上映会に向けて商品確認、体感訓練機の最終確認
俺たちはやりきった疲労感を感じていた。
今度からは冒険者たちに任せられるだろうと息を吐く。
なにもすべて自分たちで管理する必要はないのだ。
一時的に限定的な<ダンジョンマスター>の権限を与えるだけでいいのだ。
冒険者たちが次の冒険者たちに勝手に悪戯するだろうさ。
「はー、疲れたわね。
最初だからどうしても甘いところもあった気がしたし…
まあ、こればっかりは仕方ないか」
「お姉さま、お疲れ様」
「ありがとう、アンナちゃん!」
飲み物を渡してアカネを労うアンナ。
だが、知っているぞ。
お前が何回かダモナーたちに指示を出していたのを。
すごいニヤニヤと楽しそうにしていたのを知っているんだからな!
「次は編集かー。うーん、ダモナー!いい感じにおねがーい」
「了解ダモナー!」
「編集もダモナーに任せればいいのか、楽なもんだな」
「でも、最終チェックするのは私たちだよー?
銅版、銀版、金版の三種類もあるんだから、大変だよー?」
「たしか、上映会に使うのは銅版なんだっけ?
まあ、あまり長時間拘束するわけにもいかないから妥当なとこか」
「そうそう。
帰りに上映会とほぼ同じものの銅版。
追加要素がある銀板。
ほぼほぼノー編集の追加要素ありの金版を売る予定」
「長いのは個人で買って見てね!って、よく出来てるな」
「機械人形のドールたちの魂定着も間に合ってよかったよ。
軽食の調理、販売とかの細かい動作は、ダモナーたちには向いていないからね」
「でも、冒険者たちが参加しなくならないようにって…
上映会はまだまだ先なんだっけ?」
「うん。だけど、予告だけはするつもり。じゃないとお客さん来ないし」
さて、そうなるとしばらくは余裕があるな、特に俺は。
以前から集めてる声優予定の俳優・女優データをまとめないとな。
面接して声優候補を決定していかないといけない。
体感訓練機の量産も準備が整ってるって言っていた。
一度ゾロのおっちゃんのとこに顔を出すか。
「じゃあ、アカネ。
しばらくは何もないだろうから、俺は体感訓練機の様子を見てくるな」
「ああ、あれね。私もまだ触っていないから、今度触らせなさいよ」
「了解了解っと。じゃあなー」
アカネと別れて、その日は冒険者たちの様子を見守っていた疲れもあったために、休息をとることにした。
ナンシーには夜更かしを注意されてしまったがな。
一日ぐらいなら平気だと言って、何とか誤魔化して寝ることが出来た。
翌日、疲れもいい感じにとれ、体力も回復した。
よし!ゾロのおっちゃんのとこに向かうか!
いつも通りの護衛四人と御者さんと馬車に乗り、魔道具店に向かう。
「お。お嬢様じゃないですか?親方が随分と待っていましたよ」
「嬢ちゃん、やっと来たか!
最近は体感訓練機の量産準備だけはして、最終チェックで動きが止まっていたから不安じゃったぞ」
「ごめんね、おじちゃん。
色々なことが重なって、ここに来る余裕がなかったんだよ…」
「嬢ちゃんは少しお疲れのようじゃな?それはすまんかった」
「うん、ありがとう」
「じゃあ、さっそく最終チェックしちゃうね」
「おう、頼んだぞ」
音楽での臨場感、絵師による美麗なイラストのおかげか…
安っぽいゲームだったのが、一気に高級感あふれたいい出来だ。
まあ、さすがに向こうの世界の技術力には負けるけど。
男性用も女性用もチェックしたけど、これでいいんじゃないかな?
「どうじゃった、嬢ちゃん?」
「うん、合格だよ!音声の入れ替えも出来るんだよね?」
「ああ、できる。だが、肝心の音声がないぞ?」
「おじちゃん、また工房貸してくれる?シャフリ、ヤンお願いね?」
「え?俺たちっすか!?」
「俺もそういうのは苦手なのですが…」
「私が演技指導してあげるし、セリフも考えるから、お願い!」
「はあ。わかったすよ…」
「仕方ないですね」
録音したものを女性陣の護衛に訓練機でチェックしてもらう。
チェックしてもらったあとの二人はなぜか赤面していた。
「いいのではないかと思います…」
「へへっ、頑張っちゃった!」
二人の様子を見る限り、声優さえ用意すればこれも売れるなと確信した。
ちょっと思いついたことがあるので、おっちゃんに確認する。
「おじちゃん。あのね、思いついたんだけどね? ……」
「ほお。それくらいならすぐにできると思うぞ」
「じゃあ、よろしくね!」
おっちゃんから許可も出たし、新しいタイプも用意しておかないとね。
今度、マックスにでも録音を頼もうかな?
あいつは、たしかいい声していたし…
とりあえず、しばらくはゆっくりしたいかなー?
ちょっと、疲れちゃったよ…




