光が少女を照らす。

先ほどと同じく、少女の顔は俯いていて、よく見えない。

またつぶやきが響く…



『お母さんが一生懸命働いたお金を、お手伝いなんて言葉でもらうわたし。

いっぱい遊んできなさいって笑って送り出してくれたお母さん。

銅貨一枚じゃ、遊べる程度もわかっているはずなのに、『いっぱい』って。

なんて言って帰ればいいんだろう…

このまま負けて、『楽しかったよ!』ってお母さんに嘘をつくの?

無理だよ、絶対泣いちゃうよ…

信じて送り出してくれたお母さんが悲しむ姿を、わたしは見たくないよ…』



音楽が止まり、光も消えた。

この場に聞こえるのは、俺の仲間たちの罵声と少女のすすり泣く声だ。



や、やりづれえ…



「ちょっと!リーダーなにしてるにゃ!

そんな子供相手に、なに真剣にやってるにゃ!」


「さすがにそれはないと思うぜ~。

いくらなんでも、それは、ない!」


「可哀そうすぎるよ、ぐすっ」



このとき、俺から見えない位置で、案内人のダモナーが

「あなた方のリーダーが点数を入れるたびに、厳しい罰をあなたたちに与える」

という看板を持っていたのを俺は見落としていた。


俺は、勝負は真剣にと思っていたが、俺が間違っていたのか?


そうか…


なにも、こんなか弱い女の子に本気を出す必要なんてないよな?

と俺は考えていた。



「よし、嬢ちゃん!ハンデだ!

俺は利き手じゃない方の手で戦ってやるよ!」


「ほんと!?おにいちゃん!!」


「ああ、嘘はつかねえ」



まあ、上位冒険者になると、利き手なんて関係ないんだがなと思ってしまう。

先ほどよりいい勝負をするも、少女のミスで自陣の穴に入れてしまう。



「あちゃ~、自陣の穴に入れちまったか。大丈夫だ、次だ、次!」


「うぅっ、うぅっ…」



少女がついに本格的に泣き始める。



「こら~!リーダー!なに泣かせてるんだにゃ!」

「さすがにドン引きだぜ…」

「小さくても女性ですよ?

もっと優しくすることは出来ないのですか?」



仲間たちからの厳しい視線。

冷たい言葉を背中に受けて、俺はこの場に立つ。


た、頼む!代わってくれ!!

そんな気持ちも伝わらず、少女が板を弾いてくる。



「こんどこそ!」


「くっ!」


「やった、入った!」



「よく頑張ったにゃ、お嬢ちゃん!」

「まだ逆転できるぞ、頑張れ!」

「お嬢さん、最後まで諦めないで!」



ガコンっ!

と、いい音を立てて、俺の陣地の穴に板が落ちる。

これでようやく少女に初めて点が入り、一対九となった。


ちくしょう、好き勝手言いやがって、勝とうと思えば簡単に勝てる。

だが、仲間の視線や言葉は冷たいし、少女には悪い。

気分が大変よろしくない。




そんな中、ニヤニヤとした案内人のダモナーが看板を俺にだけ見えるように持つ。

書いている内容は…

『ゲーム終了後、あなたが点を入れられた数だけ厳しい罰を執行』

なんて野郎だ、これが噂の恐怖の案内人か。


俺の罰を減らすためには、点を入れて勝つしかない。

だが、そんなことをするとパーティ解散もあり得るほどの状況に陥る。

どうすればいいんだ?どうすればいいんだ?と焦り、混乱する頭。


このゲームは、十五点取った方が勝つ。

つまり、俺は十五回も罰を受けないといけない。


俺は、俺は…






『ビビーッ!カウント、十五対九!ゲーム終了!!』




機械音が聞こえる。俺は燃え尽きていた…


そんな俺に

「遊んでくれてありがとう、お兄ちゃん!」

とニヤニヤした少女が目の前にいた。


ああ、女はいくつであっても怖えな。

あれが全部『演技』なのか?どこからどこまでが『演技』だったんだ?

霞む目の前、俺は泣いているのだろうか?


そんな俺の前に、無慈悲に立つ筋力がありそうな大きな【鬼】。

手には東洋の練習剣『バンブーブレード』。

練習用だから当たっても痛くないとは聞く。

だが、いくらなんでもこの【鬼】に対して、その『バンブーブレード』は凶悪だ。


俺はきっちりと十五回分、尻を叩かれた。




「ああああああああ!」

「いやあ、リーダーが子供相手に大人げないことをするとは思わなかったにゃ」

「そうだよな。そのせいで無駄に俺たち九回もあの【鬼】に殴られたんだぜ?」

「さっさと負けてあげるべきだったんです」




そんな会話が陰でされているとは俺は思わなかった。


ちくしょう。

尻が、痛え!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ