再会、罵倒、女神様の下へ
スケルトンたちを片付け、やっと再会できた!
と思ったのに、アカネの視線がとても胡乱げである。
な、なんだ?あの視線の意味が分からない!
「…んくりん」
「ん、なんだって?」
「ちんちくりん!何この子!君が私を呼んでいたの!?」
「はあ!?ちんちくりん、だと!?俺はもう五歳だぞ!!」
「五歳は十分ちんちくりんですぅ~!いくらなんでもガキ過ぎる!!
もっとカッコいいイケメンが私を呼んでくれていると思ったのに!!」
「はあ?夢見てんじゃねーよ!
てか、俺は十分イケメンだろうが、特に今世は!!
お前はちょっと若返ったかもしれんが、大して美人じゃないだろうがっ!」
「はぁぁ?絶世の美女ですけどぉ?お肌もピチピチですぅ!!」
俺たちが互いに罵倒しあっていると、困惑した護衛たちが止めてくれる。
せっかくの再会が罵倒で終わるのは虚しいし、今は護衛たちの話に乗ろう。
「あ、あの?ディーノ様?
さっきまで感動の再会の空気感出していたのに、なんで罵倒しあってるんすか?」
「ヤン、俺もそれには疑問をぶつけたいんだ。
だが、実に懐かしい空気で言い合ってしまったんだ、許せ」
「とりあえず、この方が保護対象なのですか、ディーノ様?」
「ああ、そうだ。クリス。
こいつを連れて、また儀式の間に行かないといけないんだ。」
「んで、カオル?この二人は?」
「俺の護衛だ。外に馬車を待たせているからさっさと戻るぞ」
「護衛?馬車?カオル、何様?」
「王子様だ」
「王子、様…ぷっ、似合わねええええ!」
「うるせえ!俺だってこんな立場になるとは、思っていなかったわ!」
「お二人とも、移動するのでは…?」
「はあ。もういいから行くぞ、アカネ」
「あ、待って!あれ持っていかなきゃ!」
『?』
アカネが持ってきたのはなんか綺麗な玉と台座だった。
重そうにしているので、俺の空間収納の魔法の中に入れてやる。
「おお、消えた!?」
「空間収納しただけだ。いくらでも取り出せるぞ」
「マジで!?カオル、魔法使いになっちゃってたの!?
大事なものだから、持っていてくれるなら助かるよ!
それ、すんごい重いんだー」
「はあ。じゃあ、行くぞ」
帰り道は一本道というか、階段を上がるだけになっていた。
ダンジョンの機能が死んだのか?疑問はあるが、今はいい。
馬車の下に戻ると、シャフリとペティが御者と待っていた。
「おかえりなさいませ、ディーノ様。そちらの方が保護対象の方ですか?」
「ああ、そうだ。もうここに用はないから、城に戻るぞ」
「じゃあ、サクッと広げていたもの片付けて出発しますか!」
「ペティ?何を広げていたんだ?」
「外でくつろげるようにお茶の用意をしていました!」
「ああ、それくらいなら俺の収納魔法にしまうから、すぐに出発しよう」
「ええ!?収納魔法!それって空間魔法じゃないですか!?すごいですね!!」
「ほら、片付けたから出発するぞ。
アカネも馬車の中に乗ってくれ。少しはゆっくりと話が出来るだろう」
「う、うん…」
馬車が出発する。護衛に周囲を囲まれ、城に戻る。
アカネはだんまりというか、俺の身分にビビっている感じがする。
しゃべろうとしても口を閉ざしてしまうのだ。
「あー、アカネ?大丈夫か?なんかぼんやりしているが」
「うぅ~、ちんちくりんの癖に、気遣いできるイケメンムカつく…」
「あのなあ…」
「んで、私はカオルって呼べばいいの?ディーノ様って呼べばいいの?」
「あー、対外的にはディーノ様って呼んでくれ。
今後のお前の扱いがまだわからんからな」
「そっか。私は自堕落に暮らしたいなー。
もう前世みたいに必死に生きたくないや」
「あー、前世な。うん、前世な」
「なあに、カオル?私の前世をのぞき見したみたいな顔して」
す、するどい!
だが、動揺するわけにはいかない。
「自堕落にかー、どういう扱いにすればいいんだろうなー」
「転生させてくれた女神様っぽいのが、色々言っていた気がするんだけどね。
私混乱していたし、ふざけてんのかって真剣に聞いていなかったんだよね。
だから、自分の力というか能力とかが、一切わかんないんだよね」
「じゃあ、女神様に聞きに行くかね。女神様にはもう一度呼ばれているし」
「え?呼ばれてるんだ!?よし、会いに行こう!
真剣に自堕落に暮らせるように能力を把握しなきゃ!!」
いい笑顔だな。だけど、まだ空元気な雰囲気を感じる。
うーん、あんまり聞きたくないけど、聞かなきゃ前に進めないよな。
こういうのは苦手なんだがな。
「あー、アカネ?」
「んー、なあに?」
「もしかしてだけどさ、俺が死んだの、気にしてる?」
ビクッと全身で反応したな。ビンゴかー。
どうすっかね…
「あれは事故みたいなもんだし、気にすんな!なっ!」
「無理だよ…
私があんな低俗なバイト先紹介したせいで、カオルは死んだんだよ!?
今更気にするななんて、無理だよっ!!」
「だけどまあ、あれの原因は女神様みたいだからなあ、気にすんなって!」
「は?女神様がカオルが死んだ原因?どういうこと?」
あ、泣き顔だったのが、光が抜け落ちた眼をし始めた。
すまん、女神様。生贄になってくれ。




