奴隷解放後の雑務、ダークエルフたちの暴走
病院に行ってきました。貧血がひどく、そのせいで出血しやすくなっているというダブル効果で、眼球内で出血してました。完治するまでかなりかかりそうなので、今後も筆が遅くなると思います。
あと文章全体の確認はしているつもりですが、そちらも非常にやりづらいので、おかしな言い回しがあった場合は脳内補完してお読みください。なんとなくこういうことが言いたいんだなと伝われば嬉しいです。
違法奴隷たちを助け、悪徳貴族たちを裁いていた父上。
奴隷の扱いを奴隷たちから話を聞き、貴族どもの話と照らし合わせる。
この時役に立ったのが、チビダモナーだ。
ダモナーたちは妖精であるため、嘘を見抜けるのだ。
貴族どもの悪あがきの訴えをマルバツの書かれた板で判定していた。
もちろん、違法奴隷たちにも判定は使っている。誇張した証言はいらないのだ。
最終的な貴族どもの扱いに父上は頭を悩ませていた。
捕まえた貴族の中に、重役な貴族もいたようで扱いに困ってしまったようだ。
だが、父上は国の膿は可能な限り、取り除くと決めた。
監査をつけて引継ぎ作業を行い、埋もれていた有能な貴族に仕事を任せたようだ。
上司に圧力を受け、本領を発揮できずにいた彼らはその力を十分に振るった。
今まで上司が行ってきた不正も正し、国が正常に動いていく。将来は明るいな。
違法奴隷たちは、最初こそ憎悪に染まった目をしていた。
俺の献身的な治療とアカネによる地下での十分な休養で、身体も心のケアも行えたおかげでか、彼らは捜査に非常に協力的になってくれた。
治療や介護にはダモナーやドールたちが手伝ってくれた。
奴隷になった獣人たちから事情を聞き、そんな痛ましい彼らを励ましてくれた。
彼らが生きる希望を取り戻してくれてよかった。
療養中の彼らは、余生を過ごすスラム街の住人たちの下にも訪れていた。
そんな住人を見てか、彼らは自分たちが挫けていてはいけないと思ったようだ。
彼らはスラム街の住人たちのために、芸を見せていいかと俺に許可を取った。
なので、危険なことはするなよと忠告して許可を出した。
余生を過ごす彼らにも娯楽はあってもいいだろうという判断だ。
おおむね奴隷となっていた彼らの治療が終わった。
彼らを苦しめた貴族たちの裁判も順々に終えていく。
そうして、村に帰るか、王都に住むかを奴隷だった彼らに選ばせた。
ほとんどの者は、このまま村に帰ることを選んだ。
将軍に頼み、村に帰る奴隷だった者たちの護送の協力をとりつけた。
残りの者は、新たな住まいができるまで地下で過ごすことになった。
残った者の中には、ウーブからの話を聞いて、スラム街に協力する者もいた。
新しい住居と王都での仕事を手に入れられるのだ、魅力的だったのかもしれない。
ウーブの住処にはスラム街の住人の確認のために、地下への扉を設置している。
ウーブの妹、リルも奴隷生活が長かったため、治療を行うことにした。
肺に問題を抱えていたようだが、魔力のごり押しヒールによって治療した。
「呼吸がしやすくなりました!」と喜んでくれ、
治療後は俺たちを手伝うようにくるくると働いた。
そんな彼女は、小さな子たちから「犬のお姉ちゃん」と呼ばれていた。
「私は狼なのですが…」と複雑そうにしていたのには、笑ってしまった。
元奴隷たちの護送の準備や療養中の彼らの様子を見ていると問題が発生した。
働いていたダモナーたちが一斉にとある方向に視線を向け、
「侵入者ダモナー!」
と動き出したのだ。
ドールたちも動いているようだ。
現場に向かうと、あのときのダークエルフの一人がいた。
「火あぶりダモナー!」
「侵入者を許すなダモナー!」
「この場の安寧を崩すものには、極刑を!」
「決して逃してはいけません、包囲網を敷くのです!」
とダモナーとドールたちが興奮して、ダークエルフを囲んでいる。
この事態にはアカネも動くことになった。
ダークエルフを見たアカネはすごく不機嫌そうだ。
何をやったんだ、このダークエルフ?
アカネは冷たい声で、ダークエルフを問い詰める。
「お前は自分が何をして、ここに入ったのかを理解しているのか?」
「くっ、不覚!こんなに警備が厳重だとは…」
「アカネ、あいつはどうやってここに入ってきたんだ?」
「ふう。スラム街に手伝いに出ていた獣人の幼子を脅したのよ、こいつは。
その子に扉を開けさせて、侵入してきたのよ」
「ほお、それはそれは…」
アカネの話を聞き、俺も視線が冷える。
「ま、待ってくれ!
我々はあなた方に仕えるために、あなた方のことを調べていただけだ!」
「調査のためなら幼子を脅して利用すると?」
「最低ね」
「わ、悪かった!だ、だから、処刑は待ってくれ!」
「お前たちを助けたのは間違いだったか?恩を仇で返すとは思わなかった」
「王都の中にも入り込んでいるわね。迷惑だから一人一人捕まえるわ」
「なっ、そんなこと、できるはずがないっ!」
「お前、あの時もそんなことはできない、ありえないだのと喚いていたな?
現実を見ろ。出来ることは出来るんだよ」
「ダモナー、ドール!こいつらを捕まえてきて!」
アカネはコアのウィンドウを確認して、何やらを操作をしている。
その後、アカネの号令により、ダモナーとドールたちが消える。
数分後、王都にいたらしいすべてのダークエルフを捕まえてきたようだ。
捕まったダークエルフの三人の男は驚き、目を見開いていた。
自分の身に何が起こったのかを理解できていないのだろう。
この王都にいる限り、アカネは強いのだ。どんなに上手に隠れても無駄である。
「なっ、なんだ!?」
「何が起こったんだ!」
「くそっ、まさか対象に捕まるなんて…」
俺は彼らの様子に、また怒りが湧いてきた。
彼らに直球で質問する。魔力も全開だ。
「お前たちは、恩を仇で返すつもりか?」
「ひっ!」
「な、何をする気だっ!」
「ま、待ってくれ、話し合おう!」
「そこのダークエルフが幼子を脅してまで、ここに侵入してきたんだぞ?
そんな奴らの話を聞く価値があると思っているのか?」
「なんだって!?」
「待ってくれ、それはそいつの独断専行だ!」
「我々は穏便に話し合い、あなたにお仕えするように言われてきたのだ。
里の長老たちとも、ちゃんと相談済みだ!」
「ダモナー、嘘はあるか?」
「ないんダモナー」
ダモナーの嘘を見破る力を使って確認する。
嘘はないようだが、態度が悪いのが気になる。
今はほんの少しだけ怒りを抑え、話を聞く態勢になる。
「お前たちの存在を秘密裡に消すことはいくらでも出来る、嘘偽りなく答えろ」
「わ、わかった」
「あいつのせいで、すべてが狂ったな」
「まったくだ。もっと穏便に進むはずだったのに…」
無駄にしゃべるな、こいつら。自分たちの立場が分かっていないようだな。
少し脅すように、魔力をぶつけて圧力をかける。
「無駄口を叩くな、質問にだけ答えろ」
「…」
「…」
「…」
「お前たちは何のために、この王都に入ってきた?
ちゃんと正規の方法で入ってきたのか?」
「我々は正規の方法で入った!」
「同胞を助けてくれたあなたに仕えるために、話をしにきたのだ」
「だが、あの女だけは王都に侵入し、勝手に動いて、今回の事態を起こしたのだ」
「ダモナー?」
「嘘はないんダモナー」
「そうか」
あの女だけがダメなんだな。
こいつらはまだ話せるようだ。
「あの女は処分してもいいか?」
「ま、待ってくれないか?彼女が起こした問題は、我々の方で対処する」
「命よりも重い処罰を必ず下す!」
「本当だ!里にある聖樹の下で数百年間を土に埋まってもらう」
処罰の内容を聞き、そこまではしなくてもいいかな?って俺は思い始めた。
侵入してきた女もプルプルと震え、涙目だ。
処罰に対して悩んでいた俺だったが、ここでアカネが口を開く。
「それだと、私たちに利がないわ。私たちに利を示しなさい」
彼らはアカネの強い視線を受け、真剣に話し合う。
答えが出たようだ。彼らは必死に提案する。
「あなたは悠久の時を過ごす存在のようだ。
ならば、我々の里の聖樹の枝をここに植え、聖樹を育てるのはどうだろうか?」
「我々にも利があるように聞こえるが…
聖樹は聖樹の世話をする者にしか心を開かない」
「聖樹の雫や葉には、治癒の力がある。
人間たちには大きな利ではないだろうか?」
アカネが彼らの言葉にわずかに動揺したような動きを見せた。
だが、すぐに元の様子に戻る。
悠久の時を過ごす存在?どういう意味だ?
アカネは彼らとの話を続ける。
「まだ足りないわ。私の秘密を暴露した罰よ。もう少し寄こしなさい」
「す、すまなかった。では、聖獣さまもつけよう」
「今回の話をすれば、きっと我々を見放し、あなた方の下に向かうだろう」
「どちらにせよ気付かれることだ。あなた方の下に向かうようにお願いしておく」
「どうせ気付かれることならば、利ではないわ。聖樹の種も用意しなさい」
「そ、それは、我々の一存では…」
「里に帰り、長老たちの意見を聞かねばならないだろう」
「出来るだけ、そのようにするつもりだ。
だが、別の物になったときは許してくれないだろうか?」
「それ相応の物ならば別にいいわ。
私も怒らせてはいけない存在だということを忘れないで」
アカネは冷気を感じさせるような声音で彼らを解放した。
あのダークエルフの女は里に連れ帰って、処罰するようだ。
俺はアカネの背中を見る、どこか痛々しく見える。
アカネに声をかけようとしたが、その前にアカネが振り返った。
その表情は心配をかけまいとしているようだった。
「ふー、迷惑な存在だったわね!話し疲れたから、もう休むわ!」
「あ、ああ、わかった。ありがとうな、お疲れ様」
「ダモナー、ドール。彼らがまた王都に来た時には見張っておいて。
あなたたちの判断でここに連れてきても構わないわ」
「わかったんダモナー!」
「承りました、マスター」
「じゃあね、おやすみ」
「ああ、おやすみ」
家の中に入るアカネの背中を見送った。
アカネは何かを隠してはいるけど、今は話す気はないようだ。
今はそっとしておくことにして、いつか話してくれることを待つことにした。
ダークエルフたちにはホントに困ったものだ。
だが、どうやら派閥的なものを感じる。
人間を軽く見るあの女のような派閥。
人間と共存する動きを見せる派閥。
次来るときも一波乱ありそうだなと、俺は一抹の不安を感じる
次の対応もアカネに任せてもいいのだろうか…
このまま頼りすぎるのはよくないかもなと思い、俺も自室に帰ることにする。




