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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
成長~入学準備

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娯楽を求めて、目覚める妖精ダモナー

この間は護衛にものすごく怒られた。

どこに行っていたのですか!?と真剣な顔で言われるもんだから…

ちょーっとダンジョンで遊んでいたと正直に言ってしまった。


絶対零度な視線でこの事は報告させていただきますと言われてしまった。

俺は護衛の二人に泣いて謝った。

特にクリスが怖かった。ヤンはそんなクリスを宥めていたよ。



父上にはダンジョン内にも護衛を連れて行くように言われてしまった。

馬車はどうするのかと言ってみたが、アカネが馬車も連れて来れば?と言った。

アカネは簡単に馬車が通れる大きさの扉を作り出してしまった。


今後は御者さんも馬車ごとダンジョン内に入れるようになった。

お馬さんたちは広い草原を見て喜び、自由に走ったりして過ごしていた。

馬に対して羨ましいと思うことがあろうとはな…



というか、アカネの奴。

王都全体を覆うように地下ダンジョンを広げた結果…

王都内であれば、俺がどこにいようとモニタリングできるようになっていた。


俺がちょっと困っていると、どこからともなく扉が現れ、助けてくれる。

助かるのは助かるのだが、見張られている気分でちょっと落ち着かない。




今日はダンジョン内にアレクも伴い、俺たちの世界の娯楽の話をしている。

アンナも妖精さんに抱かれながら読書をして、まったりと過ごしている。

たまに思い出したかのように、魔石に魔力を注いで満足して本の続きを読む。

自由だな、アンナ…


魔石は、気が付いた時にアカネが祭壇に捧げて、魔力を補充しているようだ。

そのため、部屋の片隅には空の魔石や魔力入りの魔石が転がっている。

たまに小さい妖精さんたちが整理しているようだ。

すまんな、二人がぐうたらで…




「それで?ディーネやアカネ殿の世界の娯楽はどのようなものなのだ?」


「テレビゲームとかが男の子の間では主流だったわよね?」


「まあ、一般的にはそうだな。体感訓練機はそれを再現したようなものだし」


「アンタの話を聞く限り、リングの冒険じゃないそれ。いいの、潰されるよ?」


「世界が違うからいいんだよ。さすがにここまでは追ってこないだろ」


「ほお。ああいうのが流行っていたんだな。ほかにはないのか?」


「あとは映画鑑賞とか?」


「いや、バラエティ番組のDVDしか見なかったじゃん。変なとこで見栄張るなよ」


「あ、アカネ殿、それはどういったものなのだっ!?」


「えーっと、こっちにも映写機ってあるのかしら?

暗い部屋の中で、大きな画面で映像を見るのよ。

設備があれば、音も臨場感たっぷりの大音量で楽しいわよ」


「そういうのはわからんけど、あるのかな?」


「サクッとDVDくらいなら作れるけど、日本語だしなあ。そうだわっ…!」



アカネが何かを思いついたようにこちらを見る。

すっごい不安だ。



「そうよ。こっちの世界で再現すればいいんだわ!」


「でも、そういうのをやってくれる芸人さんなんていないぞ、こっちには」


「馬鹿ね、ただの芸人使っても面白くないでしょ。

冒険者を使うのよ、冒険者を!」


「お前。金で釣って、そこからさらに金を生むつもりか!?」


「ふふっ、ふふっ…

あーあー、私、一気にお金持ちになりそうだわ!!」


「でも、お前、お金持ってないじゃん」


「貸してよお!倍にして返すからあ!!」




「あの二人は何の話をしているかわかるか?聖女アンナ」


「お姉さまが稼げるような娯楽を見つけた。

なのに、それの投資を渋ってるのよ。あの男は」


「なるほど」




「アカネ殿、再現と言ったな。

そして、具体的にこういうものだと示せるとさっき言っていたな?

父上と私にそれを見せてはくれまいか?内容次第では支援できると思うぞ」


「へ?いいの、アレク君!?」


「ああ、どんなものなのかとわかり、儲かることがわかっているならば…

私も父上も出し惜しみなどしない」


「やった!ちょっと待ってね、コアからDVD作ってくるから!

言語がわからなくても、なんとなくでも解説するからっ!」


「ああ、頼む」


「兄上、いいのか?そんな簡単に口約束して…」


「ディーネ、口調。

いいんだよ、面白そうだし、うまくいきそうな予感がするんだ。

まあ、細部を詰める必要はあるだろうけどね」


「お姉さまが楽しそうでよかったのです」



急遽、昼食後に時間を取ってもらえないかとアカネは父上に直談判した。

その内容に、父上は執務を急ぎ終わらせるから待ってくれと言っていた。

さらには面白そうだと母上まで見に来ることになった。

この世界の住民は、娯楽によっぽど飢えているらしい。



「お前たちの世界の娯楽を見れるんだって?面白そうじゃないか。

しかも、それを再現するという話じゃないか」

「どんなものか楽しみねえ」


「どれがいいかな?どれがいいかな?」

「やっぱり趣旨を理解してもらうために、最初のこれだろ?」


「王子様、ワクワクしている?」

「ああ、アカネ殿たちが向こうでどんな娯楽を楽しんでいたのか。

それを見るのが、非常に楽しみなんだ!」



アカネの<ダンジョンマスター>の力をフルに使った鑑賞会が始まる。

部屋を暗くして、各自に飲み物とポップコーンの用意までしている。

母上は妊娠中のため、食べ過ぎには注意しているので、飲み物だけだけど。



「じゃあ、始めますよー!」



「彼らは何をしておるんじゃ?」

「罰ゲームを賭けて、どちらの足が速いかを競っているのです」

「始めから酔狂なことをしておるな…」



「負けたのに喜んでいるわ?」

「向こうの世界の芸人さんたちは、罰ゲームで画面に映れて『美味しい』と感じる職業なんです」

「なんだか不憫にも感じるわね…」



「ほおほお、随分と広い場所に連れてこられたな?」

「罰ゲームのルール説明として、鬼に捕まったらその都度罰を受ける。

ということになっています」

「え?捕まるたびに罰を受けるの!?」

「過酷な世界なのね、向こうの芸人さんたちは…」



「はっはっは、追われておるぞ!」

「あの姿勢は、すごい屈辱を感じるな…」

「痛い痛いって言っているのが、言葉が分からなくても見ていてわかるわ」



「なっ!これを一日中続けるのか、こ奴らは!?」

「ええ、そうですよ。

この頃の彼らはまだ若かったので、過酷な罰ゲームを毎年行っていたのです」

「毎年かっ!?」

「大変なんだな、芸人というものは…」

「それだけ人気なのでしょうね…」




そうして、DVDを丸々一本見た俺の家族の反応は、様々だ。




「これを冒険者に依頼してやらせるのか。

金次第ではやってはくれるだろうが、そのあとが怖いな」


「でも、父上。この映像を見て笑わない人なんていませんよ?

絶対に売れると思います」


「この飲み物や軽食も一緒に販売するんでしょ?

相乗効果で売れそうよね」




ここで今まで黙っていた聖女アンナが動く。




「お姉さま」


「んん?どうしたの、アンナちゃん」


「お姉さま。私の魔力あげるから、これ絶対にやろう!面白かった!!」




「ああ、一番の不安要素だった魔力不足がなくなった。

まさかアンナがこんなにハマるなんて」


「あなたはこれの面白さをまるでわかっていない。

最初の犠牲者は出るだろうけど、次の犠牲者を用意すれば…

怒りはそっちに向けられる」


「ほお?考えたな。次から次へと冒険者を変えるのか」


「罰の内容も最初の冒険者が次の犠牲者のを考えれば、とても盛り上がる。

その上、こちらで罰の内容を考える負担が減る。

一石で二羽の鳥を落とせるようなもの。


なんなら最初はお姉さまの力で旅行気分を味わってもらう。

そして罰を行う。上げて落とす作戦…」




アンナが黒い笑顔を浮かべて、次から次へと意見を言い始める。

お前、ホントに聖女なのか?

聖女はそんなこと言わないと思うぞ?




「ふむ、俺とアレクが冒険者を釣るために、少々の金を出せばいいのか?」


「はい、冒険者への依頼って部分での費用が難しかったのです。

あとはアンナちゃんの魔力があればなんとでもなります」


「よし!では、商会から作り上げようか」


「商会?そこまでするのですか、父上?」


「ああ、ほとんどはアカネ殿を前に出さないためだがな。

人員もダンジョンの妖精たちを使えば、なんとかなりそうだろ?」


「そうですね、彼らを使えばいけると思います」


「映像を売ると言っていましたが、そちらも全部魔力で済ませるのですか?」


「はい、リリー様。

私のコアの力を使えば、簡単に出来ると思います。

アンナちゃんも協力的みたいだし」


「なら、大丈夫そうね」


「二次鑑賞さえ法律で止めてしまえば、絶対に儲かります!」


「ふむ、さっそく話し合っておこうかの」



話がまとまってきたところで、妖精たちの様子がおかしいことに気が付く。



『ダモナー!』


「な、なんだ!妖精たちがしゃべったぞ!?」


「わ、わかりません。これは一体…」



一番おっきな着ぐるみ妖精がしっかりと腰を折ってお辞儀する。

小さい妖精さんたちも同じようにお辞儀する。



「マスター。ぼくたちにもお仕事をくださいなんダモナー!」


「お仕事するんダモナー!」


「まさか、妖精たちに魂が宿ったのか?!」


「どうして、このタイミングで…」



父上と俺が驚いていると、おっきな妖精が説明しだす。



「ぼくたちはマスターの強い思いで動くんダモナー!」


「しっかりとした意思を受け継いで行動するんダモナー!」


「か、か、可愛いいいい!なにこれ!?

しゃべる着ぐるみ!?最高のマスコットじゃん!!

しかも、私の意志を尊重してくれるって!あ、名前つけなきゃね!」


「可愛い名前つけてほしいんダモナー!」


「うーん、安直だけど君たちの名前は『ダモナー』だよ!

よろしくね、ダモナー!!」


「分かったんダモナー!」



こうして、新たな愉快な仲間たちがダンジョンに加わったのだった。

見た目は可愛い着ぐるみたちが、まさかあそこまで冒険者たちに嫌われてしまい、恐れられるとはこのときは思いもしなかったがな。

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