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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
成長~入学準備

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恐怖の案内人ダモナーその1

俺たちは今、最後の準備に入っている。

あの冒険者たちは旅館で最高にリフレッシュ出来たようだ。

だから、何してもいいよね?というのはアカネの言葉である。


何してもいいわけじゃないと思うけど…

彼ら、随分と楽しそうにリラックスしていたよなあ。

若干依頼のこと忘れている説あったしな。



アンナは自分が楽しむために、何が起きてもいいように準備をしてきた。

ここ最近は魔力充填を主に頑張っていたのだ。


曰く、どんな不備も魔力さえあれば、お姉さまがどうにかしてくれる。

…だってさ。

かなりのアカネ信者だよね、お前は…




現場のモニタリングもバッチリ。ダモナーの配置も、鬼の数も十分。




さあ、始まるぞ、恐怖の鬼ごっこが!!




Side Cランクパーティ黄金の爪


俺たちはダモナーたちに連れてこられた施設の中にいる。

力を見せてほしいという現場に来たはいいが、なんだここ?


そこはただただ広い空間だった。

板張りで、真ん中には座って休憩できる場所だろうか?

そんなものが安っぽい作りで設置されている。




「じゃあ、皆さん着替えてきてほしいんダモナー!」

「男女に分かれて、こっちダモナー!」

「着替えたら集合ダモナー!」

「時間厳守でお願いダモナー!」



「じゃあね、リーダー。またあとで」

「二人とも、遅れないように」


「俺たちがお前たちより遅いことなんてあったかよ」

「さっさと着替えに行こう」




そして、着替える部屋に来た。ここで問題が起きた。




「なっ、装備を全部置いていけだって!?」

「さすがにそれは俺たちも承諾しかねるんだが…」



「大丈夫ダモナー!」

「盗まれないように空間収納するダモナーがいるんダモナー!」

「全部終わった後にちゃんと返すんダモナー!」



「あの施設でも預けたが、ちゃんと返ってきたし、今は素直に預けよう」

「マジかよ…」



「着替えはこちらダモナー!」

「動きやすくて頑丈なんダモナー!」

「時間がないんダモナー!」

「すぐに着替えるんダモナー!」



俺たちは渋々着替えることにした。

お、意外と動きやすいし、質感はいいな。寝巻なんかに使いたいな。


靴まで用意してくれているようだ。お、ぴったりだ。

なにで出来ているんだこれ?

すっげえ軽くて足にぴったりだぞ?軽い運動にはもってこいだな。


着替え終わった俺たちは合流した。

何か心配そうな顔をしているが、ジュリーは大丈夫だろうか?




「集まったんダモナー!」

「じゃあ、中に入るんダモナー!」

「中に時計があるから、長い針が一番上に来たら開始ダモナー!」


「さあて、依頼人を満足させに行きますかね?」

「まさか、運動用の下着まで用意されているとは思わなかったわ」

「私には、関係ない」

「落ち着け、デン」




と、とりあえず、俺たちは真ん中にある安っぽい休憩所の周りに来た。

ここに座って待っていればいいんだろうか?

あの施設の癖で靴を脱いで座る。

足を中に入れてみると、ほんのりと温かい。あー、冬に欲しいなこれ。




「なに、リラックスしてるのよ、リーダー」

「ここまで来ると、変に緊張する必要ないかと思ってさ…」

「不用心」

「そうだな、少しは警戒しろ」



『ポンポンポンポン』



「!?」

「なに?!」

「あ、ダモナー」

「なんだ、あいつか」




「もうすぐ時計の針が頂点に達するんダモナー!」

「ルールを説明しに来たんダモナー!」


「ルール説明か」

「何をするんだ?」

「ダモナー、可愛い」

「そうね、あのプリッとしたしっぽとか最高よね」



女性陣は緊張感の欠片もない会話をしている

俺とガンツは真剣にルールを聞こうとする。



「まず、拘束時間の発表ダモナー!」

「あの短い針が二周したら【解放】されるんダモナー!」

「時計の見方がわからないなら、拘束時間は一日だと思ってほしいんダモナー!」


「たった一日か、余裕だな」

「まだ何するかわかったもんじゃないぞ?」

「あら、ダモナーちゃん。水を持ってきてくれたの?ありがとう」

「(なでなで)」



「次に、あそこの箱から【鬼】が出てくるんダモナー!」

「もしも、追いかけてくる【鬼】に捕まったら…

【鬼】に書いてある【罰】を【強制的に】受けるんダモナー!」


「は?鬼?追いかけてくる?」

「なんだ、罰って?それに強制的にだと?」

「ああ、お菓子まで持ってきてくれたの?あとで食べるわねー」

「(モフモフ)」



「じゃあ、そろそろ時間なんダモナー!」

「頑張ってダモナー!」


「おい、待てよ!【鬼】ってなんだ!?【罰】ってなんだ!?」

「捕まったらって、いつ現れるんだ!?もう少し詳しい説明を頼む!!」

「あら?もう行っちゃうの?寂しいわ」

「バイバイ」



ダモナーたちが肝心なとこで説明を切って、去っていく。

なんだこの焦燥感は!

俺たち、やっぱヤバい依頼を受けちまったんじゃねえか!?



そして、地獄が始まった。

それは空気が漏れるような音だった。




『プシュー!』




「なっ、なんだ!?」

「あれが鬼か!?」

「なっ、なに?!」

「(ぼーっ…)」



全身が光沢のある黒い【鬼】、筋肉質、胸のとこに文字が書かれている。

『スリッパ』

はっ?スリッパ?それってあの施設の履物じゃねえか?



「向かってくるぞ、とりあえず逃げろ!」

「俺が抑える!早く行け!」

「なんなの!?なんなの!!」

「なんだか、危険な香り」



タンクのガンツが鬼を迎え撃つ!

だが、それをあざ笑うかのごとく、あの【鬼】は跳躍した。

ガンツの頭上を綺麗に抜けた。そして、視線をこちらに向ける。



「逃げろおおおお!!」

「くそっ、待て!」

「いやああああ!」

「ヤバい、ヤバい」



最初に捕まったのはデンだった。身長から来る歩幅の差だろう。

どうしても走っても遅いのだ。

捕まったデンは四つん這いになった。強制力があるのか、あの【鬼】!

デンの頭に向かって、あの【鬼】は『スリッパ』を容赦なく振り下ろしたのだ。




『スパアアアアン!!』



「痛ぃぃぃ!!」



「は?」

「えっ?」

「くそっ、デン!大丈夫か!?」




俺が思っていたのとなんか違う。緊張の糸が切れそうになる。

だが、【鬼】は止まらない。次なる獲物に向けて走ってくる。

俺は【鬼】と視線を合わせてしまった。



「うおおおお!なんかわからんが、やべええええ!!」

「リーダー!?」

「(ぐすん…)」

「くそ、どうにか回り込めないか!」



俺は走った。全力だ。動きやすい服、動きやすい靴、靴?

あ、真ん中の休憩所に脱いできたわ。俺、今薄い靴下の状態だわ。

うおおおお!この板張りの床、滑る!めっちゃ滑る!?走りづらっ!!


くそっ、こんなときにぃぃぃ!!

俺は足をもつれさせ、盛大にこけた。

そんな俺に、あの【鬼】は無慈悲に肩を掴んだ。

四つん這いのままの俺の頭に【鬼】は『スリッパ』を振り下ろした。



『スパン!スパン!スパン!』



「いってえ!いてっ!いってえ!なんで、俺には三回なんだよ!?」

「リーダー、ごめん。ぷっ、くくっ、おもしろいわ…」

「屈辱…」

「ダメージはないようだが、精神的な攻撃かあれは」



『プー!』



ここで気の抜けるような音が大きく鳴る。

【鬼】が箱に向かって帰っていく。

ああ、終わったのか。俺は安堵した。

だが、結構全力で走った。疲れた…


時計とやらを見る、あの短い針が二周したら終わりって言っていたよな?

長い針が一周で少しだけ短い針が進むようだ。

その肝心の長い針はほぼ動いてないと言っていい。


今の間で結構時間は経過したと思った。

これ、もしかして、かなり過酷なのでは?



俺はこける原因になった靴を回収するべく、真ん中の休憩所に向かった。

さぞ、哀愁漂う背中だっただろうさ。笑えよ、ちくしょう…

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