表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
成長~入学準備

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/132

聖樹ユグドラシル、父上と兄上との話し合い

あれから地下の復興は進み、区画整理も済み、みんなに笑顔が戻ってきた。


俺たちはそんな中、聖樹ユグドラシルに頭を悩ませていた。

聖樹が俺たちに話しかけてくるようになったのだ。



『アンナ、アンナ。元気ない?雫飲む?』

「大丈夫よ、ユグ。ちょっと悩んでいるだけだから」

『ユグはね、みんなが助けてくれたから、元気になったの。

だからね、みんなには、元気でいてほしいの』


「そっかー、ユグは元気になったのかー。鉢植えじゃ狭くないか?」

『うーん、そろそろ狭いかも?』

「そうかそうか。じゃあ、近いうちに植え替えないとな」



聖樹ユグドラシルのユグ、枯れ枝だった存在だ。

俺のエリアヒールで復活し、アンナの世話で健康的になった。

区画整理もユグが植わるのを想定して作られている。

だが、その前にやらなけれならないことがある。


それはダンジョンコアを地中深くに埋めることだ。

前回の襲撃で、不用心に置きすぎたことを反省した結果なのだ。

今、俺たちはユグが植わる予定地に来ている。

ダンジョンコアは地中深くに埋めるため、俺の魔法頼りだ。



「じゃあ、いくぞ?」

「うん、お願い」

「それじゃあ、アースダイブ」



ダンジョンコアが地中深くに沈んでいく。

しばらく魔力を込め、沈め続ける。


これで以前のようなことにはならないだろう。

奪われ、初期化までされたダンジョンコア。

ダモナーやドールたちの意識が戻るまで大変だったのだ。






今日は、ユグを広い土地に植え替える。

そのために、以前ダンジョンコアを埋めた位置に来た。

アンナが鉢植えを抱え、アカネが中心を確認する。

俺はポチと共に待機だ。



「中心はここね。ポチ!ここを少し掘って!」

「うん、わかったー!」

「よく出来ました。いい子いい子!」

「うふふん、ボクいい子!」



「じゃあ、アンナ、鉢植えを」

「ええ、お願い」

「ユグ、ちょっと痛いかもしれないが我慢してくれよ?」

『うん、大丈夫ー』



「よし、こんなもんか?あとはちょっと土を被せてっと」

『カオル、カオル!魔力ちょうだい!』

「ん?どうしたんだ、ユグ?」

『カオルの魔力があればすぐにおっきくなれる!出来たら、アンナも!』

「私も?」



ユグが俺とアンナの魔力を要求してきた。

すぐに大きくなるためだと言っているが、よくわからない。

だが、悪いことにはならないだろうと思った。


大きくなると言うので離れた位置で地面に手をつき、土に魔力を送った。

地面の土から、ユグに魔力を届けることになる。


最初は俺が魔力を送ることになり、次にアンナが送ることになる。

これはユグの指示である。

魔力がかなり必要になるから、意識が飛ぶかもしれないからと。

アンナに配慮した形らしい。

俺には配慮しないのか?

と聞いたが、俺の魔力量では多少ふらつく程度で済むだろうとのことだ。



どれだけ魔力を持っていかれるのかと心配しながらも魔力を送り始める。

急にずわっと魔力を吸われる。

慌てて送る魔力量を全開にした。結構きつい!




「うおおおお!」

「カオルっ!?大丈夫!?」

「これくらいなら!って、まだ吸うのか!うおおおお!」




俺の魔力を吸って、ユグが大きく急成長する。

すでに見上げる大きさだ。チラッとしか見る余裕はなかったけども。


それほどに魔力を吸っていくのだ。

俺が鍛え上げた魔力量が空になりそうな速度だ。

魔力が枯渇するギリギリで、成長したユグが上から声をかけてくる。



『ありがとう、カオル。もう手を離していいよ』


「はあ、はあ、ホントに枯渇寸前まで魔力を持っていきやがって。

もう動きたくねえ」


『じゃあ、アンナ。次よろしく』


「う、うん…」


『大丈夫、カオルほど吸わないから。

最後の仕上げってことで、聖女としての魔力が欲しいの』


「んん?よくわからないけど、わかったわ」



差別のような発言を聞くが、俺は疲れ果てていてツッコむ気力もなかった。

アンナが地面に手をつき、魔力を流し始めたようだ。



「んっ、少し量が多い」

『ごめんね、もうちょっとだけ我慢してね』



アンナが魔力を流したことにより、ユグが光り輝く。

随分と上の方で、光り輝くダンジョンコアらしきものが見える。

まさかと思い、ユグに尋ねる。




『うん、あれはダンジョンコアだよ』


「せっかく地中深くに埋めたのに…」


『ごめんね?でも、深く埋めただけじゃ危ないんだ。

だから、ユグが取り込んだの』


「それは、ユグの身体には影響はないのか?」


『ないよ?

ユグから出る魔力をダンジョンコアが吸うから、コアの魔力も問題ないよ』


「そうなのか。じゃあ、あの祭壇は形だけの存在になるな。」


『そうだね。

あれだけあっても、誰にもコアを操作できないからあまり意味はないね。

強いて言えば、遠隔魔力補充ができるってくらい?』


「はあ。かなり疲れたが…

アカネのことを思ってしてくれたんだな。

ありがとう、ユグ」


『うん、どういたしまして。アンナのお願いでもあったから、別にいいよ』


「ん?アンナのお願い?」


『アンナがね、自分のせいでコアを危険にさらしたって泣いていたの。

だから、ユグが取り込んで守ることにしたの』


「ユグ、あなた…」


『ごめんね、アンナ。悩んでいるアンナを見ていたくなかったんだ。

手伝えると思ったから、ユグが勝手にしたの』


「ううん、ありがとう。ユグ、私のために」


『どういたしまして』




これで地下ダンジョンの復興は終わったと言っていいだろう。

また近く、アカネやアンナが冒険者を使った営業を行うそうだ。

指名依頼として、以前の四組目の冒険者パーティを呼ぶことになっている。


新たな企画と趣旨を説明し、年末に上映できるように計画しているようだ。

今回の餌食は、Aランクパーティにしようとも話が進んでいるらしい。

あの企画をやるとは聞いているので、俺としても非常に楽しみだ。






夕刻近く、父上の執務室に向かう。

今日の仕事が終わるまで、俺にできる仕事を手伝う。

今ではアレクも父上の仕事を手伝うようになっている。


ティナ嬢が仕事を手伝っているのに、自分だけという気持ちになったそうだ。

アレクは尻に敷かれそうだな、なんて感想を抱いた。



「ふう、皆の者。今日の仕事は終わりでいいだろう。

大臣もちょうどキリがいいだろう?」


「そうですね、今日はここまでにしましょうか。

緊急の書簡があれば届けます」


「そんなものは来ないことを祈る。

ああ、茶を入れてくれ、三人分な。

ほかの者は退室してくれ」


「わかりました」



父上が俺の雰囲気に気付き、気を遣ってくれたようだ。

アレクは不思議そうにしているが、話を聞く態勢にはなっている。

お茶を用意してくれた侍従が部屋を出ていったのを確認して、話を切り出す。



「お父様、お兄様。成人したら身を隠すことをお許しくださいませ」

「どうしたというのだ、急に?お前が身を隠す意味があるのか?」

「ディーネ?話の起点から聞かせてくれ」



そして、俺は語る。

アカネのこと、俺の将来のこと。

親孝行はちゃんとすること。

隠れるとは言っても、必要なときには動くということ。


その辺りはアカネと話し合った。

重要な人とは連絡が取れる道具を用意することにしたのだ。



「そういうことだったのか。

アカネ殿には我々も甘えていた。そういうことなら構わない」


「ディーネ、君の将来に関してもだ。

君の生い立ちのせいで、君が苦しむというのなら好きにするといい。

幸い、コルネリウスがいる」


「なるべく、コルネリウスには負担をかけたくなったのですがね…」


「こればかりは仕方があるまい。

陰ながらでいい、表に出ることがなくとも支えてやってくれ」


「難しいことをおっしゃいますね、お父様」


「将来的には家族の時間が取れないのだ。

今のうちに母であるリリーにも甘えておくのだぞ?

リリーだって悲しむのだからな?」


「わかりましたわ、お父様」



俺は父上とアレクに抱えていた問題を話し終えた。

残りの長いようで短い時間を家族と過ごすことを決める。

とは言っても、アカネとの時間も取れるなら、取れるだけ取るつもりだ。


こうして、重大なことは決定した。

しばらくは、ゆったりとした時間を過ごせるだろうことに安心した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ