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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
成長~入学準備

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コルネリウスのためにできること

栄養が足りなかったのか?少し食べることを増やしたら、ほんの少しだけどかすんで見える部分が和らいだ気がする。

明日、病院に行ってきます。入院するなんてことにならなきゃいいけど。

先日、母上が三男となるコルネリウスを生んだ。

今は新しい部屋を用意している最中で、乳母と共に母上の私室で面倒を見ている。

夜泣きに対応するため、交代で睡眠をとっているようだ。

子育ては一人でするものじゃないものね。

協力できるなら協力した方がいいよね。



そして、俺はコルネリウスに魔力の英才教育を施すか迷っている。

アンナが言っていたように、手をつないで魔力を循環させる。

そうすれば、コルネリウスは魔力管を広げられるのではないかと思う。


ただ、直接行うにはかなり怖いので、アンナに協力してもらうつもりだ。

どうせアカネのとこにいるだろう。

俺は自室の扉から地下ダンジョンのアカネの下に向かう。



「こんな時間にアンタが来るなんて珍しいわね、どうしたの?」

「ちょっと実験がしたくてな、アンナはいるか?」

「アンナちゃんならDVDを見てると思うわよ、次の構想を練るために」

「あいつ、日本語わからないのに、よくかじりついて見れるな」

「それが、最近は日本語の勉強をしてるのよ。

お願いって言って、勉強道具を強請られたわ」

「マジかー、そこまでしちゃうかー」

「勉強していたら、邪魔しないであげてね」

「わかった」



アンナの近況をアカネから聞いた。

勉強熱心なのか、笑いに貪欲なのか判断がつかないところだ。

リビングにでも向かえばいるだろう。

ビンゴ!

アンナがうんうん言いながら、日本語の文字とにらめっこしている。面白い。



「どうして同じ発音の文字が二種類もあるのですか?

必要なの?馬鹿なの?

それに漢字!読み方が多すぎなのです!!」



どうやら海外の人が陥る日本語の難解さにキレ散らかしているようだ。

声をとてもかけづらい。すごい機嫌が悪いんだもの。


また今度にしたい気持ちになるが、可愛いコルネリウスのためだ。

ちょっと怒られるくらいなんてことない。


それに俺でも教えられることがあるかもしれない。

意を決して、アンナに声をかける。



「よ、よお、アンナ。日本語の勉強か?」


「あなたですか。なんなのです、馬鹿にしにでも来たのですか?」


「いや、そういうわけじゃないが…」


「なら、邪魔しないでください。日本語は意味が分からないことが多いのです」


「どこで悩んでいるんだ?

俺は日本人だったし、質問にはある程度答えられると思うぞ」




「んん~、あなたに頼るのは少々業腹ですが、仕方ありません。

なぜ、ひらがなとカタカナという文字があるのですか?」


「あー、そこからか。カタカナは基本的には発音頼りの文字だな。

日本語以外の言葉を表すときに、使うのがカタカナってイメージだな」


「なるほど。では、ひらがなは?」


「ひらがなは、もはや強制的に覚える文字な気もするが…

扱いとしては、基本文字という扱いだな。

漢字やカタカナは応用、ベースとなるのがひらがなだ」


「なるほど?」


「例えばだが『わたしは今日、ライスを食べました』って感じか?

ライスって言葉は海外の言葉だから発音表記のカタカナを使っているんだ」


「ふむふむ。

『食べました』の『食』はひらがなの『た』の一文字でも表現できるのです。

それなのに、なぜ、わざわざ漢字を使っているのですか?」


「そうだなー。

俺の感覚の話になるが、ひらがなが多用されていると読みづらいんだ。

それに漢字には、それそのものに意味がある。

だから、漢字を見るだけで意味が伝わりやすいんだ」


「日本語がとても難しいということがよくわかりました。

これはだいぶ長い戦いになりそうなのです」


「日本語は俺の世界でも難解な言語として有名だったからな、仕方ない。

長期的に見てがんばってくれ」


「それで?

あなたはそれだけのために、私の下を尋ねてきたわけではないのでしょ?

何の用なのです?」


「お、さすが察しがいいな。

実は、先日生まれたコルネリウスに魔力訓練を施したくてな?

アンナが以前教えてくれた、手をつないでする魔力訓練を試したいんだ」


「なるほど。

直接、赤ん坊に魔力訓練をするのが怖いから、私で実験したいと」


「ホントに察しがよくて助かります。頼めないだろうか?」


「いいですよ、日本語の勉強もキリがいいですし」


「ありがとう!じゃあ、さっそく手をつないでやってみよう!」


「うっ!仕方ないですね。

相手は赤ん坊で魔力管も広がっていないというのを忘れないでくださいよ」


「わかっている。慎重に極小の魔力を送ればいいんだろ?」



アンナが手をつないだことにより、赤面しているようだ。

コルネリウスのためにという意識が強く、そんなことには気づかなかったが。


慎重に、慎重にと意識して、極小の魔力を送る。

俺だからこそできる繊細な魔力操作を行って、アンナに魔力を送る。



「んんっ!?」


「ど、どうした!?」


「い、いえ、なんでもありません。少しくすぐったかっただけです」


「じゃあ、このまま続けるぞ。

問題があれば教えてくれ。これくらいだろうか…」


「んっ、んんっ!ホントにくすぐったいですね。

もっと魔力量は少なくしていいと思います」


「まだ多いのか。もっと少なく、もっと少なく…」


「ひゃっ!速いです!!魔力を送る速度が速いです!もっとゆっくり!!」


「す、すまない!ゆっくり、ゆっくり。それでいて、量を減らす…」


「んん、ぐっ、ぐぅ…

くすぐったい上に、ゆっくりと動いてくるから気持ち悪いっ!

もうだめです!おしまいっ!」


「えっ!もっと練習したいんだが…」


「もうだめです!

私で練習するよりも、もっと魔力管が狭い人で練習するべきなのです」


「そ、それもそうだな。すまん」


「はあっ、はあっ、まったくもう!

なんでこんな簡単なことに気づかなかったのか悔やまれる…」


「スラム孤児たちだった子たちに手伝ってもらうか?

いや、あいつらも魔力訓練してるんだったな、うーん」


「私は少し休みます。

あなたはあまり周囲に迷惑をかけないようにするのです」


「ええ?俺、迷惑かけているかな?」


「いいですねっ!?」


「わ、わかったよ」



俺はアンナにかなり詰め寄られながら怒られた。

耳が赤かったようにも見えたが気のせいだろう。

めっちゃ怒っていたし。




うーむ、俺の周りで魔力管が広がっていない人物…

誰かいるかなあ?

できることなら、まったく魔法を使ったことがない人物。

いるのか?この世界にそんな人物。




「ちょっとアンタ!

アンナちゃんになにしたのよ!顔真っ赤だったわよ!!」


「あ、いたわ」


「ちょっと、聞いているの!?」




該当の人物を見つけた喜びから、勢いよくアカネの両手を握りしめていた。

急な俺の動きにアカネは驚き、顔を真っ赤にしていた。



「アカネ!頼みがある!」


「なっ!急になによっ!?」


「実験させてくれ!」


「は?」


「アカネは魔法を使ったことがないだろ?

だから、魔力管がほぼ赤子と同じだと思うんだ。

可愛いコルネリウスのために手伝ってくれ!」


「…アンタねえ。はあ、期待して損したわ」


「何か言ったか?」


「いいえ!それで?

可愛い可愛い赤子のために、私はなにをすればいいの?」


「俺と手をつないでいてくれればいい。

それで、痛いとか変化があれば言ってほしい」


「わかったわ。

てか、もしかしてアンナちゃんが赤面していたのって、アンタのせい?」


「ん?俺なんかしたか?」


「はあ、もういいわ。アンナちゃんも可哀そうに」



俺たちは手をつなぎ、輪を作る。

アカネはもう落ち着いたようだ。



「じゃあ、始めるぞ。何か変化があれば申告してくれ」

「ん、わかった」

「いくぞ」



俺はアンナで練習した繊細な魔力操作を行う。

極細極小の魔力の糸をゆっくりと送り、俺とアカネの間で輪を作る。

集中してはいるが、まだしゃべる余裕はあるので体調を気遣う。



「大丈夫か?体に異変はないか?」


「ええ、大丈夫よ。

わかりづらいけど、うっすらと温かいものが身体を通っている感じがするわ」


「少し流す魔力量を増やすぞ?」


「ええ、いいわよ」


「どうだ?変化はあるか?」


「ちょっと、熱いわね。これだと赤ちゃん泣くんじゃない?」


「わかった。じゃあ、さっきの量に戻すな。

代わりに、今度は流す速度を少し上げるぞ」


「さっきと同じ温かさになったわね。

うーん、速くしたら摩擦熱みたいに徐々に熱くなってくるわね。

これも泣くと思うわよ?」


「よし。じゃあ、実験はここまでだな。

あとは赤ちゃんの様子を見ながら、長い期間をかけて徐々に強くしていくよ。

協力してくれてありがとうな」


「ええ、これくらいならいつでも付き合うわ。

だけど、そうね?私にもお願いする権利はあるわよね?」


「うっ、なんだよ…」


「大丈夫よ、そんな身構えなくても。

ちょっと付き合ってくれるだけでいいから。

そうね?膝枕してちょうだい!」


「は?膝枕ってお前…

いい年して、何を言っているんだ?」


「いいじゃない、年は関係ないわ。

私にもたまには甘えたいときがあるのよっ!」


「はいはい、わかったわかった。まあ、それくらいならお安い御用だ。

いつでもしてやるぞ?」


「言ったわね?言質とったからね?録音・録画したからね?」


「うっ、そこまで言われると不安になるんだが。ほら、これでいいか?」


「うん♪これでいい!ダモナー、プリンとってきて!」


「わかったんダモナー!」


「おい、何する気だ?」


「なにって、アンタが私にプリンを食べさせてくれるんでしょ?」


「はー、へいへい。ここまで来たんだ、いくらでも付き合うよ」




「持ってきたんダモナー!」


「ありがとう、ダモナー。ほら、カオル!あーん!」


「待て待て、蓋を開けるから!よし、あーん」


「んん~!おいしい!次つぎ!あーん!」


「まったく。ほら、あーん…」



こうして、俺はアカネにプリンを膝枕した上で食べさせ続けた。

なに?コルネリウスのための練習じゃなかったのかって?

練習はちゃんとしたさ。


食べさせ終わった後に、アカネに赤ちゃんグッズをいくつか作ってもらったよ。

母上にもお世話になっているからってな。


アカネにこういう部分で甘え続けていいんだろうか?

と疑問に思ったが、今は考えないようにした。

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