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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
成長~入学準備

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冒険者の面接、合格者への癒しと不穏なダモナー

Side Cランクパーティ黄金の爪



「面接会場は、ホントにここなのか?」

「リーダー、急ぎましょ。面接を挟むとしても先着四組なのよ?」

「俺たちよりも前に埋まってしまうかもしれん」

「また、モフモフしたい…」



デンよ、お前だけ欲望垂れ流しだな。

ほかにも周辺に同じような冒険者パーティがうろついている。

場所がわからないんだろうな。

俺はここだと信じて、一見民家のような扉を叩く。



「入ってきていいんダモナー!」



どうやらここで合っていたらしい。

ほかの冒険者たちを尻目に、俺たちは民家の中に入る。


扉を開くと、階段が地下に続いていた。ふ、不安だ。

だが、思ったよりも中は明るい。

なんだ?この苔みたいのが光っているのか?




「り、リーダー、ホントに大丈夫かしら?」

「お前が受けたいって言ったんだろうが、ここに来て怖気づくな!」

「後ろは任せろ。デン、先に行け」

「うん、ありがとう、ガンツ」




どうやら階段はここで終わりらしい。さらに明るい場所についた。

なんだここは?地下なのに地上のように明るいぞ?



「こっちダモナー!」

「面接する前に軽く説明するんダモナー!」



あのぬいぐるみが俺たちを見つけて呼んでくれる。

てか、小さいのもいるのな。

ジュリーが目を輝かせている。デン、お前もか。



「ちゃんと説明は聞いてほしいんダモナー!」

「これから面接をするんダモナー!」

「面接中も撮影をするんダモナー!」

「面接が終わったら、撮影はおしまいダモナー!」

「その場で合否を伝えるんダモナー!」


「へえ、その場で合否を伝えてくれるのか、それはありがたいな。

俺たちも暇じゃないんでね?」


「今の言葉頂くんダモナー!」

「は?なんだと?」


「撮影について、質問はないんダモナー?」

「撮影って何なんだ?」

「面接中の言動を映像として記録に残すんダモナー!」

「なるほど、変な見栄など張るとあとで恥ずかしい思いをするってことか」

「その理解で合ってるんダモナー!」


「じゃあ、さっそく面接してもいいんダモナー?」

「準備が出来たら、中に入って椅子に座ってほしいんダモナー!」


「よし、いいか。お前ら!」

「どんなことがあっても大丈夫よ」

「守ることは任せろ」

「モフモフたちがいっぱい…」



今から面接だってのに、お前だけはブレないな、デン…

気合を入れて扉を開ける。正面にでかい四角い額縁が見える。

それに合わせて椅子がテーブルを挟んで置かれている。


俺たちが警戒しながら椅子に座ると、額縁に人のようなものが映る。

体型からして女か?それも若いな。




依頼人らしき人物がしゃべる。その声は雑音だらけでハッキリとしない。

濁った声で俺たちは質問される。それに淡々と答える。


依頼人のような人物がこれで面接は終わりだと言ってくれた。

楽にしてくれと声をかけてくれる。

俺はさっそく面接の合否を確認する。




「面接の合否はどうなんだ?

さっきも言ったが、俺たちはそこまで暇じゃないぞ?」


「ふむ、まだ数を見ていないから決めかねているが…

君たちは仮合格としようか」


「おいおい、仮合格だって?暇じゃないって言っているだろ?

合格なら合格って言ってくれよ」


「すまないが、しばらくはここに滞在してもらえないだろうか?

本番は身体を酷使するからな。先に身体を癒していってくれたまえ」


「滞在だって?飯とかも出してくれるんだろうな?」


「ああ、盛大におもてなししてあげよう。

滞在している間は楽しんでいってくれたまえ。本番までの息抜きだ」


「お前ら、いいか?」

「いいんじゃない?懐が痛まないのであれば」

「俺も賛成だ。もう少し休みたいのは事実だからな」

「あのモフモフたちとも触れ合えるかな?」


「では、こちらの扉から出ていってくれ。困ったらダモナーたちに質問してくれ」

「ダモナー?」

「あのぬいぐるみのような姿の妖精たちのことだ」

「へー、妖精だったんだ!

私たち、もしかしてすごいとこに来てるんじゃない?」

「たしかに、不思議な場所だ」

「妖精、モフモフ、ダモナー」




そして、俺たちは扉を抜けて林のような場所に出た。

おいおい、何が盛大なおもてなしだ。野宿なんじゃないだろうな?

不審がっていた俺たちに、あのゆるい声が聞こえてくる。




「こっちなんダモナー!」

「道なりに進んでくるんダモナー!」


「あっちか、行くぞお前ら」

「何があるのかしらねえ?」

「警戒するに越したことはない」

「大丈夫な気がする」




導かれるがままに進むと大きな建物が見えてきた。

すごいな、よくわからんがこの建物や周辺の空気から癒しを感じるな。

雰囲気だけで言っているが、実際に癒されている気がするんだ。

大きく間違ってはいないだろう。



「ここで靴を脱いでほしいんダモナー!」

「こっちの鍵のかかる靴箱に保管するんダモナー!」

「鍵は自分たちで管理するんダモナー!」

「一旦、こっちの足湯に足をつけて、ゆっくりしてほしいんダモナー!」

「お部屋の準備をしてくるんダモナー!」

「余計な荷物は預かっておくんダモナー!」


「へえ、足湯ねえ。足だけ入る風呂か」

「鍵は自分たちで管理するのね」

「お、盾と兜を持っていてくれるのか。すまないな」

「あったかい…」



俺たちが目的を忘れるくらい癒されていると…

ダモナーたち、妖精が部屋の準備が出来たことを告げる。



「お部屋の用意が出来たんダモナー!」

「このスリッパをはいて、ついてきてほしいんダモナー!」

「お荷物運ぶんダモナー!」


「足元が不安になる履物だな?」

「でも、ずっとブーツを履いているよりは楽でいいわ」

「まだ運んでくれるのか?助かる」

「ダモナーの行進…」


しばらく歩くと、部屋を紹介される。

男女に分かれてはいるが、一部屋がだいぶ広い。

装備品を預けられる部屋もあるようだ。




「ここでスリッパは脱いで入ってほしいんダモナー!」

「装備品はあっちのダモナーに預けるんダモナー!」

「空間収納してくれるんダモナー!」

「まずは温泉に入ってもらうんダモナー!」

「着替えも用意しているんダモナー!」

「着替え方がわからなかったら、素直に聞いてほしいんダモナー!」

「恥ずかしい思いをするんダモナー!」



「部屋は随分と広いな」

「空間収納!?だ、大丈夫なのかしら?

まあ、妖精だし悪さはしないでしょうけど…」

「まずは風呂か、俺の装備品を頼むぞ」

「うーん、魔法を教えてほしい…」




俺とガンツは浴室にいるダモナーに教わりながら温泉とやらに入る。

ダモナーに言われて石鹸で髪と身体を洗う。

背中も洗ってくれて、至れり尽くせりだ。


石鹸で洗ったおかげで、だいぶさっぱりした。

俺とガンツは湯につかり目をつむる。自分たちは疲れていたんだな…

ってのがわかるほどに、この温泉は気持ちいい。癒される。

うっかり寝てしまいそうだ。


温泉にはいつでも入れるということを教えてもらった。

早朝や深夜にゆっくりと景色を見ながら入るのもいいかなと思う。

微妙に小高い丘に建てられている施設なので、見晴らしがいいのだ。


風呂から上がったら食事のようだ。

ここで出てきた食事がうまい。

食べたことない味だったが、何とも言えない味だった。


白い穀物の粒、泥水かと思ったが飲んでみれば滋味深い味わいのスープ。

薄い肉を湯に入れて温めて、『ポン酢』と呼ばれるソースにつけて食べる。

酸味のあるこのソースが実にうまい。

酒も出してくれたが、これがまた飲んだことのない味でうまかった。




食事に大満足して、俺たちはそのまま男女の部屋に分かれて寝た。

早朝、俺はいつでも入れるという温泉に来た。


まずは軽く湯で身体を洗い流し、石鹸なども使い髪や身体を洗う。

こんな朝早いのにダモナーは背中を洗ってくれた。

温泉に浸かり、目をつむる。

ここで暮らしたいと思ってしまうほどに素晴らしい環境だ。


ガンツも早朝の温泉に入りに来たようだ。

冒険者としてダメになっちまうよ、こんな環境。




朝食後、ダモナーたちに面接の結果はどうなっているのか聞くことにした。

俺たちは無事に合格したと教えてもらった。

本番がどんなものなのかわからないが、今はこの施設を楽しもう。




ダモナーたちが俺たちを遊戯場へと連れてきてくれた。

お金は取るけど、それぞれ遊んでみてほしいと言われた。

一回、銅貨一枚程度だ。

さすがの俺たちもそれくらいじゃ、懐は痛まない。

色々な魔道具のようなものがあるが、一つ一つ説明を受けて遊ぶことにした。


俺たちが熱くなって遊んだのは『エアホッケー』と呼ばれるものだ。

薄い丸い板を重たいグリップで弾いて、相手の陣地の穴に入れるゲームだ。

最初は俺とガンツで遊んでいたのだが…

楽しそうなものを発見したと、ジュリーがやりたいというので代わってやった。




そして、ここでハプニングが起こる。

徐々にだが、ジュリーの衣服がズレていっているのだ。

ガンツもそれに気づき、顔が赤い。だが指摘するには後が怖い。




デンが俺たちを冷たい目で見てくる。

違う、そういうつもりじゃないんだ。誤解しないでくれ!


そして、救いの神は現れる。

ダモナーがすれ違いざまに、一瞬でジュリーの衣服のズレを直したのだ。



そのままゲームは終わった。ジュリーは気づかずに楽しかった!と言って、ほかのゲームに遊びに行った。

俺とガンツは気まずい空気のままそれを見送った。




だが、こちらにニヤニヤとした顔で向かってくるダモナーに戦慄した。

小声で話しかけられ、指をスリスリとこすり合わせているダモナーたち。




「いいものは見れたんダモナー?」

「チップを頂くんダモナー?」

「これはサービスなんダモナー?」




ジュリーは気づいていない。

だが、デンは俺がダモナーたちに銀貨を渡している姿を見ている。

より一層冷たい目をデンが向けてきた。


くっ、ちくしょう!

こいつら、可愛い見た目の割に悪魔のような奴らだ。許さねえ!

視線で謝ってくるガンツ、お前もあとで覚えていろよ!!




俺たちはこの施設で遊びつくした。

その後、明日いよいよ本番だとダモナーに告げられる。


あの一件で、俺はこの依頼には何かあると思い直している。

気を引き締めていかないとな!

…だから、デン。その目をやめろ!!

ジュリーはポカンとした顔で、こちらを見ていたのが唯一の救いだった。

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